不動産トピックス

クローズアップ 時間貸し編

2019.07.16 14:39

 不動産業界で時間貸しが隆盛している。そのなかで注目を集めるのが飲食店のアイドルタイムを利用したシェアリング。既存店舗にとっては収益向上につながるとともに、出店したい人にとっては試験店舗としてのニーズがあるようだ。

ベンチャーの身軽さで試行錯誤 様々な挑戦通しプラットフォーム専念へ
飲食店のアイドルタイムシェア順調 年末から来年初頭にかけ新サービスも
 不動産業界で徐々に広がっているシェアリングが飲食店舗でも広がりを見せている。その流れを先導するよじげん(東京都新宿区)。飲食店のアイドルタイムをシェアリングする「よじげん」をリリースしたのが2018年9月。そこから10カ月。リリース1年を迎えようとしている今。新しいシェアリングを広げようとしているよじげんの事業とこれからに迫った。
 「掲載している物件数は非公開物件を含めて70件超でリリースから着実に増えてきました。借りたいという事業者はこれを超える勢いで増えています」
 このように語るCEOの荒木賢二郎氏。物件は1都3県、大阪などに広がりを見せた。
 飲食店舗のアイドルタイムのシェアリングは、シェアリングビジネスのなかでもまだまだ未開拓の分野。「よじげん」の競合として挙がるのが軒先と吉野家が進める「軒先レストラン」。ブルーオーシャンではあるものの、参入企業が少ないために「まだまだビジネス自体の認知度も少ない」のが実情となっている。
 そのなかで「よじげん」も試行錯誤を重ねた1年となったようだ。
 まずは展開エリア。荒木氏は「当初は東京を起点にして、郊外・地方での飲食店舗の収益向上に貢献したいと考え、早い段階での全国展開を考えていました。しかしながら、認知度向上に多少時間がかかると判断しています。現在は貸し手、借り手の双方がある程度山手線の新宿から五反田の間のエリアに集中していきたいと考えています」と話す。
 物件開拓にも力を入れていく。2019年2月からは貸し手、借り手を紹介する「よじげんアンバサダー」制度を始めた。「個人の方が食べ歩きをしながら、『店舗のアイドルタイムに貸し出したい』、あるいは『自前の店舗を持ちたい』という方を『よじげん』に紹介してもらうシステムです」(荒木氏)。成果報酬制度をとっていて、借り手となる契約者、ないし登録物件を紹介した場合、1件につき3万円の報酬が発生するものとなっている。「今後、アンバサダー登録者向けに研修などを行うことにより強化していきたい」(荒木氏)。
 プラットフォーム「よじげん」に加えて、新しいサービスに向けた準備も行っている。主に飲食店業界向けのものになるが「飲食店人材の相互信用評価を行えるようなシステムを構築していきたい」と話す。
 「飲食店業界では人材不足が課題となっています。この業界は人が重要ですが、それを評価する仕組みがありません。そのために飲食店の人材採用でも難しさがあるのが実情です。相互信用評価システムを構築することで、飲食店の戦略的な人材採用を行えるよう貢献していきたい」
 2019年末から2020年初頭にかけてサービススタートを目指す。プラットフォーム「よじげん」とのシナジー効果も見込むことができそうだ。

スペースマーケット、スペースのカテゴリ追加 人気ランキング1位には「料理」
 あらゆるスペースを1時間単位から貸し借り出来るマーケットプレイスを運営するスペースマーケット(東京都新宿区)はスペース利用用途の多様化を受け、サービスの利便性向上のためにサイト内で表示する利用目的のカテゴリーの追加と再編を実施。同時に、利用の人気キーワードランキングを発表した。
 レンタルスペースは利用用途の範囲が広く、ゲスト(スペースを借りる人)の目的に合わせてアレンジして使うことが可能。昨今多様化する様々なニーズにマッチし需要が高まっている。これまでも多様な目的での利用がされてきたが、ゲストにとってより使いやすいサービスを提供を目指し、サイト内で表示するカテゴリーの追加と再編を実施した。
 加えて利用の人気キーワードランキングも発表。1位になったのは「料理」。同社によると「好きな食材を持ち込んで、準備するプロセスも含めて『料理』を楽しむグループが増えている」とのことで、プラットフォーム「スペースマーケット」でのキッチン付きレンタルスペースの登録は3000件以上にのぼるという。2位「会議」、3位「勉強会」、5位には「セミナー/研修」などビジネスに近しい分野も上位にランクイン。それ以外には4位「コスプレ」、6位「ボードゲーム」、7位「オフ会/交流会」、8位「女子会」、9位「ダンス」、10位「同窓会」となった。

スペイシー コワーキングサービス開始 1時間100円の「100円スペイシー」
 国内最大級の会議室シェアサービスを提供するスペイシー(東京都港区)では安価にテレワークとして活用できる場所を増やすことで働き方改革を推進するために、1時間100円で利用できるコワーキングスペース「100円スペイシー」を開始した。
 働き方改革の推進によりリモートワークを取り入れる企業が増加しているがリモートワークできる場所の確保が課題となっている。特に外出中はPCを利用するための電源確保が難しく、電源のあるカフェを探す時間がリモートワークのタイムロスになりかねない。またカフェの費用は、会社経費としては認められにくく、個人の経済的負担となっている。
 そこで同社では「スペイシー」に掲載されている会議室の当日の空き時間や飲食店のアイドルタイムの空席、オフィスの遊休スペースを活用することで、1時間100円で利用できるコワーキングスペース「100円スペイシー」として提供する。これにより電源を利用可能なワークスペースを安価に利用可能となる。当初は都内近郊だが、将来的には全国に1時間100円均一のワークスペースを100カ所開設を目指す。

LEAF 戸越エリアにカフェ・時間貸し・ホテルの複合施設
 不動産業を展開するLEAF(東京都杉並区)は戸越地区にて1Fはインバウンド訪日客と地域密着をコンセプトにした、カフェを展開する。2Fにはスペースの時間貸し施設、3Fには今年3月にOPENしたホテルという構成となる。カフェやホテルで訪日客にコミュ二ケーションをしながら、戸越の食べ歩き企画や地域の良さをアピールしていく。また展示スペースなども用意をし、地元商店の方の展示場としても、活用を検討していく予定だ。




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