不動産トピックス
今週の一冊
2019.08.13 18:07
絶望的な物件はどう変える?
「不動産プランナー流 建築リノベーション」
著者:岸本千佳
発行日:2019年6月1日
発行所:学芸出版
価格:2200円(税別)
「不動産プランナー」とは、「建物の活用を企画段階から管理・運営まで一括してプロデュース」するという。さて、著者は滋賀県立大学環境建築デザイン学科卒業後、不動産ベンチャーを経て、建物と街のプロデュースを業とする会社代表取締役。オーナーから「この建物をどうにかしたい」と相談があれば、建物だけでなくエリアの情報収集を徹底して行い、街にとって必要なものは何か、必要なら頼まれなくてもロゴの原案まで用意する。オーナーに最後まで寄り添うのだ。建物を変貌させるだけなくそこに人が使う様子までを見届ける。それこそ「不動産プランナー」の醍醐味という。
本書は駐車場をバーに、倉庫をオフィスに、線路沿のアパートをアトリエにという事例をチーム編成・街の反応など様々な面から解説。ブレのない軸とオーナーへの真摯な視線があたたかい。「絶望的だと思う物件にも必ず良いところはある。人と一緒だ」垣間見える人柄も魅力。ちなみに不動産業界を「とことんイメージが悪い業界」、だが「街を変化させるために一番影響力があるのも不動産。不動産の領域って可能性があるんじゃないか」。不動産業界が著者のような人材にあふれていればと願う。