不動産トピックス
クローズアップ ドローン編
2019.08.13 18:06
身近な存在になりつつある「ドローン」であるが、昨今は不動産業界においても活躍の場面が増えてきた。建物の外観撮影や外壁の現状把握、人が直接目視で確認しにくい部分をドローンが代わりに把握する仕組みだ。活用実績が少ないだけで、まだ上手く生かせる方法があるかもしれない。
外壁の現状把握にドローン
高所作業に伴う人件費や作業費の削減に期待
深空(大阪市中央区)は、ドローンメーカーの最大手で中国企業のDJIから、日本での販売許可認定を受けている。主力製品の「Phantom(ファントム)」シリーズを中心に、着実に販売実績を伸ばしている。
DJIが販売するドローンの「Phantom」シリーズで、4世代目にあたる「Phantom4 PRO V2・0」。重さは約1・3kgとドローンの中でも比較的軽く、最大伝送距離は約2km。障害物認識やビジョンポジショニングシステムなどを有しており、最大時速は72km。動く被写体を自動で認識し、追尾・撮影が可能だ。複雑なシーンの撮影にも簡単に活用できる点が特長で、操作も専用の送信機で実施。高輝度モニター付きのタイプもある。これらの機能によって、安全・簡単にドローンを操作できる。
映像ソリューション事業所・主任の竹村浩志氏は「現在ドローンは、主に2タイプに分類されます。飛行型のドローンと地上走行型のドローンです。飛行型のドローンはイメージしやすいと思われます。主に空撮や建物の撮影、屋上や太陽光パネルなどの点検などに活用されており、人の目では把握するのに難しい箇所を赤外線カメラのサーモグラフィで点検するなど、今後は様々な分野での活用が期待されています」と語る。
太陽光パネルでは、メガソーラーなどの広い範囲での点検を行う際にドローンを活用する。広範囲にわたり設置されるメガソーラーを可視光カメラと赤外線カメラを使用して、現状の破損箇所や汚れた部分などを把握する。太陽光パネルの場合、パネル部分に付いた鳥の糞や落ち葉などによって発電がしっかりと機能しないことがある。破損部分なども視覚的に見つけることができるため、時間や労力、人件費などの短縮・節約に繋がる。
また不動産の分野においては、今後テナントビルやマンションなどの外壁の現状確認。戸建てでは屋根など塗装箇所の把握にドローンの活用が期待される。
特にテナントビルやマンションは、高所作業に伴う人件費や作業費、作業コストの削減にドローンが効果的と考えられる。ドローンに取り付けた赤外線カメラを使用すれば、壁面のクラックや水漏れ・漏水箇所を数十分で把握できるからだ。無駄なコストを削減できたぶん、外壁の修繕に費用を補填できる。また他の活用方法としては、竣工後の物件の完成写真や動画の撮影、イベント時の空撮などに使用される。
竹村氏は「飛行時間は環境・機種にもよりますが25~30分ほど。ビルなどの外壁目視診断程度であればドローンの導入活用は比較的容易ではないでしょうか」と語る。
住宅の定期点検などに活用 インフラ点検ロボットシステム
協栄産業(東京都渋谷区)は、同社のインフラ点検システムとトピー工業(東京都品川区)製点検ロボットAnieLight(エニーライト)によるインフラ点検ロボットシステム「低車高版」を共同で開発した。
インフラ点検ロボットシステムは、住宅の定期点検などに使用するロボットシステム。点検作業員の代わりに暗く・狭い床下にエニーライトが入り、シロアリ被害、腐食箇所などの住宅性能に問題が無いかを確認できる。点検作業員は離れた場所から無線LANを介してタブレットでエニーライトを操縦。本体に装備されたLEDで床下を照らし、高性能カメラの画像を見ながら床下の状況を確認する。また、必要に応じて点検箇所を撮影してタブレットに保存すれば点検結果を記録として残すことが可能だ。
また住宅の床下に人が入るのではなく、ロボットが入る事で住民のプライバシーを守る。作業員の省人化・省力化にも繋がったロボットシステム(ドローンの活用)である。