不動産トピックス
クローズアップ 防災編
2019.09.02 14:56
もし大規模災害に見舞われ、会社から帰宅が困難となった場合、食事やトイレ、睡眠などが確保できる環境でなければ困る。移動が可能なら、少しでも安全な状態で自宅へ向かいたい。日頃から防災は意識しておくべきだが、いざというとき役に立つ商品の最前線を知っておこう。
フルサイズの防災品 キャビネットにぴったり収納
大手文具メーカーのキングジム(東京都千代田区)では、今年7月19日、2008年から展開しているオフィス向け防災グッズの新製品5種を発表した。
「弊社ならではのこだわりは、ファイルの老舗ですので、すべての製品をオフィスの引き出しなどに気軽に収納できるよう、A4サイズのファイル型BOXにしたこと。仮に、防災グッズを倉庫や地下に一括管理しておくと、有事の際、取りに行く手間がかかってしまいます。すぐ必要なものをオフィスに違和感なくコンパクトに置いておける点を重視し、商品開発しました。2008年、2017年に続く今回の製品は、より日常に溶け込みやすいスタイリッシュなデザインで、社員の多国籍化に合わせ背表紙に英語表記も付けました」(広報室長・杉崎誠氏)。
5種のうち既存製品をバージョンアップさせたのが、会社に1日の滞在を想定し調理不要の飲食物を揃えた「災害備蓄セット2.」。簡易トイレや軽食が整った帰宅を助ける「災害帰宅セット2.」。新製品では「災害備蓄セット ミニ」、帰路の安心安全を確保するための「ヘルメットセット」と「災害トイレセット」だ。
2014年から発売している「着る布団&エアーマット」も好評という。「災害下でオフィスに泊まることになった際、寝袋ですと余震などで瞬時に動けませんが、こちらは着たまま歩けるオーバーオール風の仕様がポイントです」(同室・井辺亜沙美氏)。
シリーズ発売当初は反響も薄かったが、生産打ち切りを考え始めた矢先、「3・11の東日本大震災が起きて世のオフィス防災への意識が高まり、需要が一気に増えました。今では、阪神淡路大震災が起きた1月17日、3月11日、そして9月1日が防災を見直す年3回のタイミングになっている、と感じています」(杉崎氏)。
同社の防災用飲食物の品質保持期限は6年。 「必要なものをチョイスしてください、というご提案の形で各製品を発売していますが、併せて安心して働けるオフィス環境作りに役立ち、使わずに買い替え時期を迎えられるといいなとも考えています」(同氏)と温かい願いが込められている。
備蓄は飲みながら ブルボンが備蓄水の期限切れ防ぐ取り組み
ブルボン(新潟県柏崎市)は、新しい備蓄の考え方「ローリングストック」に基づくミネラルウォーター「柏崎市防災天然水500ml」を販売している。
ローリングストックとは、防災備蓄品を日常的に消費していくことで消費期限切れを防ぐというもの。食料品や飲料水を備蓄したまま放置してしまい、いざ必要なときに取り出してみると消費期限が切れていた。そんな事態を防ぐ目的ではじまった取り組みだ。防災品を日常的に使い、馴染んでおくことでいざというときにも違和感なく使うことができる。また日頃から防災品に触れることは、防災意識の向上にもつながる。
ブルボンの「柏崎市防災天然水」は、同社が本社を置く新潟県柏崎市危機管理部との協力で開発された。家庭であれば玄関やキッチン。オフィスであればエントランスロビーや食堂、リフレッシュコーナーなどに3~7日ぶんを常備しておき、ふだんは日常的な飲料水として活用。飲んだぶんだけ買い足すサイクルを想定している。
パッケージには柏崎市のキャラクター「えちゴン」を採用。親しみのあるデザインにしたほか、ローリングストックの方法や防災計画、柏崎市の防災・減殺ウェブサイトにつながるQRコードなどを記載した。
ブルボンでは、水を防災用備蓄だけではなく身近な場場所に置いておく「水の身近置き」も提案していくとしている。
消費期限3年のパックご飯 添加物不使用、独自製法でおいしさと長期保存を両立
アイリスフーズ(仙台市青葉区)は、3年間品質を保ち防災用備蓄に適した「長期保存パックごはん」を8月10日に発売した。
アイリスフーズによると、防災備蓄への意識が高まる一方、消費期限が迫った防災食品への対応、期限を過ぎた防災食品の廃棄といった問題が浮上しているという。今回発売された「長期保存パックごはん」は、常温保存で3年間品質を保持。遮光性の高いアルミ素材の外装と脱酸素剤の封入などで品質保持期間を延ばした。
パック内の白米は添加物不使用。15℃以下の環境で精米した米を水飲みで加工する、アイリスフーズの独自技術「低温製法米のおいしいごはん」を採用している。
自治体や企業の備蓄以外に一般家庭での使用も想定。湯せんや電子レンジで簡単に調理できる。災害への備えだけでなく、普段の食事でもおいしくたべられるという。