不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2019.09.16 15:38
「2022年まで200棟」へ スーパーホテルが出店を加速
売上高500億円 未開拓エリア進出も
ビジネスホテルチェーン大手のスーパーホテル(大阪府大阪市)は、全国で135店舗超を運営しているが、近年のホテル需要拡大を背景に、「2022年までに200棟、売り上げ高500億円」を目指し拡大戦略を続けている。
「今年の新規オープン計画は16棟、2020年も5棟が竣工予定です。引き続き拡大戦略を進めていますが、目標を達成するためには、出店ペースをもう少し速めていく必要があるでしょう」と山本梁介会長は話す。秋田・群馬・石川・福井・和歌山・佐賀・長崎は未開拓地域だ。これらのエリアには早急に出店し、全国を網羅していきたいという。
同社はこれまで、出店に際しては、自社で土地を持たずに建物のサブリースが主流だった。しかし、最近は自社所有も増えている。
「ここぞという東京はじめとする大都市圏の好立地は条件が非常に厳しい。ならば自社で所有したほうが長い目で見ればメリットが多い。いい場所を確保するためには今は必要です。以前出店した施設は安いところも多く、この含み益があるため、取得に踏み切ったのです」(山本会長)。
同社は「安全で、清潔、ぐっすり眠れる、低価格」をコンセプトに、1泊5000円以下の客室を提供してきた。しかし、昨年来、このコンセプトを大幅に変え、「Premier」ブランドに転換している。第一号店の「スーパーホテル プレミア銀座」(東京都中央区)は、ハリウッドツイン、コネクトルームなど従来のビジネス客にとらわれない層をターゲットにしているのが特徴だ。
「最新の映像を楽しめるルームはもちろん、従来通りぐっすり休めるよう高品質の枕やベッドを用意するなど、当社は顧客満足度をいかに高めるかに重点を置いています」(山本会長)。
高価格帯施設に転換 IT化の推進も進める
新ホテルは、インバウンドを意識したデザインだ。同社は今後、インバウンド比率を高めていきたいという。「インバウンドは現在、全体の9%程度ですが、これを15%にまで高めていきたい」(山本会長)。
近年、インバウンドの増加によって、ホテルの建設ラッシュが続いているが、来年以降需給バランスが崩れるとの見方も多くなってきた。山本会長は話す。「確かに、一時的には落ち込むでしょう。業界はこのペースでいけばいずれオーバーブッキングになることは間違いありません。近いうちにホテルの再編成は起きるでしょう。その時に主導権を握るためには、店舗の数や集客力が大きな武器となります。人材力や販売力含めた企業力の有無が問われる時が来るはずです」。
同社は1996年の第一号オープン以来、施設を常に進化させてきた。現在のホテルで最も重要視しているのが「IT化の推進」だという。「AIを積極的に取り入れることで、合理化と顧客満足度の向上を図っていきたいと考えています」(山本会長)という。
共立メンテがプレミアムブランド
全国にビジネスホテル「ドーミーイン」やリゾートホテル「共立リゾート」を運営する共立メンテナンス(東京都千代田区)は、東京・浅草に和風プレミアムブランド「天然温泉 凌雲(りょううん)の湯 御宿 野乃 浅草」をオープンさせた。
同施設は、つくばEXPRESS「浅草」駅より徒歩約4分に位置、地下1階、地上11階建て、客室数は154室。源泉は浅草観音温泉。ドーミーインの和風プレミアムブランドとして2016年に誕生した。現在、浅草を含め全国5カ所に展開しており、東京では初めての出店となる。
ビジネスホテルとしてユニークな全館「畳敷き」のテイストは、インバウンドはもちろん、日本人からも好評を博している。
浅草では、エントランスから館内に入るとすぐ畳の空間が広がり、宿泊客はチェックイン前より履物を脱いで畳敷きの和風テイストを体験できる。また、浅草寺まで徒歩約3分の場所にあり、雷門や浅草花やしきにも徒歩すぐの好立地にあることから、東京観光に適している。
客室は和風テイストに設え、全室にサータ社製ベッドを完備した。大浴場では湯の色が黒褐色した「黒湯」の温泉を楽しめる。夜食はドーミーイン名物のあっさり醤油ラーメン「夜鳴きそば」を無料提供する。
共立メンテナンスは1979年に設立、企業の給食受託業務から事業を開始した。その後、学生寮、社員寮を運営する「寮事業」を、さらにビジネスホテル・リゾートホテル運営する「ホテル事業」へと、事業領域の拡大を図ってきた。また、高齢者向け住宅を提供する「シニアライフ事業」、自治体と連携して公共サービスを支援する「PKP(Public Kyoritsu Partnership)事業」を展開している。
JR九州が新ブランドを立ち上げ
JR九州ホテルズ(福岡県福岡市)はこのほど、「この旅に、この地にひらく感動の花を。」をコンセプトに掲げた新ブランド「THE BLOSSOM」を立ち上げた。8月20日、第1号となるホテル「THE BLOSSOM HIBIYA」を東京都港区新橋1丁目に開業した。
同ホテルは、JR「新橋」駅から徒歩5分に位置、建物は地上82m、ホテル部分は18階から27階。客室数は255室。
全9タイプからなる客室は、22~61㎡で、全客室に洗い場付きのバスルームを備え、足元から天井まで一面に広がる大きな窓からは高層階ならではの都心のダイナミックな景色を見ることができる。
25階から最上階27階のコーナーに設けられた全12室のプレミアムルームは、足をのばしてゆっくりとくつろげるソファのあるリビングルームや、シモンズ製のベッドを配したベッドルームを備える。アメニティはイタリア・カプリ島生まれの"カルトゥージャ"を採用、ミニバーには大分県・日田市の梅酒工場「梅酒蔵おおやま」が熟成を重ねてつくった梅酒をはじめ、アルコールやソフトドリンクも用意している。
また空調や照明、カーテンの操作がタッチパネルで簡単に一元管理できるタブレット端末を備えるほか、19階には最新のマシンを完備したフィットネスルームや会議にも対応できるミーティングルームなど、長期でも快適な滞在を実現できる施設も完備している。
ダイニングは日本の伝統的な櫓組を彷彿させる日本酒バーを兼ね揃えた和食レストラン「十十六(そとろく)」。朝食は九州の食材などを採り入れた和洋ブッフェスタイルで提供。
レッドテック 浅草エリアにインバウンド向けオープン 茶室をモチーフに
レッドテック(東京都中央区)では、花街の雰囲気が色濃く残る浅草観音堂裏エリア、通称奥浅草にて、インバウンド向け「茶室ryokan asakusa(チャシツ・リョカン・アサクサ)」をオープンさせた。
この施設は、地下鉄銀座線「浅草」駅徒歩8分に位置、敷地面積85・97㎡、建築面積56・31㎡、延床面積336・57㎡、客室は全10室。付帯設備は1階部分に16席のラウンジ、貸し切り露天風呂を併設する。露地に見立てたエントランス、足湯のできる待合、にじり口を彷彿とさせる小さな扉から入る客室など茶室の構成要素をモチーフにした空間設計が特徴だ。
全てデザインの異なる畳み敷きの客室は、天井を低く抑えたミニマルな空間で、母胎回帰を連想させ包み込まれるような不思議な落ち着きと、コンパクトな空間には、日本の居室文化の中で育まれた空間作り。空間に奥行きを生む「手漉き和紙の障子」、「季節を感じさせる掛花」、「内と外を曖昧にする坪庭」、「風炉先屏風や襖、御簾など」、日本の間仕切り文化など空間工夫を体感できる。
建築デザインには自然と建築を一体的に捉えた設計によって国内外で高い評価を受ける建築家 前田圭介氏で、「庭屋一如」の考え方から茶室、路地、坪庭といった日本らしさを現代的に解釈している。
サービススタイルは、部屋数をその日の宿泊者の顔とプロフィールが把握できる宿泊人数に抑え、茶の湯で主人が客人をもてなすように、お節介を貫くという。スタッフは浅草に居住し、地元ならではの情報を知り尽くし、ここでしか入手できない珠玉のローカル情報を提供していく。
アパホテルが「第1回事業相談会」実施
アパホテル(東京都港区)では、9月13日に「第1回 ホテル事業相談会」を実施した。
これは、「ホテルの売り上げを上げたい」「土地の有効活用で収益化したい」「不動産の売買を考えたい」といった悩みを抱える、既存ホテル運営会社、土地オーナー、不動産会社を対象に行うもの。同社の各セクションの専門家が対応する。
同社では定期的に、フランチャイズ事業を中心にした加盟店を募集する「フランチャイズ説明会」を行っているが、今回はさらに対象を広げたものとなっている。
13時から15時までの間、同社の紹介やホテルの市場動向の後、個別の相談、情報交換会を行った。
場所は赤坂にあるアパグループ東京本社、定員は20名が参加した。
また、同社は、「フランチャイズ説明会」を10月10日(木)に山口エリアで行う。場所は「新山口」駅前にあるYIC Studioにて。
「LINEトラベル.jp」にレジャーホテル掲載
USEN―NEXT GROUPのアルメックス(東京都品川区)では、ベンチャーリパブリック(東京都港区)とLINE(東京都新宿区)が共同で運営する国内最大級の総合旅行情報メディア「LINE トラベル jp」にレジャーホテル宿泊・休憩プランの掲載を開始した。
アルメックスが運営する「ハッピー・ホテル」は、日本のレジャーホテル約6500軒を掲載する国内最大級のカップルホテル専用予約・検索サイト。レジャーホテルでは現在、カップル以外の新たなユーザー獲得を目指し、女子会プランやビジネスプランなどの予約サービスを提供している。
今回、更なるユーザーの獲得を推進するため、ハッピー・ホテルに掲載されている予約プラン(宿泊・休憩)の情報を掲載することになったもの。国内事業者とのアライアンスは、楽天トラベルに次いで2社目となる。
「LINE トラベル jp」は、月間訪問数2000万超を誇る国内最大級の総合旅行情報メディア。大手旅行会社を含む約250社の各種旅行商材をまとめて検索・比較することができるほか、「LINNE トラベル jp 旅行ガイド」では、現地に詳しい専門家が、旅先の新たな魅力を発掘・発信している。