不動産トピックス

ホテル運営会社 次の一手を探る

2019.09.30 17:21

ベッセルホテルが新ブランド「レフ熊本」12月21日オープン
 全国でホテル事業を展開しているベッセルホテル開発(広島県福山市)は、「ベッセルホテル」、「ベッセルイン」、「ベッセルホテルカンパーナ」に続く、4つ目となる新ブランド、「REF by VESSEL HOTELS(レフ バイ ベッセルホテルズ)」を立ち上げた。第一号として、「レフ熊本 by ベッセルホテルズ」(熊本県熊本市)を12月21日にグランドオープンさせる。同社は現在、全国で23施設を運営しており、2021年夏に開業が決定しているホテルを含め、計31施設となる予定だ。
 同ホテルは、敷地面積1361・74㎡、床面積7844・44㎡、うちホテル部分床面積6386・41㎡、建物は鉄骨造地上12階建て、2階から12階がホテルとなる。施主はプラザエステート、運営は同社で、設計・施工は大和ハウス工業が担当する。  客室は、シャワーブースシングル117室、スタンダードツイン53室、モデレートツイン47室、スタンダードダブル9室、プレミアムツイン2室、アクセシブルシングル1室の合計229室。
 熊本市の中心部として、もっとも賑わう新市街エリアに開業する。コンセプトは、「THE BATH」。日本庭園を眺める露天風呂付き大浴場は、壺湯や木製風呂など多彩な風呂を用意したほか、露天風呂付き客室「プレミアムツイン」を2部屋設置した。
 他のブランドと同様に、18歳以下の子供添い寝無料。12歳以下の子供は朝食も無料。ベビーベッドなどの貸出品、子供用アメニティやおむつ・おしりふきなどベビー用品も無料で提供する。  男性、女性ともに、洗顔、化粧水、フェイスマスクなど様々な無料アメニティを自由に選ぶことができる。到着時のおもてなしとしてウェルカムドリンクも無料で用意する。
 新ブランドとなる「REF」とは、Regional(地域)・Experience(経験・体験)・Flexible(自由に、柔軟に)を由来とし、その土地にある自然、芸術、工芸や食文化など、地域の個性を掘り出すことで、宿泊客に旅の本質的な価値を感じてもらえるホテルとなることを目指していきたいという。  「近年、ライフスタイルの変化にともない、価格の合理性やアクセスの利便性から、これまで出張者が利用するホテルとされてきた"ビジネスホテル"の定義が変化し、ホテルを利用するお客様のニーズは多様化してきました。そこで、ベッセルホテルズでは、既存のブランドの枠を超え、新たなコンセプトを掲げるホテルブランドの必要性を感じ、ホテルチェーンの"画一性"からの脱却を目指し、REF by VESSEL HOTELSを立ち上げました。REF by VESSEL HOTELSは、地域の自然や工芸、芸術、食文化をベッセルホテルズならではの視点で取り入れ、お客様に旅の本質的な価値となる空間や体験をご提供するとともに、地域の方々にとっても、さまざまな機会をご提供し、地域で愛されるホテルを目指していきたいと考えています」(瀬尾吉郎社長)

和文化体験型宿泊施設を法隆寺に 和空プロジェクトが街の活性化として
 和空プロジェクト(大阪府大阪市)は、和文化体験型の宿泊施設である門前宿「和空 法隆寺」(奈良県斑鳩町)をオープンさせた。
 同施設は、敷地面積4375・14㎡、延床面積2934・97㎡、軽量鉄骨造2階建て、西方館・東方館の2棟。総客室数60室。大広間、門前風呂、ギャラリー、ラウンジなどを併設する。設計・施工は積水ハウス。
 館内には、畳敷きにローベッドを配した和モダンな寛ぎの客室を中心に、茶道・華道・書道・香道など各種「和カルチャー・いろはのい体験」ができる100畳の大広間、奈良の地酒を味わいながら日本の歴史や文化、仏像トークが楽しめる法隆寺Gallery BAR(ギャラリー・バー)、日本の風呂文化のルーツでもある寺湯の流れを汲む貸し切り可能な門前風呂などを配置する。
 食事は、全日本調理師協会名誉会長で北新地「神田川」店主・神田川俊郎氏の監修により、夕食は大和牛や大和肉鶏、伝統大和野菜など地域の食材を活かした門前懐石料理や特別精進料理が中心。また朝食は、朝からすべて手作りの健康和食バイキング料理を提供する。 
 同施設は、法隆寺を中心とした「まちなか観光」を実現するため、斑鳩町が2014年に条例を改正、用途制限を緩和したことによって実現した規制緩和第1号ホテルで、歴史文化資源豊富な斑鳩の里の景観に配慮した建物となっている。
 日本初の世界遺産・法隆寺の参道に開業する同施設は、「ひとりでも多くの方に寺社へ足を運んでもらうために」を活動理念として掲げている一般社団法人全国寺社観光協会が監修する「参道活性プロジェクト第1弾」となる和文化体験型の宿泊施設だ。
 和空プロジェクトは、一般社団法人全国寺社観光協会の監修のもと、寺社やその周辺地域で門前宿や宿坊などの宿泊施設の創設を推進し、滞在型コンテンツの開発や総合的なコンサルティングを展開。グローバルな視点で、日本の伝統寺社の魅力と付加価値を高め、国内外に広めることによって地域振興を図る事業に取り組んでいる。

蒼樹 ”茶・映画・旅”コンセプトホテル
 ホテル開発コンサルティング等を展開している蒼樹(ソーウッド)(東京都墨田区)では、「数寄と出会い、風景が重なる舞台」をコンセプトにし、茶・映画・旅という3つの要素が集約した宿泊施設、泊まれるシアター「Theater Zzz」(シアターズィー)をオープンさせた。
 同施設は、都営地下鉄大江戸線「両国」駅より徒歩4分に位置、テント数は男女共用で最大18名が収容できる16テント。元々印刷工場だった倉庫を、シアターの起源である屋外劇場の形状を活かした都会のオアシスのような開放的な空間にリニューアルしたもの。
 一つの空間を時間帯に合わせて複数の機能をもたらせることで空間と時間の有効活用を図り、「茶・映画・旅」それぞれの要素が時間とともに滲み出していく空間設計となっている。
 空間に合わせてオリジナルで制作した三角テーブルや、テントを組み合わせることで姿形を次々に変えることで、一人から多数の人々が利用できるようにした。テントでの宿泊はパーソナルスペースの境界を曖昧にし、コミュニケーションが生まれやすいという。館内には会議室も完備しており、テント一つ一つを固定のコワーキングスペースとして利用できるプランも用意する予定だ。
 シアターイベント企画をプロデュースする「Do it Theater」と連携し、"交流"をテーマにした英語字幕での日本映画の上映や、ゲストを呼んでの上映会など、 様々なイベントを実施する。夜はそのままシアタースペースにテントを張り、宿泊が可能だ。朝には「ものがたり食堂」プロデュースの朝食メニューも提供し、到着から出発まで、都心にいながら非日常を演出する。
 また、ティーエッセイスト・日本茶アーティストの茂木雅世氏が茶の選定及びオリジナルレシピ開発監修する。宿泊施設と一体となっており、 視覚で楽しめるドリンクや、一人一人の気分に合わせたブレンドティーを自らが選び、組み合わせ、茶を入れるという特徴的な「SUKICHA」なども用意する。
 同社では、2020年を前に盛り上がりを見せるイーストトーキョーエリアで、海外からの旅行者や、地域の人々、そして茶や映画や旅が好きな人が垣根を超えて交流し、文化を発信する場として期待している。

変なホテル レンタルバッテリーサービス 東京電力グループとの協力で
 H.I.S.ホテルホールディングス(H.H.H 東京都新宿区)は、東京電力エナジーパートナー(東京都港区)が展開するモバイルバッテリーシェアリングサービス「充レン」をホテル業界として初めて本格導入する。
 「充レン」とは、東電エナジーパートナーが提供するモバイルバッテリーレンタルサービス。2018年7月よりサービスを開始しており、現在26施設30拠点でレンタルスタンドでモバイルバッテリーシェアリングサービスを展開。2020年度中には1万台のレンタルスタンド設置を目指している。 
 スマートフォン、WiFiルーターや電子タバコ等のモバイル端末の普及に伴い、外出中の「バッテリーがない」など行動における充電場所の確保が重要になっている。アジア圏内や北米でも、急速にモバイルバッテリーのシェアリングサービスが普及しており、訪日外国人のニーズも高まっている。 
 H.H.H.は、ホテルに滞在する宿泊者に対し、外出中でもより便利で快適に滞在できるよう「変なホテル東京 赤坂」、「変なホテル東京 浅草橋」を皮切りに、モバイルバッテリーを24時間気軽にレンタルができ、借りた場所以外でも返却可能な「充レン」を設置する。これにより宿泊者は、外出中にモバイル端末の充電切れに対応できるだけでなく、災害等による停電や緊急時にも対応が可能になる。 
 公共交通機関をはじめ商業施設に展開する「充レン」サービスを変なホテルでも順次導入をする計画だ。

スーパーホテルが外国人対策 「AI通訳」「映像通訳」導入
 スーパーホテルはこのほど、自社で運営する店舗でインバウンドに多言語による「AI通訳」と「映像通訳」を導入した。益々グローバル化する宿泊ニーズに対応するため、訪日外国人観光客向けに幅広い日本のおもてなしを提供していきたいという。
 同社は宿泊者とのコミュニケーションの際に通訳サービスを導入し、外国人客にとってストレスフリーな環境整備を行っていく。実施に当たっては、多言語コンタクトセンターを運営するインバウンドテック(東京都新宿区)との協業により、体制整備と対応力の強化を図る。 
 インバウンドテックが運営する「AI通訳」は、クラウド上で学習を続ける人工知能による相互リアルタイム会話翻訳により63言語に対応している。また「AI通訳」でカバーしきれない対応については11言語対応のオペレーターで有人通訳を行う「映像通訳」でバックアップするハイブリッド通訳サービスだ。 
 有人通訳を行う「映像通訳」の対応言語は英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語・タイ語・タガログ語・フランス語・ネパール語と日本語含めた11言語で携帯電話などを介して日本語検定1級相当のオペレーターが通訳を行っていく。
 スーパーホテルは現在、全国で136店舗のほか、海外ではベトナム1店舗、ミャンマー2店舗の3店舗を運営している。




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