不動産トピックス
今週の一冊
2019.10.07 14:26
取引の初歩から引き渡しまで解説
超入門 不動産の教科書
著者:徳本友一郎
発行日:2019年6月15日
発行所:新星出版
価格:1400円(税別)
不動産は奥が深い。というより、不動産業界は奥が深いというべきか。土地や建物というごくシンプルなモノのはずだが、なぜ売買の対象になると、一転、こうも複雑怪奇になるのだろうか。所有権や抵当権あり、ときには差し押さえられ、開発計画が持ち上がると価格高騰を狙い地権者の前には不動産業者が門前市をなすほど多数日参し、名刺が積み重なりその高さは何メートルにもなったという嘘か誠かの逸話のある土地もある。もちろん地面師の存在も忘れてはならない。浜の真砂は尽きても地面師は尽きるまい。
さて、本書は不動産の「超」入門書。主に不動産取引の初歩的な用語から売買取引の流れを分かりやすく説明している。
「大切なのは売主に査定額を納得してもらうこと」、「最近では、個人の売主の方も勉強していて」、事前にインターネットで相場を調べる人もいるが、「こうした売主には、客観的な各種のデータを示しながら分かりやすく丁寧な説明をすることが大事」だそうだが、語るに落ちる、だろうか。不動産業界は今まで素人である顧客にロクに説明もしないまま、言い値で物件を売らせていたということか。査定額を提示するならすべての顧客に根拠を説明するのは当然ではないのか。不動産業界の真の変革を切に願う。