不動産トピックス
今週の一冊
2019.11.11 12:02
建築界はスターの時代?世界各国の名建築と技術
世界でいちばん素敵な建築の教室
編集・文 ロム・インターナショナル
発行日 2019年7月15日
発行所 三才ブック素
価格 1500円(税別)
オールカラーのずっしりとした厚い本のなかには、世界の名建築の美しい写真がふんだんに使われ、まずは芸術鑑賞のようだ。歴史ある重厚な建築物だけでなく、鉄の網目ファサードに覆われたフランスのヨーロッパ地中海文明博物館、15度も傾いた2棟の建物が「ハ」の字型に建つスペインのプエルタ・デ・エウローパなど、奇抜で斬新なデザインの建築物が世界中にこれほどあふれていたとは驚きだ。
Q&A形式の解説は、単なる建築のトリビア紹介にとどまらない。「同じ面積でも広く感じる部屋と狭く感じる部屋があるのはなぜ?」、「建築の黄金比は?」、構造計算や建設費用の傾向、地震国日本の研究と工夫、戦後モダニズム建築、脱構築主義など社会変化にも視点は広がり、読み応え十二分の一冊。
なお、「大胆な設計が実現可能となり、いまや建築界はスターの時代」という。「建築技術の発展に伴い、かつては建築不可能だった複雑な設計も実現」とは良い面ばかりではあるまい。慢心のあまり、現実に建築可能とはいえ、度が過ぎれば「バベルの塔」になりかねない。技術の発展は素晴らしいことであるが、同時に警鐘も鳴らし続けるべきではないか。