不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2019.11.25 10:51
アンド・ファクトリー 宿泊施設のIT化を促す 近未来の体験型ホステルは全国で9店舗に
and factory(東京都目黒区)では、レンブラントホテルマネジメント(神奈川県厚木市)が運営する「レンブラントホテル厚木」(同)にホテル・旅館向け客室内タブレットサービス「tabii」を導入した。導入施設として初のシティホテルとなる。
これは月額無料で利用できる宿泊施設向け客室タブレットサービス。宿泊者は館内案内やホテル周辺の観光やグルメなど各々のニーズに応じた情報を得ることができるほか、エンタメ動画を楽しむことができ、客室内にタブレットがあることで滞在中の満足度を提供できる。
一方、宿泊施設は、宿泊者からのよくある質問を「tabii」がコンシェルジュのように答えることで、スタッフの業務軽減を図ることが可能になる。
「レンブラントホテル厚木」は、観光・レジャーやビジネス、コミュニティの集まりや婚礼など多く利用されている地域密着型のシティホテル。
同サービスの導入により、各種観光情報や案内を効率的に宿泊者に提供でき、また現場の生産性を向上させる取り組みとして期待が高まっている。
同ホテルに導入する「tabii」は、べーシックな機能に加え内線電話を搭載しており、客室の内線電話機設置を不要とし、PBX設置にかかる設備費用も抑えることを実現させた。
and factoryは現在、自社でもIoT体験型宿泊施設「&AND HOSTEL」を展開している。
この施設は、様々なIoTデバイスを1ヶ所に集結させ、近未来のIoT空間を提供する体験型宿泊施設。2016年の第一号開業から既存店舗はいずれも高い稼働率を保っている。これまで東京都内を中心に展開してきたが、さらなる事業拡大を目指し、9店目に大阪で開業させた。
「&AND HOSTEL HOMMACHI EAST」(大阪府大阪市)は、大阪メトロ中央線・堺筋線「堺筋本町」駅出口1より徒歩5分に位置、鉄骨造陸屋根10階建て、面積2091・73㎡。客室はLuxury IoT Room10室・Double Twin Roo㎡室・Double Room47室・Twin Room7室・Dormitory14床の定員150名。
同施設では、 IoTルーム宿泊に対し、チェックイン時に鍵ではなく専用のスマートフォンを貸与する。独自に開発したIoTプラットフォームアプリ「&IoT」を用いて、ドアキーの開錠施錠はもちろん、テレビやエアコンなど居室内の様々な家電の操作が可能になる。
「起きる」「寝る」「リラックス」など6シーンで、居室内のIoTデバイスが作動し利用シーンに応じた快適環境を瞬時に整える。例えば「起きる」モードでは、カーテン、スマートスピーカー、照明、テレビ、空気清浄機の5デバイスが一斉に起動し、起床に適した環境を提供する。
また、センシング技術やクラウドデータとの連携により、天候、防災情報の通知や、ラウンジの混雑状況、洗濯機の使用状況などリアルタイムな情報を提供する。
ケン・コーポレーショングループ 最高級ラグジュアリーをグアムへ
国内・海外に32軒のホテルを所有、展開するプレミアホテルグループ(東京都港区)は、グアムで最上級のラグジュアリーホテル「The Tsubaki Tower(ザ ツバキ タワー)」を2020年4月25日に開業させる計画だ。
同ホテルは、敷地面積約2万2000㎡、延床面積 約4万3500㎡、27階建て、客室はスタンダードルーム・クラブルーム278室、スイート各種62室の合計340室。
美しいガンビーチへと続くタモン湾岸の高台にそびえる同ホテルは、グアムで最高層クラスの高さを誇る。そのためホテルからは紺碧の太平洋の壮大な景色が見渡せるほか、免税店やショッピング施設の立ち並ぶタモン中心街までも徒歩圏内の立地であり、高い利便性も備える。
“Power of Nature”をデザインコンセプトに、地上から最上階までホテル全体を通してグアムの美しい自然、地層や海底から天空、星空に至るまでを表現し、グアムの歴史や自然を体感できる造りとなっている。
ホテル内の全客室をオーシャンフロントビューに構えており、室内の広さがグアムの同カテゴリーで最大の45㎡の広さとなるスタンダートルームでも、太平洋の壮大な景色を一望できる13㎡ものバルコニーを設ける。
館内にはダイニング2種、バー3種、ロビーラウンジ、デリ、テイクアウトカフェといった多彩な料飲施設を備える。
プレミアホテルグループは、首都圏の高級不動産賃貸市場の老舗企業ケン・コーポレーション グループで所有・運営のホテルを統括したホテルグループ。現在、海外はグアム・サイパンを中心とした9施設、国内は東京、大阪などの主要都市を中心に23施設、計32施設・約8000室を、自社ブランドのほか、ホテル業界の一流ブランドと提携するマルチブランドで展開している。
Kabuk Style 定額住み放題サービス138拠点に
KabuK Style(長崎県長崎市)では、定額制住み放題サービス「HafH(ハフ)」として利用可能な拠点を新たに追加、11月から16の国と地域、138拠点で利用可能となった。2019年度中には、海外50都市以上の拠点も利用できるようネットワーク施設をさらに拡大していきたいという。
今回追加される利用可能拠点がある地域は、福島・山形・東京・埼玉・岐阜・大阪・三重・広島・千葉の国内12地域、海外はマレーシア・ジョージア・台湾。
国内の主な施設であるYUMORI ONSEN HOSTEL(福島県土湯温泉)は、歴史ある湯治場である土湯温泉の旅館を改装したもの。グランピック ゲストハウス(山形県)はDIYによる居室やカフェが特徴。voido(千葉県富津市)は、合宿用途のため作られた作業に集中するための宿泊施設で、フリーランスの移住者が集まる注目の街・富津市金谷にあり、すぐ横には川が流れ、鋸山への登山も可能だ。
また、ツネホステル館山(千葉県館山市)は、築38年の元診療所をリノベーションした施設。都内から高速バスで90分、房総半島の南端の街・館山にあり、海岸まで徒歩10分のロケーションにある。
タップ システム大手が実証実験ホテルをオープン
ホテル専業PMS大手のタップ(東京都江東区)では、実験ホテル「THL沖縄」を2021年春をめどにオープンさせる。
建設場所は沖縄のIT津梁パークというビジネスパーク内に計画。同社が開発するシステムの実証実験としての施設になる。AIはもちろん、ロボテクス、ビッグデータ解析、デジタルマーケティングなどなるべくフィールドに近い場所で検証する場として機能させていく。例えばロボットを導入する際に想定通り動くかどうか、自分で体験する場所といった使い方もできる。
同社は全国で700以上の施設に基幹システムを提供しているが、システムはより高度化、複雑化が進んでいる。このため施設によっては使いこなすことができないところも増えている。このため、ユーザーの研修施設としての役割も担う。同社ではホテルスタッフの教育の場としてオペレーション研修はもちろん、学生の実地研修の場としての利用も期待している。
インバウンドの増加、民泊に代表される新たな宿泊施設の登場、AIの進化など、ホテル経営を取り巻く環境は大きく変化してきている。それだけに同社の動向に注目が集まっている。
現在、同社は新たに海外市場の開拓、現場スタッフの教育支援、人材育成のための日本語学校のグループ化など続々打ち出している。実験ホテルもそのうちの一つ。
同社の林悦男会長はこうした環境の変化に対して、「ホスピタリティサービス工学」と称する新たな概念を提唱した。
「ホテルのサービススタイルは、これまでスタッフが個人の力量で臨機応変にサービスを提供する『パーソナルサービス』、スタッフが統一基準によってサービスを提供する『ヒューマンサービス』から、PMSをプラットフォームにすることでサービスに変換される『テクノロジーサービス』へと変化してきました。『ホスピタリティサービス工学』とは、この3つを融合し、ホテルのサービスポリシーに対応した最適な組み合わせを導く技術なのです」(林会長)という。
カトープレジャーグループ 「分譲」ホテルオープン前に完売
カトープレジャーグループ(東京都千代田区)が新たにオープンさせた「GLAMDAY STYLE HOTEL&RESORT OKINAWA YOMITAN(グランディスタイル 沖縄 読谷 ホテル&リゾート)」(沖縄県中頭読谷村)が好評だ。
1室ごとにオーナーが存在する分譲ホテルという形式が特徴。これは同社が運営する「カフーリゾート フチャク コンド・ホテル」に続くもので、2018年2月より客室ごとの分譲販売を行ったところ約5か月で完売したという。
同施設は那覇空港より車で約53分に位置。敷地面積4278㎡、鉄筋コンクリート地1階、地上4階建て。客室はスーペリア20室、内1 室ユニバーサルルーム、デラックスツイン25室、プレミアムコーナージュニアスイート5室、プレミアムセントラルスイート4室の合計54室で平均平米数は50・32~78・70㎡。
付帯施設はレストラン・カフェラウンジ・バー・プール・スーベニアショップ。平均単価は3万5000円から。事業主はIMD Alliance、販売代理 は東急リゾート・グランディスエステート、運営はカトープレジャーグループ。
同施設は、沖縄本島では珍しい54室のラグジュアリーリゾートで、全てツイン仕様。
同社では初めて16歳以上限定とした大人リゾート。夜は無数の輝きが水面を染める曲線のナイトプールがBARとなり、2万個の光と音による演出も用意した。
購入者は、ホテルオーナーとして利用できるほか、利用しない期間はホテルの客室として運用することで、年4回のペイバックを得ることができる。さらにオーナーの要望に応えるバトラーが24時間常駐する。
同社はリゾートホテル分野では、沖縄で「1000室プロジェクト」を打ち出し積極的に展開。現在、「カフーリゾートフチャクコンド・ホテル」、「オキナワグランメールリゾート」と合わせて633室を運営している。
「開業予定を含めると687室となります。2020年までには1000室まで拡大していきます」(加藤友康社長)という。