不動産トピックス

日本橋特集 街を彩る名店探訪 佐々木印店

2020.01.06 11:49

室町 印鑑店「佐々木印店」 江戸幕府御用達の趣

  「佐々木印店」は、江戸の頃から日本橋・室町に店を構える老舗印鑑屋だ。
 東京進出は近江の国出身である初代・佐々木伊賀が、徳川家に仕えて江戸に移り済んだことに由来する。伊賀は江戸幕府の御用職人として細工所に仕え、幕府御用達の印判師となった。以来代々、歴代将軍、御三家、御三卿、諸大名等の印章を製作した。
 江戸時代における同店の歴史・変遷に関して、区の有形文化財である「佐々木家文書」に記されている。「佐々木家文書」は「江戸時代の華」火事も潜り抜け、その後の幾多の戦災にもかかわらず生き残った。文章史研究の上でも重要なものとされている。
 1867年の江戸幕府終幕を契機に、法人や一般の人を対象として印鑑を彫るようになった。  現在は衆議院事務局の業務印や老舗・大手企業の業務印の作成も行う。取り扱う印鑑は「本拓」「黒水牛」「白水牛」「象牙」の4種類。中でも一番人気は水牛の印鑑だという。
 2003年頃からは一つ一つ手彫りをすることはやめ、機械を導入している。上原氏は「職人が少なくなり、やむを得ない選択だった」と語る。しかし、一方でこだわりがあるという。上原氏は、「印鑑製作の機械には基準となるフォントがもともと設定されています。しかし、機械の字をそのまま彫るのではなく、職人が実際に彫った字を機械に覚えさせています。作業は機械化しましたが、昔と変わらない手彫りの趣は残したい」と語る。
 また、「室町は、ここ数年で大きく変わったと感じる」という上原氏にとって日本橋はどのような存在であるか。
 「日本橋は、私にとって『ふるさと』です。街並みはすっかり変わりましたが、時代と共に変化していくものであるとも思っています」(上原氏)。




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