不動産トピックス
クローズアップ マッチングサイト編
2020.01.14 11:25
ネットを介したビジネスの発達が著しい昨今、BtoCおよびCtoCによるマッチングのサービスが人気を集めている。不動産業界も例外ではなく、「貸し手」と「借り手」を繋げるビジネスが台頭する。今回は、不動産業界におけるマッチングサービスの最前線を取り上げる。
友安製作所 「カシカシ」提供開始 リノベーションから成約まで一貫的に
大阪府八尾市にてインテリア・DIY製品の販売事業を行う友安製作所は、昨年12月に空きスペースを「貸したい人」と「借りたい人」をつなぐマッチングサイト「カシカシ」をリリースした。
インテリア・DIY商材の販売業として親しまれてきた同社が新たに貸しスペースのマッチングサイトを始めたのはなぜか。「きっかけは、『使われていない場所をどのように使うか』と考えたことでした」と語るのは、代表取締役社長の友安啓則だ。友安氏は「地元である大阪には、本来であればもっと需要があるはずの空きスペースが多くありました。空きスペースのマッチングサイトを通じ借り手を見つけることが今では一般的になってきています。しかし、壁がきれいに塗り直されていない場合、部屋をマッチングサイトに出しても借り手がなかなか見つからないことが現状では多いのです」と続ける。
リノベーション商材を長年扱ってきた同社は、そんな折に空きスペースのリノベーションからマッチングまで一貫して行うサービスを試験的に行った。すると別のマッチングサイト利用によって月に1~2万の収益を得ていた空きスペースが、月30~40万と利益が跳ね上がった。部屋をリノベーションし利用者が快適に過ごせる状態にすることで、同社の事業の宣伝にもなり双方にメリットがあると考えたのだ。
リリースから1カ月たった現在、登録オーナー数は300人を超え、現在も日々登録数は増えているという。特に現在はキャンペーン特典として成約手数料を15%で提供中であり、その効果も大きいとみられる。
「今の段階では、まずオーナー様の登録数を増やすことに専念しています。現在は、アプリ制作に向けてユーザー様のニーズや動向をデータライズする作業を行っています。今後はさらに、ユーザー様にとっても使いやすいサイト運営を心掛け成約数も増やしていければと思っています」(友安氏)。
また、同社はブランディング戦略の一つとして東京・浅草橋と大阪・阿倍野でカフェの運営も行う。店内は同社のリノベーションデザインを楽しめるほか、DIY体験もできる。インテリア販売とカフェ事業、「カシカシ」のそれぞれと連携し、同社のリノベーション事業について包括的なアプローチに使っている。
MFS 三菱地所レジデンスに住宅購入希望者を紹介 購入価格把握により高いマッチングを実現
オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」を運営し、その中で住宅ローン借り入れ可能額証明書「モゲパス」を提供するMFS(東京都千代田区)。同社は、三菱地所レジデンス(東京都千代田区)と提携し、1月6日から「モゲパス」を取得した住宅購入希望者の紹介を開始した。
これまでの家探しは、物件を決めた後に住宅ローン審査の申込みを行うことが一般的で、「自分が借り入れできる金額がわからないので、物件選びの予算を把握しにくい」という難点があった。そのため希望の物件が見つかっても想定通りの金額のローンが借りられないケースもあり、住宅購入希望者はもちろん販売を行う不動産会社にとっても非効率な状態となっていた。
同社は、これまで住宅ローンコンサルティングで培った総額300億円、1200件以上の住宅ローン媒介のノウハウを活用。昨年7月から、金融機関の審査の前に約90%の精度で借り入れ可能額を推定し、その証明書となる「モゲパス」をオンライン上で発行するサービスを開始していた。今回、三菱地所レジデンスと提携することにより、購入希望者は自身が借り入れできる金額を把握したうえで、予算内の住宅を効率よく探せる仕組みを提供する。具体的には、購入希望者が「モゲパス」サイト上で17項目の情報を入力するだけで、自分が借りられる住宅ローンの金額と金利が記載された「借り入れ可能額証明書」を無料で取得することができる。次に購入希望物件のタイプや地域を指定すると、マイページ上に借り入れ可能額に応じた三菱地所レジデンスが提供する物件が表示される。さらに購入を検討したい物件を指定すると、三菱地所レジデンスの営業担当者から当該物件に関する詳しい情報が提供されるという仕組みだ。
購入希望者は、高い確率で「モゲパス」通りの条件で住宅ローンが借りられる安心感から物件を選びやすくなり、一方の不動産会社の営業担当者にとっては価格帯を想定した商談がしやすくなる。
同社は今後も「モゲパス」と提携する不動産会社を増やす見込みだ。