不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2020.01.27 15:02
KPG 高級リゾート施設を相次ぎオープン 軽井沢は新ブランド、日光は旅館
ホテルはもちろん、リゾート、レストラン、スパ、エンターテインメントなど多岐にわたる事業開発や運営を展開しているカトープレジャーグループ(東京都千代田区)では、スタイルの異なる宿泊施設を相次いで開業させる計画だ。インバウンド需要の高まりから都市部を中心に2020年はホテル竣工ラッシュの年になっているが、同社は対照的にリゾートエリアでの出店を推進している。
休日の在り方に一石 伊老舗料理店も入居
4月30日には、長野県軽井沢エリアにソーシャライジングホテル「TWIN―LINE HOTEL KARUIZAWA JAPAN」が稼働する。
同施設は、JR「軽井沢」駅より徒歩7分に位置、部屋数は16㎡から42㎡までの4タイプ51室。料金は1泊1名2万4000円から。ラウンジ、レストラン、スーベニールショップなどを併設する。
この施設のコンセプトについて同社の加藤友康CEOはこう話す。「テクノロジーの発展、グローバル化など環境が変化する中、労働を時間で管理するのではなく、『自分らしく仕事の質』が向上できる環境が求められています。働き方改革やプレミアムフライデーにより、休暇や週末の過ごし方も変化し、ホテルに対してのニーズが多様化する中、当館は”シェアする過ごし方“と”パーソナルな過ごし方“、常に二つの対比があるのが特徴です」。
このため同施設は、クリエイター、カルチャー感度の高いインバウンド、アンテナを高くはった若者、アーティスト、ノマドワーカーなど、現代のテクノロジーに精通した人々のニーズを期待している。これらの層はデザイン性が高く、居心地の良い中でシェアを好み、繋がりを持って生活し、その生き方を楽しんでいるというのがその理由だ。
また併設するレストランは、2019年11月に日本初上陸を果たしたスペイン皇室御用達の老舗レストラン「Jose Luis」。スペイン・マドリードで60年以上市民に愛されてきたホセ・ルイスの軽井沢出店は日本2号店となり、リゾート型としては、世界初の試みになるという。
皇室静養地跡に建築 全国ブランド展開も
一方、7月15日に開業を予定している「ふふ 日光」(栃木県日光市)は、1914年竣工の「田母沢御用邸付属邸」跡地に建築した、スモールラグジュアリーリゾートだ。
同施設は、田母沢川を挟んだ「田母沢御用邸」とともに、皇室の静養地として利用されてきた土地。日光田母沢御用邸記念公園に隣接し、世界遺産である日光の社寺も近傍に有するロケーション。
2006年まで日光田母沢ホテルとして利用されていた。敷地面積約1万4000㎡にものぼる。
施設は、延床面積約3000㎡、全室に天然温泉の露天風呂を配置した50㎡以上の総数22室のスイートルーム仕様となる。
同社が標榜する「スモールラグジュアリーリゾート」とは、文字通り小規模施設で、加藤CEO曰く「ロケーションはもちろん、建築、料理、光、音と全てに亘ってこだわりを追求し、細やかなサービスや最高級のおもてなしを提案しています」なのだという。
「ふふ」シリーズは、都心から 1・5~2時間程度の距離にある温泉リゾート地を中心に、高級旅館の開発・取得を進めており、これまでに「熱海 ふふ」(静岡県熱海市)、「河口湖 ふふ」(山梨県南都留郡)などを開業させてきた。
「日本でトップレベルの高級旅館の運営を目指すことで、旅館運営のノウハウを蓄積し、所有と運営の両面から、成長産業での競合優位な事業ポートフォリオの構築を図る。国内の消費リーダーであるシニア層のニーズや、急増するインバウンドの個人旅行者のニーズの獲得を目指していく」(加藤CEO)。
同社のビジネスは一貫して「トータルプロデュースシステム」にこだわるのが特徴。これは、「クライアントからオファーに対し、事業計画からオペレーション、収益に至るまで全てのプロジェクトに責任を持つ、という姿勢です」(加藤CEO)からだ。
そのため、これまでの概念や事例にとらわれることなく、常に本質を捉えホスピタリティマインドを守り、次代へ繋がる明確なビジョンを常に創造していく、こうした考えを各スタッフが常に共有できるようにしている。企画から運営に至るまで自社にこだわるのはそのためなのだという。
楽天LIFULL STAY 一棟貸しコンテナタイプを淡路島で
楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)では、「(仮称)Rakuten STAY VILLA 淡路島」(兵庫県)を今年の夏ごろをメドにオープンさせる。
これはブリッジ・シー・キャピタル(東京都中央区)、新生銀行グループの総合リース会社である昭和リース(東京都文京区)等による匿名組合出資によるもの。
ブリッジ・シー・キャピタルは、このファンドに対する匿名組合出資のうち過半数の出資をするとともに、同施設のアセットマネジメント業務を受託した。
楽天LIFULL STAYが提供する「Rakuten STAY VILLA」は、一棟貸切りのコンテナハウスタイプの宿泊施設。リビングには、ベッドやソファを配置、アウトドアデッキを挟んで広々としたカウンターキッチン・飲食スペースを配置する。
開放感あるデッキ部分にはマイクロプールやBBQグリルを完備、室内では今話題の壁一面に高画質の映像を投写することが可能なプロジェクター、popIn Aladdin(ポップイン アラジン)が利用できるなど、旅館やホテル宿泊とは異なるプライベート空間を提供する。
同施設は、淡路島の南西の南あわじ市に所在し、大阪市中心部から車で約1時間半~2時間程度の立地にある。高級旅館やホテルが点在する人気の宿泊地となっており、近隣の慶野海水浴場は、「環境省選定 快水浴場百選 特選」等に選出されている淡路最大の海水浴場。
同社は、これまで数多くの宿泊施設のアセットマネジメント業務受託の実績から、この施設のアセットマネジメント業務を受託しており、今後は同施設の開発・運営についてのノウハウを提供していく。またアセットマネジメント業務だけでなく、匿名組合出資を実施することで、「Rakuten STAY VILLA」の宿泊施設開発に対する安定的な資金の供給を行い、宿泊施設開発を促進していきたいという。
HOTEL K5 ブティックホテルを日本橋に
FERMENTは、2020年2月1日に開業予定のマイクロ複合施設「K5(ケーファイブ)」(東京都中央区)の2階~4階に位置するブティックホテル「HOTEL K5」をグランドオープンさせる。
同施設は、東京メトロ東西線「日本橋」駅徒歩5分に位置。全20部屋と小規模ながら、宿泊するゲストに安らぎとインスピレーションを同時に提供し、かつハイエンドホテルの上質感のあるホテルを目指す。
スウェーデン・ストックホルムを拠点に活躍する建築家パートナーシップ「CLAESSON KOIVISTO RUNE」が建築・空間デザインを監修。築97年の歴史的建造物が醸し出す重厚感ある外観と、東京に点在する自然そのものからインスパイアされたタイムレスなデザインをコンセプトにしている。
中でも、「K5 LOFT」はK5の世界観が最も表現された、1部屋のみの最上級スイートルーム。80㎡の広さと4・5m超えの天井高が生み出すのは、東京でも稀な爽快感のあるセンシャスな空間。客室内には大きなダイニングテーブルとキッチンも配され、プライベート利用からパーティー利用まで可能。客室面積80㎡、ベッドはキングサイズ、キッチン、ミニバー、レコードプレーヤー、ダイニングテーブル、ワードローブ、書籍、植栽を配置する。
また、「JUNIOR SUITE」は開放感溢れる上質なスイート。ベッドスペースは藍色に染められた柔らかいカーテンに囲まれ、プライベートな雰囲気でゆとりとくつろぎを演出。リビングエリアにはK5オリジナルの美しい家具を配置。バスルームには広々としたバスタブが備える。客室面積は40~43㎡。
地元サポートによる「お宿みどこい」開業
一般社団法人あくね夢のまちプロジェクトは、東シナ海が眼前に広がる鹿児島県阿久根駅前通り会に、「お宿みどこい」を2月27日にプレオープンする。
同ホテルは、地上2階建て、延床面積約498・07㎡、客室は、コンフォートシングル18室、和室2室、ドミトリー2室の合計22室。
同ホテルの開発と所有は一般社団法人あくね夢のまちプロジェクトが担い、合同会社あくね舎が運営を受託する。
施設の建材の殆どは、阿久根産木材を使用。その一部は、花王・みんなの森づくり活動助成で間伐したヒノキが活用されている。
木造2階建の低層建築施設で、最新の知見を駆使した断熱・遮音・振動対策と快適な睡眠を実現する寝具サポートにより、利用客に最高のリラックス体験を提供する。最新のIoT設備を備えたセルフチェックインシステムを装備し、ビジネスやレジャーにもフレキシブルに対応する。
同ホテルは、肥薩おれんじ鉄道「阿久根」駅徒歩4分、国道3号線よりアクセスが良い市街地の阿久根駅前通り会商店街の北側位置する。ロビーラウンジ、ウッドデッキ・テラスを完備し、利用客には阿久根漁港の水産物を中心とした「地消地産」の食材を使った朝食を提供する。
この宿泊施設は、経済産業省「商店街活性化・観光消費創出事業」の一環として開業するもの。東京オリンピックと大阪万博開催に向けて増え続け、地方の隅々まで浸透が進むインバウンド・国内観光客の宿泊受け入れに対応し、今年10月に開催される第75回国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」等のスポーツ合宿や視察研修等の推進を行っていく。
阿久根駅前通り会27店舗はもちろん、当地の地域経済活性化を目指し、飲食店・物産店・芋焼酎蔵元・農業漁業・温泉などの一次産業とも連携し、まちぐるみで宿泊者にサービスを提供していく。