不動産トピックス

今週の一冊

2020.01.27 14:55

不動産の尽きない裏技に何を思う

不動産大技林　業界で噂の劇薬裏技集
著者:全宅ツイ
発行日:２０１９年１０月２５日
発行所:ＫＫベストセラーズ
価格:１５００円（税別）

　全宅ツイ、すなわち「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」とは、「不動産ファンドの社員からルノアールにたむろする無免許ブローカーまで」が会員という、「不動産業界最大のツイッター集団」だそうだ。
　１４０文字以内という制限のあるツイッター上でつぶやかれた不動産業界の驚きの裏技（本書ではネットスラングの『ウル技』と表記）を解説した一冊は一見、面白おかしく不動産にまつわる少々強烈なエピソードを集めた本かと思いきや、裏技というよりグレーどころかほぼブラックの裏技紹介のツイートが次々と晒されている。ときおり出てくる「なお現在は法改正済」の注記に苦笑。
　建築費の消費税還付用に寝かした法人を売ってくれたり、還付額の３割を成功報酬で請け負う「納税テロリスト」税理士、「捨て看板集客法」等々。ほか業者の噂話も。無茶苦茶テナントグリップして自社ビル内でぐるぐる移転させる○○○（書籍では大手デベロッパーの通称）などなど、業界あるあるがこれでもかと紹介される。ネット上で見聞きしていても活字本になるとまた違った印象になるものだ。本書を読んで、かえって不動産業界に憧れを持つ若き強者は出るだろうか。