不動産トピックス

日本橋特集 街を彩る名店探訪 高嶋家

2020.02.03 15:56

小舟町 鰻処「高嶋家」 ラストエンペラーの弟も訪れた名店

 「高嶋家」の創業は明治8年(1875年)。最初は神楽坂に店を構えたが、まもなく小舟町に移り現在に至る。小舟町は、日本橋川にほど近い立地から、物資輸送を担う街として発展した。安田財閥のお膝元でもあり、街は活気に満ち溢れていたという。
 今年で145周年を迎える「高嶋家」は、その長い歴史の中で各界の著名人も迎えてきた。清朝最後の皇帝である溥儀の弟、愛新覚羅溥傑が来日のたびに訪れ、文人の小林秀雄にもこよなく愛された。秘伝のタレで焼き上げた、ふんわり柔らかい鰻はやはり格別。何度も通う常連客の気持ちがよくわかる。
 現在の店主、鴛尾 明氏は5代目。2004年から同店を切り盛りしている。「鴛尾は珍しい苗字ですが、文政13年(1830年)に初土俵を踏み、関脇まで昇りつめた稲川政之助(本名:鴛尾和吉・千葉県佐倉市出身)が先祖と聞いています。先祖が大相撲という伝統競技の中で努力したように、私もこの店の伝統を守りながら、新たなチャレンジもしたいと思っています」と同氏。和食だけでなくイタリアンも勉強し、料理人としての視野を広げている。
 チャレンジの一つとして、幻の鰻と呼ばれる大井川の「共水うなぎ」を使用。その甘い香りと味わいは、全国で30数件の鰻店でしか食することができない希少なものだ。さらに、デザートにブラン・マンジェを採用し、イタリアンテイストで創作。ブラン・マンジェは、ヨーロッパでは古くから親しまれている伝統的な冷菓だが、若い層や海外からの顧客の心を掴んでいる。
 「日本橋飲食業組合の若手の集まりである『三四四(みよし)会』に加入していますが、再開発についても、三井不動産さんが我々の意見や要望を尊重した街づくりを進めていることに好感を持っています」と同氏。日本橋全体で来街者が増え、小舟町にも多くの人々が訪れてほしいと願っている。




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