不動産トピックス
日本橋特集 街を彩る名店探訪 日山
2020.02.17 16:44
人形町 精肉店「すき焼き・日山」 最上級の和牛を最高の品質で
人形町通りの人形町交差点と甘酒横丁交差点のほぼ中間地点に、和の趣が漂う店舗がある。歴史ある建物と暖簾が印象的な「日山」だ。1階は精肉店、2階がすき焼店となっている。日山グループは、牛肉の仕入れ・卸売を営む日山畜産と、精肉店・飲食店(すき焼割烹日山)を営む日山からなるが、そこには牛肉への強いこだわりがある。産地から食卓までの過程を、自らが一貫して行うことで、最上級の品質と安全・安心な流通を実現しているのだ。
その歴史をひも解いてみると、大正元年(1912年)広島で食肉業を創業、東京へ進出したのは昭和3年(1928年)。当初は精肉の販売のみを行っていたが、昭和10年(1935年)にはすき焼店も展開。創業から108年、自慢の牛肉と伝統の味付けを今に受け継いでいる。
現在の建物は、東京大空襲の際に戦火を逃れた複数の民家を繋ぎ合わせたものだ。2階の店内に入ると、当時のままの建具が風情を感じさせる。古い日本家屋の良さを肌で感じながら、同店自慢のすき焼を味わうことができる。
看板メニューは、昔から変わらない定番のすき焼。全国から厳選した和牛しか使わない上に、「お肉本来の香りと旨味を楽しんでいただくのがすき焼です。そのため、香りの強い春菊や、旨味を薄めてしまう水分の多い白菜は使っておりません」というこだわりを見せる。さらに、最高に美味しい状態で食べられるよう、各個室には熟練の仲居さんが付く徹底ぶりだ。
また、同店では街とのつながりも大切にしている。すき焼に使う野菜や豆腐などのほとんどの具材は、近くの商店街から調達。地元の美味しいものを使い、地元に還元することも忘れていない。人形町の魅力を「落ち着いた雰囲気の中、食の価値を提供できる街」ととらえ、地域の一員として、その良さを維持する役割を担いたいとしている。日本情緒豊かな店構えと、味わいと、もてなしで、国内外から訪れる多くの人々を魅了し続けるだろう。