不動産トピックス

クローズアップ ドア編

2020.02.17 17:35

 リノベーションや改装を検討する際に、「ドア」の品質・デザインにこだわる人はまだ少ないのが現状だ。その様な現状の中、こだわりの「ドア」の開発に尽力する企業が頭角を現しつつある。今回は「ドア」の最先端を取り上げる。

神谷コーポレーション湘南 「27番目からの逆襲」目指し「フルハイトドア」の新作続々
 神谷コーポレーション湘南(神奈川県伊勢原市)は、国内でも珍しい室内ドア専門のメーカーだ。元々は大手ハウスメーカーの木製ドアを制作していた。培ってきたマーケティング・製品づくりのノウハウを生かしブランドモデルへの転身を果たしたのは2004年。「ハイドア」のリリースし、その後枠のない納まりが特長の「フルハイトドア」を開発。独自のブランド製品の生産・販売を続けている。
 「フルハイトドア」の大きな特徴は、ドアの高さが天井一杯まで伸びていること。部屋と部屋の間の天井がつながることで開放感を得られ、室内全体も明るく感じられるからだ。当時他のメーカーには皆無に近い商品だ。何故か。 木製ドアは高くなればなるほど本来ドア内部の表面の気温差などが原因で「反り」が発生しやすい。「フルハイトドア」の開発にあたり、同社では「空気循環方式」の特許技術を取得。ドアの上下に穴をあけて空気を通りやすくし、室内外の温度差を抑えることで背の高い木製ドアの「反り」を克服した。「フルハイトドア」は構想から開発まで約1年。神奈川の工場で繰り返し試験を行い、ようやく実現に至った。
 また、ドアのバリエーションを多くそろえることにも注力している。他社では数年に一回ぐらいのペースで新作を発表する。が、半年に一回新作をリリースする。「モダンな格子のドア」、「プライバシーを守りながら換気、ルーバーのできるドア」など。バリエーションが多く、人々の幅広いニーズに応えられるのも売りの一つだ。
 導入コストはカジュアルな製品で6万6000円ほど。最高級のクロコダイル皮を使ったものだと900万円。7~8万円台のものが特に人気。地元の大きい工務店や建築家から人気を集め、一度導入した企業からのリピート率も高い。
 現在は、住宅に自動開閉の「フルハイトドア」を導入するケースが増えてきている。営業部ブランディング企画課課長の田中多世氏は、「自動ドアであれば、お子様を抱っこして両手がふさがっていても出入りが容易になります。お子様のいらっしゃるご家庭で遊んでいる際挟まれてしまうといった懸念を持たれる方もいらっしゃると思いますが、当社の『自動ドア』は安全に利用できるように工夫をしています。ドアの開閉の途中で障害物を感知すると、2度目以降の開閉では速度が落ちる仕様になっています」とした。この2月に新しくリリースした「新明り窓C」は、ドア上部の小窓を工夫した商品。採光窓を従来の丸型のものから縦型にした。デザイン性の高さが際立つ商品だ。
 田中氏は「『ハイドア』をリリースした2004年、家づくりをしている方を対象に『こだわる30のパーツ』を聞いたアンケートを見ました。すると、ドアはなんと27番目。ドアは部屋づくりのパーツの中でもほとんど重視されておらず、『たかがドア』と思われる傾向にあったようです。当社はそのような状況からの『逆襲』を目指し、『たかがドア』という存在だった室内ドアの常識を覆すべく尽力してきました。当社の『フルハイトドア』は、デザイン・品質ともに国内最高クラスのドアとしてお客様から選ばれる存在になりました。これからも、『ドアでお客様の暮らしを如何に豊かにするか』をモットーとして、沢山のお客様に『フルハイトドア』の魅力を届けていきたいと思います」と語った。

「越-etsu-プロジェクト」本格始動 非住宅市場向けドアの「コンセプトモデル」完成
 大建工業(大阪市北区)は、富山県を中心に伝統産業を営む複数の企業等とコラボレーションし、これまでにない新感覚のデザイン建材を非住宅市場向けに商品化する共同企画『越-etsu-プロジェクト』を進める。
 同プロジェクトは昨年5月に発足し、日本の伝統技術を建材に生かす可能性を探るとともに、地域産業の活性化や伝統産業の発展に貢献することが目的。最終的な製品化だけではなく、「職人」と「ものづくり企業」との融合で生まれる、新しい表現、価値、つながりを大切にすることを目指している。
 今回、富山伝統産業の技術の粋を結集し際立つ素材感と斬新なデザインを実現した非住宅市場向け「コンセプトモデル」ドアを発表。このホテル向け「コンセプトモデル」ドアには、金属素材の発色や組子細工、鋳物の製造などの伝統技術が使用される。その他にも、伝統技術を取り入れたレバーハンドルや、畳おもての新織柄も試作し今後のプロモーション活動にて積極的に活用するとともに、イベント出展などを通し同プロジェクト活動をさらに推進していく。
 さらに今後は、岡山や三重など、当社にゆかりある地域の伝統産業との協業も検討しつつ、地域産業の魅力の発信に貢献し、これまでの常識や既成概念を超越した「くらし価値の創造」の提案を目指すとしている。




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