不動産トピックス

日本橋特集 街を彩る名店探訪 伊場仙

2020.03.02 17:05

小舟町 「伊場仙」 1590年創業の扇子の老舗

 日本橋小舟町の「伊場仙」は、扇子と団扇の老舗。約430年前に創業したその同じ町に今も店を構える。当初は団扇を主としており、江戸後期より扇子も取り扱うようになった。浮世絵の版元として初代豊国、国芳、広重など名だたる浮世絵師の絵を「団扇浮世絵」と共に江戸市中に広めた。東京メトロ「三越前」駅、JR東日本「新日本橋」駅から徒歩約5分の「伊場仙」ビル1階の店舗内には色とりどりに団扇や扇子が飾られ、屏風や葉書、コースターなどの和風小物も季節ごとの趣を見せながら陳列されている。
 扇子には様々な種類がある。祝いの席で持つ「祝儀扇」、日舞の「舞扇」、能舞台の「仕舞扇」、意匠の粋を凝らした「飾り扇」、勇壮な「鉄扇」、人形に持たせる「人形扇子」―屋号の由来である遠州伊場村(現・静岡県浜松市伊場町)出身の初代から数え14代目当主である取締役社長・吉田誠男氏は、「いかにAIが進化しようと、扇子は機械では作れません」と語る。扇子を作る工程は13にも上る。竹を切り出し正確に組み合わせる、扇面師が和紙に絵を描く、竹に糊で貼る、すべて長年修業を積まないとできないであろう職人技だ。これらの工程のなかで機械が出来ることといえば、紙を折ることくらいだという。
 近年では、インバウンド需要も高いそうだが、「外国人観光客の方は目が肥えてますね。よく勉強していらっしゃいます」(吉田氏)とのこと。日本橋育ちの同氏は、近年の日本橋エリアの変遷について「近代化は必要ですが、反面、歴史のある文化も残していかなければなりません。日本橋という街の匂いも残していきたいですね」と語る。そして、「今後も『本物の扇子』を作り続けます」。大量生産ではない扇子が手に入る日本橋の老舗中の老舗の品の数々、ぜひご照覧を。




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