不動産トピックス

クローズアップ 防犯編

2020.03.16 11:27

 ビルの防犯には様々な機器がある。防犯カメラひとつとっても、赤外線を利用するものや細かく分析する機能まで多種多様な製品が登場している。さらに、防犯カメラが「故障していないかどうか」をチェックするサービスも登場した。防犯機器の現状は如何に。

防犯カメラは壊れていない?遠隔操作で稼働確認
 ビル内で盗難発生、防犯カメラをチェックしたが、何カ月も壊れていた―せっかく設置した防犯カメラが肝心な時に故障していたら元も子もない。意外な視点だが、「防犯カメラが正常に稼働しているか、故障していないか」を遠隔地から確認できるサービスがある。
 防犯カメラ専門のトリニティー(名古屋市中区)では、防犯カメラの正常運転を遠隔地から常時確認できるサービス「Sublowリモートメンテナンス」を提供している。
 既存の防犯カメラシステムをインターネットに繋ぎ、クラウドサービスから毎日チェックを入れ、防犯カメラ本体やレコーダーが正常に作動しているかどうかを調べる仕組み。
 防犯カメラは設置されていても、正常に稼働しているかどうかは外観では分かりにくい。
 同社代表取締役の兼松拓也氏は、「半年から1年ほどかけて開発しました。当社は元々セキュリティ機器販売からスタートし、時代やお客さまのニーズの変化から防犯カメラを専門に取り扱うようになりました。お客様から、『いつの間にか壊れていた』、『壊れているのに気付かなかった』というご連絡を頂くことが多かったことから、このサービスを思い付きました」と語る。同社の顧客はマンションやアパート、オフィスビルが多いが、管理者が常駐していない施設がほとんど。故障してもすぐに気付かれず、年に1、2回の点検が入るまでそのままになってしまうケースが多い。離れた場所にいても、いつでもクラウド上で防犯カメラ機能の正常稼働が確認できれば安心だ。
 「今回の『Sublowリモートメンテナンス』は、開発コストをいかに抑えるかが課題でした。いずれは月額1500円程度でお客様に提供できればと思います。当社は設立当初はセキュリティ業務を行っておりました。今でいう『IoT』ですね。今後も様々な規模・形態の建物に応用できるサービスを開発予定です。例えば、AIで危険人物認証したり、防犯以外にも清掃チェックなど、幅広くつなげていきたいと思います」(兼松氏)
 防犯意識の高まりから、セキュリティ製品市場は拡大している。同社の売上は2019年度は前年比1・3倍の伸び。2006年設立時からは約10倍。
 「マンションの管理組合などで防犯カメラ設置のご説明をすると、15年前は『プライバシーの侵害だ』と反対する方が何人かいたものですが、今ではそのように防犯カメラの設置に違和感を覚える方はほとんどいらっしゃいません。社会意識は大分変わってきていると思います。また、意外かもしれませんが、今はデジタルよりもフルハイビジョンのアナログの方を選ばれる方も多いですね。画質が良く、安価です。通常200万画素が主流ですが、最近は400万画素も売れています」(兼松氏)。防犯カメラも日々進化し続ける。出来る限り効率よく利用していきたい。

「Secual Smart Pole」の提供開始
 Secual(東京都渋谷区)はこのたび、積水化学工業(大阪市北区)と共同開発した、防犯・防災・見守り機能を搭載した次世代の街灯「Secual Smart Pole(セキュアルスマートポール)」の提供を開始した。
 同製品は同社が提供するスマートタウン向け統合サービス「NiSUMU(ニスム)」と連動し、タウンセキュリティ機能(各種センサーによるセンシング機能、防災情報連動機能)、季節や街のイベントと連動したイルミネーション機能など、街の安心・安全に加え、サステナブルな街づくりに貢献する全く新しいスマートタウンソリューション。
 同製品は国際通信規格「DALI」に準拠しているので、管理者が点灯色や点灯時間等の設定を遠隔で行うことができる。また、フルカラーLEDを搭載しており、季節や街のイベントに合わせて、街灯間を連動させた光の演出が可能。また、気象庁の災害情報と連動して、避難勧告が発令された際、特別警報時には黄色に点灯して視覚的に異常事態を通知する防災機能も備えている。
 防犯機能としてはカメラセンサーによる人物や物体検知機能を搭載し、異常を検知すると録画とともに、管理者への通知を行うことができる。
 同製品は「Secual Smart Tag(セキュアルスマートタグ)」の信号を受信して、受信状況を専用アプリに通知する。「Secual Smart Tag(セキュアルスマートタグ)」を子供のカギやランドセルなどにつけておくことで、街に設置された「Secual Smart Pole」が信号を検知し、帰宅や外出、街の中の位置情報を専用アプリに通知することができる。




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