不動産トピックス

クローズアップ 省エネ編

2020.03.23 15:41

 SDGsという言葉が世界的なキーワードとなり、環境配慮・省エネは日本だけの問題ではなくなった。省エネ先進国として、多くのエネルギーを消費するビルが採れる方策は、多種多様に存在する。

フォーレスト 空調・熱源の最適化を実現するシステムの開発
 フォーレスト(東京都新宿区)が開発した空調・熱源制御システム「FS―4A」は、負荷変動や外気状態の変化に応じて、空調設備や冷凍機といった空調・熱源システム全体で最も省エネを実現する運転をするよう、最適ポイントを自動で検出して制御を行う。このため、空調エネルギー消費を大幅に削減することが可能となっている。
 従来までは機器単体がそれぞれで設定された温度や圧力・流量を制御していたが、このシステムを採用することにより、1年間を通じてシステム全体で空調エネルギー使用量を最小にし、COP(成績係数)を8まで上げることができる。具体的には冷却水・熱源の台数・出力分配といった部門の最適制御を行い、高精度のシミュレーションを実施することでシステムCOPの最高点でトータル制御が行われる。このため、冷却塔や熱源機(ターボ冷凍機、吸収式冷凍機、冷温水発生機、熱回収冷凍機)・空調機などの二次設備が連動してCO2の発生量やランニングコストの低減に効果を発揮するのである。同社の篠田氏は「個々の設備を制御するのではなく全体を制御することで、より大きな省エネ効果が期待できます」と話す。

ダイキン工業 既存ビル改修で国内初 CASBEEウェルネスオフィス評価認証でAランク
 ダイキン工業(大阪市北区)は、大阪府吹田市に所在する「ダイキン工業江坂ビル」において、ビル改修物件として国内で初めて「CASBEEウェルネスオフィス評価認証」のAランクを取得した。また、省エネルギーに対する取り組みであるBELS評価認証「ZEB Ready」もあわせて取得し、オフィス利用者の健康・快適とオフィスの省エネの両立を実現した。
 「CASBEEウェルネスオフィス評価認証」は、働き方改革や健康経営の社会的ニーズを受け、昨年5月に建築環境・省エネルギー機構によって設立された。対象は、建物用途がオフィスの建築物及び複合用途建築物におけるオフィス用途部分で、建物利用者の健康、快適の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取り組みが評価される。建物内で執務する労働者の健康、快適に直接的に影響を与える要素だけでなく、知的生産性の向上に資する要因や、安全・安心に関する性能についても評価される。60項目の評価に基づき、「ダイキン工業江坂ビル」は67・7点のAランク認証を取得した。
 同社では、今回の認証取得の主なポイントとして、「高効率マルチエアコン『VRV X』と調湿外気処理機『DESICA』による空調・換気システム」と「省エネ性向上と働く環境の改善を目標とした空調・建築一体の改修計画」の2点を挙げている。

三菱重工サーマルシステムズ ベトナム市場で販路拡大 需要が高まるインバーターエアコン
 三菱重工サーマルシステムズ(東京都千代田区)は、ベトナムにおける空調機市場の販売強化に着手すると発表した。これは、安定的な経済成長を背景とした購買市場の拡大を受けたもので、今月にはベトナム市場でも最大級の需要増が見込めるインバーター機能を搭載した家庭用エアコンを投入。これにあわせ、現地の有名ベトナム代表サッカー選手をCMキャラクターに起用するなど、ブランドイメージの強化も図る。
 販売する家庭用エアコン「YXPシリーズ」は4機種で、従来モデルと同等水準の効率性を維持しながら、インバーターエアコンを初めて導入する消費者が手ごろな価格で購入できるようコストを抑えた普及機種となっている。冷媒には環境に配慮した「R32」を使用し、3月から順次市場投入を開始するとしている。ベトナムの家庭用エアコン市場では、インバーター機能付き機種に対する需要が高まっており、2017年までに家庭用エアコンのインバーター機能搭載比率は5割を突破している。インバーター機能とは、エアコンに内蔵される圧縮機内のモーターの回転数を最適制御することで、無駄のない温度調整・省エネ運転を実現する機能。省エネかつ快適な冷房機能を求めるベトナムでの需要にあわせ、同社はインバーターエアコンのラインアップを拡充していくとしている。




週刊不動産経営編集部  YouTube