不動産トピックス
クローズアップ テレワーク編
2020.04.06 11:42
世間を騒がせている新型コロナウイルスの影響により、リモートワーク導入に踏み切った企業は少なくない。だが一方で、テレワークに必要な設備を整えることが難しいのも事実。そのような中、テレワークに関するサービスを始めた企業を取り上げる。
エイムズ 宿泊施設でテレワークを オフィス利用向けプランを開始
築古ビルのリノベーションを主に行うエイムズ (東京都中央区)は、東京都大田区・品川区で運営する宿泊施設「IMPREST STAY Tokyo Kamata」、「apartment SUN BRIGHT」のオフィス利用プランを開始した。
同社は2015年に設立。自社大工が自ら工事を行うことを強みに、多くの築古ビルや遊休不動産のリノベーションを手掛ける。2019年の物件施工数は180件。個人・法人問わず、多くの物件オーナーから依頼が寄せられる。自社大工が施工することで、現場の声を社内へダイレクトに届けられることがメリットだ。
オフィス利用プランを導入する「IMPREST STAY Tokyo Kamata」は、今年の2月15日にオープンしたばかり。新築マンションの企画・開発等を手掛ける双日新都市開発(東京都港区)との共同事業として始まった。双日新都市開発の保有する賃貸マンションだった築20年の遊休不動産を、宿泊施設として生まれ変わらせた。開業して1か月半しか経たない現時点で、22部屋のうち15部屋が稼働している。マンスリー利用が大半で、利用者の層は3割が外国人、ほかには短期出張のビジネスマンが多いという。
オフィス利用のプラン導入の背景には、世間を騒がせている新型コロナウイルスの拡大がある。現在、全国で問題となっている新型コロナウイルス感染症の拡大の恐れにより「テレワーク」や「リモートワーク」を導入する企業が増加している。しかし、実現するにあたってはネットワーク環境の整備・集中できる空間の整備が必要であり、環境が整っていない状況での在宅勤務への切り替えにより、生産性が下がるのではないかという懸念の声が上がる。このような状況から、同サービスの開始に至った。このプランは、オフィスを持たないノマドワーカーの方の利用も可能だ。広報担当の小泉秀美氏は、「在宅勤務だと、小さい子どもがいて集中できないケースもあります。今回オフィス利用プランを導入する2つの施設は、雑音が気にならない閑静な場所に立地しています。また、宿泊施設のためWifiも完備。集中して仕事に取り組める設備・環境が整っています」と語る。
通常利用とオフィス利用プランの大きな違いは、利用料金と原状回復の有無だ。通常であれば一泊8000円、最低利用日数は2日から、加えて退出時の原状回復が必須となる。一方で、オフィス利用のプランは「ツーデイプラン」と「ウィークリープラン」の2種類を用意。金額は「ツーデイプラン」で10000円、「ウィークリープラン」で40000円となる。オフィス利用の場合、日ごとや1週間などより短期の滞在が見込まれるため、原状回復の必要がない。 また、各部屋にキッチン・トイレ・バスルームも完備しているため、長時間の利用でも快適に過ごすことができる。両施設では、エントランスへの消毒液の設置・換気の徹底・接触部分の消毒液による拭き取り清掃をする等、新型コロナウイルス感染のリスクを最小限に抑えられるよう対策を講じている。さらに、スマートロックを活用したセルフチェックインを導入しているため、利用者の都合の良いタイミングでの入退室や他者との接触を避けての利用が可能だ。
「チェックイン・チェックアウトの時間は決まっていません。そのため、昼間は子供の面倒を見て、夜になったらご家族の方とバトンタッチ。夜に作業をするということも可能です。フレキシブルに利用できることが、当サービスの強みです。また、当社の物件はインテリアにもこだわっています。『IMPREST STAY Tokyo Kamata』も、部屋ごとにインテリアを変えています。好みの部屋で過ごしていただくことができるのも、当社の手掛けた物件ならではです」(小泉氏)
新型コロナウイルスが落ち着いたとしても、利用者からの反響によっては同サービスの継続も視野に入れているという。自社大工による施工、こだわりのインテリアといった独自性を強みに、事業展開を進めていく。
パソナ テレワーク用端末を無料貸与 都内1000社に
パソナ(東京都千代田区)は、新たにテレワークの導入を検討する都内の中堅・中小企業等を対象に、無償でテレワーク用の端末(ノートパソコン)を一定期間貸与し、テレワークの導入を促進する『令和2年度 東京都テレワーク導入モデル体験事業』を東京都から受託し、4月1日よりテレワーク体験企業の募集を開始した。
近年、働き方改革の一環として、一人ひとりのライフスタイルに合わせた、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を推進するテレワークを導入する企業が増加している。また昨今、急速に感染が拡大している新型コロナウイルスへの対策に伴い、喫緊の課題として、多くの企業でテレワーク導入の検討が進められている。
そこで、パソナが運営する「令和2年度 東京都テレワーク導入モデル体験事業」では、テレワークの導入に向けた体験を希望する企業に対して、各社のICT環境や利用シーンを確認した後、テレワークツールを設定した端末(ノートパソコン各社1台)他を1カ月間無償で貸与する。加えて支援スタッフが各社に訪問し、貸与機器の利用方法の説明や、体験に使用する企業内の既存の端末等の設定支援を行うほか、貸与期間中は操作方法等の不明点の相談にも対応する。募集期間は7月末までを予定(申込みが1000社に達した場合は期限前に締め切る場合あり)。申込みは東京テレワーク推進センターのウェブサイトからとなる。
パソナは同事業を通じて、新型コロナウイルス対策等を受けてテレワーク導入に取り組む都内企業を支援すると共に、働きたいと願う誰もがそれぞれのライフスタイルにあわせた働き方で活躍できる社会インフラの構築を目指していく。