不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.04.13 16:51

OYOホテルが日本の旅館ネットワーク作り 新ブランドで集客サポート事業を開始
 世界的なホテルネットワークを構築しているOYO Hotels & Homesとソフトバンクグループの合弁会社であるOYO Hotels Japan(東京都千代田区)は、日本で独自に設立した新ブランド「OYO Ryokan(オヨ リョカン)」を構築。本格的に旅館事業に進出し、全国展開する。
 約1300年もの歴史を誇る旅館産業は、長い年月を経て、日本特有の伝統文化として発達した。現在旅館は、3万8000件あるといわれているが、20年前より約40%減少し減少に歯止めがかからない。その大きな要因は、家族経営が多く後継者不足であることと、団体客の減少など、時代の変化に合わせた運営ができないことにある。
 同社はブランドを構築するため25以上の都道府県50以上の旅館を訪問し、リサーチを重ねてきた。その結果、「日本の伝統を生かす」「ミレニアル世代を惹きつける現代的なデザイン」「海外の人に旅館文化を届ける」ことをブランド構築の核とした。
 同ブランドのコンセプトは、伝統的な日本のおもてなしの象徴となる旅館の「女将」。施設やサービスの随所に織り込まれた、伝統的かつ現代的でスマートさを表す「粋」な感覚、日本独自のホスピタリティ精神を表す「おもてなし」、そして伝統に対する理解を深める「繋がり」を通じて、「女将」というコンセプトを体現していきたいという。
 ブランドを象徴するロゴは、日本の伝統的な装飾である「水引」をモチーフとし、「OYO」の “O”と“Y”を内包したデザイン。3つの線が結ばれていく形状で、「人」「地域」「文化」がつながる絆を表現。ロゴカラーには、江戸時代に “粋”な色として、美意識のある庶民の間で大流行した日本の伝統色「梅鼠(うめねずみ)」を採用した。
 客室に配置される寝具もオリジナル品を開発。布団とソファが一体となった「ふとんソファ」は、かつて日本では畳や床に座ることが当たり前だったものの、今の若者や外国人は長時間床に座ることにあまり慣れていないことに配慮したもの。
 これにより幅広い世代、国籍の人でもリラックスした気分で和室の雰囲気を楽しんでもらえるようにした。機能的にも1つの家具で多くの使い方ができることで、省スペースにもなる。
 また、「旅館を通じて、人々が日本文化や地域への理解をより深めることができるように」と、集いの場所としての屋台バーを設置。その旅館で働くスタッフが店主となることで、宿泊者との間のコミュニケーション造りを期待している。また、屋台バーでその土地の地酒や名物を提供し、地域の魅力を発信する場にもすることができる。
 同社は今後も、日本全国の加盟旅館とのパートナーシップを拡大、強化し、より多くの利用者に日本の伝統的な文化である旅館の魅力を発信・提供していくとともに、日本の施設オーナーへさらなるビジネスの機会を提供していくことを目指していきたいという。

グローバルエージェンツ ソーシャルアパートメントオープン
 グローバルエージェンツ(東京都渋谷区)がこのほどオープンさせたソーシャルアパートメント「ネイバーズ東十条」(東京都北区)が、100%自社サイト集客のみでオープン前に全104室が満室になったという。
 同施設はJR京浜東北線「東十条」駅徒歩3分に位置。鉄筋コンクリート造陸屋根15階建て、世帯数104戸、1Rタイプ。ソーシャルアパートメント4棟目となる新築物件。今回はCOFFEEをテーマに、こだわりの設備を揃えた、コーヒーを楽しむためのカウンタースペース「Coffee BASE」を設けた。
 ソーシャルアパートメントとは、賃貸マンション内にラグジュアリーなラウンジを設置することで住人間の自発的なコミュニティ形成を促進させる仕組みを持った新しい共同住宅。
 従来型のワンルームマンションとも異なり、また昨今同じく注目を集めているシェアハウスとも異なる新しい居住スタイルで、東京都からも助成金対象事業に認定されるなど、昨今の近隣付き合いの希薄化した社会において非常に注目を集めている。
   また同社発信によるウェブマーケティングや継続的なブランディング、入居者発信によるSNSや口コミの影響により年々認知度が広がっており、年間問い合わせ数約7000件、年間平均稼働率も93%と高水準となっているという。
 同社は、首都圏を中心に展開する隣人交流型賃貸住宅「ソーシャルアパートメント」45棟2762戸の運営を主力事業として、ゲスト交流型ホテル、ソーシャルアパートメント併設型カフェなどのライフスタイル事業を展開している。

ロイヤルパークのフラッグシップ施設開業
 三菱地所グループのホテル統括会社であるロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ(東京都千代田区)は3月16日、「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 大阪御堂筋」(大阪市中央区)をオープンさせた。プレミアム宿泊主体型ホテル「THE シリーズ」のフラッグシップブランド「ICONIC」の1号店となる。
 同ホテルは、大阪のビジネスの中心地であり、梅田や心斎橋・なんばからもアクセスのよい大阪メトロ御堂筋線「淀屋橋」駅と「本町」駅から至近の地に位置。鉄骨造、地上25階、地下2階建て。ホテル面積は1万5417・15㎡、客室はダブル200室、ツイン150室、スイート2室の合計352室。
 16階~23階のスタンダードフロアの客室は、全室洗い場付きのバスルームで、内装は、ホテルが面する御堂筋の象徴である「イチョウ」にちなんだ印象的な色とデザイン。また、トリプルユース可能な客室も55室あり、国内外からのファミリー利用の需要にも対応する。
 最上部となる24~25階には、アイコニックのキーワード「The art of time ~美しい時間(とき)を~」が体感できるエグゼクティブフロアを設置。落ち着いたやわらかな色合いでシックな木調の客室には、奈良の老舗・中川政七商店が誇るかや織のやわらかな肌触りのボディタオルや、新たな「定番」を生み出すブランド「THE」のカトラリーやグラスをセットし、グレード感を高めた。
 同社は、フルサービス型ホテル、プレミアム宿泊主体型ホテル「THE シリーズ」を国内13か所にて展開している。今後も新規ホテル出店を進め、チェーン拡大とブランド力の向上を行っていく考えだ。

TATERU 町屋タイプを福岡に
 TATERU(東京渋谷区)の子会社であるTABICT(同)では、同社が企画開発を行う町屋タイプの宿泊施設「MUSUBI HOTEL MACHIYA MINOSHIMA 2,3」をオープンさせた。
 同施設は、博多駅や福岡市中央区の西鉄平尾駅を最寄駅としたTABICTが展開するスマートホテル「MUSUBI」シリーズの町屋タイプ宿泊施設。博多区美野島エリアではすでに、アパートタイプの宿泊施設を稼働させているが、今回は新たに町屋タイプをオープンさせた。宿泊収容人数は1棟当たり8名まで。
 「MUSUBI」シリーズでは、街に暮らすように、旅行者にこれまで経験したことのない“新しい旅“を提供し、また、“新しい旅“を通じ人だけでなく地域や文化を豊かにすることを目指している。4名以上のグループ宿泊者をターゲットとし、分散型宿泊施設として、街の飲食店など施設の外へ消費を誘導し、地域経済に貢献していきたいという。
 同社のスマートホテルは、グループ宿泊者をターゲットに、現在では主に福岡県の博多エリアにて展開。宿泊運用業務を効率化する「bnb kit(スマートロック・チェックインパッド・TRIP PHONE)」の導入や、コンシェルジュアプリの提供などICTを活用した様々な宿泊施設運用サービスにより、無人で運営できる宿泊施設を企画開発している。

タブレットサービスを老舗温泉旅館が採用
 ホテル・旅館向け客室内タブレットサービス「tabii」を提供しているand factory(東京都目黒区)では、稲取銀水荘(静岡県賀茂郡)に同サービスを導入させた。
 「tabii」は月額無料で利用できる宿泊施設向け客室タブレットサービス。利用者は館内案内やホテル周辺の観光やグルメなど各々のニーズに応じた情報を得ることができ、滞在中の満足度を高めるもの。
 施設に関する利用者からよくある質問をQ&Aに集約することや、情報を多言語対応にすることにより、スタッフの業務軽減を図ることができる。
 「tabii」は、広告運用を行うことで、宿泊施設の月額利用費を無料で提供することを実現し、利用者にもコスト負担をかけることなく両者にとってメリットあるコンテンツと機能を提供できるビジネスモデルだ。
 今回導入する稲取銀水荘では、運営方法の改善の一つとして、今回導入に至ったもの。

ホテルにレンタルギャラリー  FIKA(フィーカ)(東京都新宿区)では、東京・神楽坂で運営するホステル「UNPLAN Kagurazaka(アンプラン・神楽坂)」の1階ラウンジを使用したレンタルギャラリー「UNPLAN Gallery」をオープンさせた。
 「予期せぬ出会い」「人と人とのつながり」を生み出すホステルとしてサービスの提供を目指す同施設では、自由な表現発表の場所としてアーティストやクリエイターに壁面スペースを貸し出し、訪れた人々がアートを軸にした新しい発見を提供していく。
 レンタルは個人、団体、アマ、プロを問わず可能で、基本使用料は1か月1万円。1階は月平均1000人を超えるホステル宿泊客が利用するほか、併設のカフェ利用のビジター客の目にも留まる非常に露出の多い場所。宿泊客は外国人観光客が約8割と国際的な環境のため、国内外に向けてのアピールもできる。
 現在同社では、都内で「UNPLAN Kagurazaka」(神楽坂)、「UNPLAN Shinjuku」(新宿)の2店舗を構え、昨年12月には初の郊外型施設である「UNPLAN Village Hakuba」を長野県白馬栂池にオープンさせた。




週刊不動産経営編集部  YouTube