不動産トピックス

クローズアップ 消毒・除菌編

2020.04.13 16:42

 新型コロナウイルス感染症が拡大状況となっている。世界で100万人以上が感染し、日本でも5000人を超える感染者を出している。そのなかで企業はマスク生産や消毒剤、あるいは万一感染者がでたときの消毒サービスが多くでている。企業もいざというときのための対応策の策定に動く。そのなかで法人向けの除菌・洗浄サービスが各社展開を始めている。

特殊清掃の実績生かす 万一の事態に対応できる消毒サービスを開始
発表前から企業から打診 各社BCP対応策定急ピッチ
 ブルークリーン(東京都大田区)は先月12日より新型コロナウイルスをはじめとする感染症の除菌・洗浄サービスを開始した。同社は特殊清掃事業を展開していて、大田区に拠点を置きながら1都3県で営業。福祉支援センターや賃貸住宅管理会社、不動産オーナーや個人などからの需要に応えてきた。
 代表取締役の藤田隆次氏は今回の新型コロナウイルス感染症が拡大する中で「大手企業からの問い合わせが増えてきました」と話す。感染が拡大状況にあるなかで、企業側はBCP対応の策定に動いている。万一、社員などで感染が発生した場合の対応や、除菌・消毒などだ。すでにテレワークや在宅勤務などの取り組みを開始している企業は増えている。一方で「いざというときに感染者がでた場合の除菌作業に対応できる企業を見つけるのに苦労していたよう」だ。同社はサービス発表前から企業からの打診を受けてきたわけだ。
 「当社はもともと特殊清掃を行ってきた関係で、感染症対策に適した防護服などが常備されています。また今回の新型コロナウイルスの除菌・洗浄サービスに対しては、『ダイヤモンド・プリンセス』でも利用された加速化過酸化水素を使った消毒剤などを利用し、最大2万㎡まで対応が可能です。このような体制を整えていることをご説明して、多くの企業様から万一感染が起こった場合の対処を任されています」
 同社の「除菌・洗浄サービス」では大型施設・一般住宅・テナント・オフィス・賃貸物件を対象とする。料金は1000㎡までが1㎡あたり1500円から2200円、10001㎡以上になると1㎡あたり1000円から1700円を基本として、それに加えて養生費用や諸経費が加算される。
予防は基本が大切 除菌業者は見極めを
 また藤田氏のもとには感染しないための予防策についての質問も来ているという。
 「よく言われていることですが、基本的な手洗いやアルコール消毒剤の使用、マスクの着用、また空気の入れ替えが基本となります。室内の湿度をあげることもウイルス対策に有効で、弊社では社内に電気ケトルを置き湿度を一定以上に保つよう対策をしています」
 いざ感染者がでれば、消毒業者探しに追われる。そのなかで藤田氏が危惧しているのは「これまでの実績も少なく、消毒方法などの説明が少ない事業者には注意が必要です」と注意を促す。
 処理速度と丁寧さ。特殊清掃だからこそ必要とされてきたノウハウが、現在のコロナ禍の対応策にも求められている。

不動産事業者の対応も進む レジデンストーキョー、予防対策を実施
 レジデンストーキョー(東京都渋谷区)は都内で展開する約800室の家具付賃貸マンションをテレワーク、リモートワークが可能なビジネスレジデンスと位置づけ、スキャナープリンター、ウェブ会議用ヘッドセット、衝立などのオプションでのレンタルを開始する。また同時に新型コロナウイルスの感染拡大抑制、およびクライアントの安全確保のための対策も実施する。
 ビジネスレジデンスでは入居期間30日からのフレキシブルな利用を可能にし、原則オンラインで入居フローを完結させる。内見、来店、立会いといった手続きを省略し、不要な外出やチア面でのやり取りなく入居開始することが可能になる。同社では自然災害などの発生時の事業者のBCPでの活用も提案していく方針だ。
 加えて同社では政府の「コロナウイルス感染症の対策基本方針」を受けて、「退去清掃後の換気の徹底」や「ドアノブ、リモコン、取手などの退去清掃時の消毒」といった各物件における安全対策を「終息宣言」まで実施していく。加えて、同社従業員の感染予防対策も行っていく。

コロナウイルス消毒センター 「消毒作業実施済施設ステッカー」配布開始
 コロナウイルス消毒センター(東京都新宿区)は消毒作業の実施を行った施設に対し、「消毒作業実施済施設ステッカー」の配布を開始した。
 同センターはコロナウイルスの消毒作業専門団体として、2~3月に計230件以上の消毒作業を実施している。
 「消毒を行った施設か否か、施設に立ち入る際に判断したい」という一般の人たちからの多数の要望を受け、今回の配布を開始した。コロナウイルス消毒においては、作業実施の実態を非公開にする企業が圧倒的に多く、消毒作業実施お有無についても施設利用者に告知される明確な制度がない。同センターでは1件でも多くの作業公開を求めている。
 施設の入口に消毒作業実施の有無が明記されていれば安心感につながる。特に現在クラスター発生の情報などが出ている地域の施設や店舗であればよりそういった情報に敏感になっている。今後活用が増えていくかもしれない。




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