不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.04.20 16:14

新型コロナウイルス感染軽症者等受け入れ続々 「有事の際のホテル」存在意義が問われる時
 新型コロナウイルス感染症拡大がホテル業界に大きな打撃を与えている中、大手チェーン店を中心に一部のホテルが、自治体の要請に応じて軽症者等の受け入れを始めている。対象施設は1棟単位で決定するため、各社ともスタッフの安全性確保含めて早急に調整を進めている。有事の際のホテルの在り方が再び注目されている。

アパホテルは横浜の2300室規模
 「新型コロナウイルスは世界的に猛威を振るい、我が国においても戦後最大の国難とも言える状況にあります。このような中、アパグループは、ホテル業界のリーディングカンパニーとして、医療崩壊を防ぐために貢献すべく、軽症者等の受け入れの意向を表明しました。当社としてできる協力を行うことによって、新型コロナウイルスが早期に収束する一助となれることを願っております」。
 全国で10万室以上のネットワークを構築しているアパホテル(東京都港区)の元谷芙美子社長はこう話す。
 アパホテルが4月13日現在、受け入れを決定したホテルは、2311室の「アパホテル&リゾート<横浜ベイタワー>」(神奈川県横浜市)と、233室の「アパホテル<さいたま新都心北>(埼玉県さいたま市)。期間は前者が4月20日から8月末、後者は4月15日から8月末まで。
 同社が用意している受け入れ施設の規模は、東京・横浜などの首都圏で3000室、大阪で1500室、名古屋で350室。住宅地近くの施設は避けることや、運営方法などクリアする部分も多いが、同社では、今後も自治体からの要請があればスタッフの安全面を図ったうえで、受け入れる方針だ。
東横インは既に全国5棟提供
 東京都では、補正予算で1000名分のホテルなどの施設を確保するための「宿泊施設活用事業」として65億円を計上。第一号として6万室を運営している東横イン(東京都大田区)が運営している「東横INN東京駅新大橋前」(東京都中央区)が受け入れを開始した。同社では現在、このホテルのほかに、「東横INN西船橋原木インター」(千葉県市川市)、「東横INN成田空港本館」(千葉県成田市)、「東横INN中部国際空港1」(愛知県常滑市)、東横INN北九州空港(福岡県北九州市)の提供を予定している。
 「いずれも対象となるホテルは、各行政機関が手配された専門家の管理下において医療体制を整え、近隣の皆様の安全を脅かすことのないよう運用されます。当社は、さらなる感染拡大防止のため、ご宿泊者の皆様、ホテル従業員、周辺地域の皆様への感染予防を徹底した上で、今後も可能な限りの協力をしてまいります」(同社)。
 大阪府による新型コロナウイルス無症状者及び軽症者の受け入れ公募に対して実施しているのが、スーパーホテル(大阪府大阪市)が運営する「スーパーホテル大阪天然温泉」(大阪府大阪市)だ。
 同社は全国で1万6000室以上のホテルを運営しているが、今後も全国の自治体からの要請に対応していく考え。
 「この度の国難は日本国民が一致してあたるべき事態であり、医療崩壊を避けるためにもホテル業界から支援するということに意義を感じています。対象となるホテルは、大阪府や医療従事者の皆様と協力しながら専門家の管理の下、医療体制を整え、近隣の皆様の安全を脅かすことのないよう運用されます。また、一般のお客様にご迷惑をお掛けすることがないよう一棟貸しで対応し、宿泊については当社チェーンの他店舗を案内しています」(同社)という。
 日に日に感染者数は増加しており、今後もチェーン店はじめとするホテルへの要請が続くと考えられる。東日本大震災以来、全国ホテルの存在意義が問われている。

カトープレジャーグループ 「ソーシャライジングホテル」軽井沢に
 カトープレジャーグループ(東京都千代田区)では、長野県軽井沢エリアにソーシャライジングホテル「TWIN―LINE HOTEL KARUIZAWA JAPAN」が稼働する。
 同施設は、JR「軽井沢」駅より徒歩7分に位置、部屋数は16㎡から42㎡までの4タイプ51室。料金は1泊1名2万4000円から。ラウンジ、レストラン、スーベニールショップなどを併設する。
 「テクノロジーの発展、グローバル化など環境が変化する中、労働を時間で管理するのではなく、『自分らしく仕事の質』が向上できる環境が求められています。働き方改革やプレミアムフライデーにより、休暇や週末の過ごし方も変化し、ホテルに対してのニーズが多様化する中、当館は”シェアする過ごし方“と”パーソナルな過ごし方“、常に二つの対比があるのが特徴です」。
 この施設のコンセプトについて同社の加藤友康CEOはこう話す。
 このため同施設は、クリエイター、カルチャー感度の高いインバウンド、アンテナを高くはった若者、アーティスト、ノマドワーカーなど、現代のテクノロジーに精通した人々のニーズを期待している。これらの層はデザイン性が高く、居心地の良い中でシェアを好み、繋がりを持って生活し、その生き方を楽しんでいるというのがその理由だ。
 また併設するレストランは、2019年11月に日本初上陸を果たしたスペイン皇室御用達の老舗レストラン「Jose Luis」。スペイン・マドリードで60年以上市民に愛されてきたホセ・ルイスの軽井沢出店は日本2号店となり、リゾート型としては、世界初の試みになるという。

WRO 「ゆとりろ」ブランド全国で拡大
 企業向けに福利厚生・社宅管理代行を展開している東証一部上場企業のリロ・ホールディング(東京都新宿区)のグループ会社のワールドリゾートオペレーション(WRO 同)では、「磐梯熱海温泉 清稜山倶楽部」(福島県郡山市)を新屋号「ゆとりろ磐梯熱海」として新たなコンセプトにてリニューアルオープンさせる。
 同施設はJR磐越西線「磐梯熱海」駅からタクシー5分に位置する。部屋数は31室。大浴場、宴会場、会議室、ラウンジを配置する。
 同社のブランドである「ゆとりろ」とは、全国に9店舗を展開する温泉を旅する和モダン旅館。ゆとりろ(Yu―To―Relo)の由来は、温泉(Yu)と(To)日本全国を旅する(Relocation)を意味する。「それぞれの宿では良質の温泉、癒しの空間、地産地消の美食、地方の魅力を再発見していただけます」(同社)という。
 今回のリニューアルより、名水処で知られる磐梯熱海温泉の地で深沢の名水を生かした心躍るお料理の数々から良質な湯に加え、これまでになかったコンテンツを充実させていく計画だ。
 今後客室は更に10室を増室予定で、郡山からアクセスが良いこの地で新規市場を開拓するにより、磐梯熱海温泉エリアの活性化を目指していきたいという。
 同社は現在、箱根や熱海を中心に30か所近くで高級旅館を開発、運営しているほか、既存施設の再生にも実績を持っている。同社は今後も、年間2~3棟ペースで施設を増やしていく計画だ。
 直営・コンサル施設が増加することで、運営・再生ノウハウの蓄積はもちろん、ネットワーク化も進めていく。「関係のできた施設が増えればその分、新たなビジネスの可能性が広がります。例えば本社にあるコールセンターを利用して、施設からの予約を一括して請け負うなどのビジネスも開始しました。旅館が忙しい一定の時間帯を当社が請け負い、施設の人手不足を解消するのが狙いです。様々な手法を駆使することによって、観光業界活性化の一助になればと考えています」(田村佳克社長)。

日本ホテル JR「横浜」駅5分に174室
 日本ホテル(東京都豊島区)では、「JR東日本ホテルメッツ 横浜」(神奈川県横浜市)をオープンさせる。
 同ホテルは、JR「横浜」駅より徒歩5分に位置。客室はシングル142・ダブル11・ツイン21の合計174室。
 同ホテルは館内に海やレンガなどの横浜のエッセンスを散りばめ、横浜を感じる空間をコンセプトにした。客室はプレーンな色のクロスや絨毯、無垢な風合いの家具が自然になじみ、機能性を追求したデザインで居心地の良さと快適さを提供する。
 リビング、客室を自室のイメージでデザインし、アイアンフレームやレンガなどの工業的なマテリアル、シンプルで洗練された無垢の風合いの家具、プレーンな色合いのクロスや絨毯が、落ち着きを求める大人嗜好の空間を演出する。
 また、ブランドコンセプト「上質が息づく」に基づき宿泊客の快適性を設備面でも追及する。スムーズなチェックイン・チェックアウトができるセルフチェックイン機、シモンズ製のポケットコイル式ベッドなどを用意する。
 客室種類はシングルを中心とした8タイプで構成。JR東日本ホテルメッツでは初導入となるシャワーブースタイプ、最大4名まで宿泊できるソファベッド付きタイプや家の風呂のようにゆったりと過ごせるバス・トイレセパレートタイプの客室など、多様な宿泊目的に対応する。




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