不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2020.05.18 17:10
リウシス 施設経営から生まれたビル管アプロ「HOTE KAN」日常業務の省力化後押し
「ホテルは日常の清掃・施設管理業務が重要なのにも関わらず、備品の在庫管理や修繕履歴などがアナログで、館内スタッフや外部業者との共有化がされておらず、非常に非効率だった」。
リウシス(愛知県名古屋市)の苅谷治輝社長は、宿泊施設のバックヤード業務支援アプリ「HOTE KAN」を開発したきっかけをこう話す。
同システムは、「館内の備品が補充されていない」、「設備の不具合が、故障が直っていない」、「在庫備品の状況を知りたい」、「設備の修繕履歴を知りたい」などといった日常業務の課題を解消し、スタッフの省力化を後押しするもの。
「備品管理」と「設備管理」の2タイプを用意。「備品管理」では、客室の照明・グラスなど館内にある備品を配置されるエリア毎に分類し、全て写真付きで分かりやすく一覧表で表示。清掃スタッフが在庫から備品を出し入れするごとに、スマホ画面に入力すれば、現在の在庫数が反映されホテル側とリアルタイムで共有する。在庫数が少なくなればアラート機能によって、補充することができる。こうすることで毎月の棚卸作業を不要にする。
一方、「設備管理」は、客室や洗面所、空調・給湯器・照明から防犯設備に至るまで、館内にある設備を同様に一覧化。スタッフが設備の故障、不具合を発見した場合はすぐに共有化できる。あらかじめ登録してある工事業者とチャット機能を通じて、対応策を相談、依頼することができる。
過去の履歴を蓄積することで、今後の修繕計画も立てやすくなる。対応プロセスやビフォア・アフターを「見える化」して、スタッフの教育マニュアルにも利用が可能だという。
同社の苅谷社長は、もともとウェブマーケティングシステム会社を経営していたが、2014年に実家であるビジネスホテル「エクセルイン名古屋熱田」(同)の経営にも参画。その中で現在のホテル管理の実情を目の当たりにし、2015年に同社を設立、業務効率化とサービス向上を目的にシステムを開発した。
当初は自社経営の同ホテルに採用したところ、成果が見られたため、外販することとなった。現在、名古屋市内にあるビジネスホテルに採用されているという。
データベース作成や写真・説明文の登録などの初期設定代行料が必要。月額利用料は「備品管理」「設備管理」いずれも3万円。
「今後は積極的に全国のホテルはもちろん、オフィスビルなどにも提案していきたい」(苅谷社長)という。
atta アフターコロナに向けて新機能搭載 旅行検索アプリに価格変動予報
ビッグデータとAIを使った「お得予報型」旅行検索サービス「atta(あった)」を運営する、atta(あった 東京都荒川区)では、新型コロナウイルスの影響明け後にむけた未来への投資として、4月8日に航空券や宿泊施設の価格変動を予報する「お得予報型」機能をアプリに拡充した。
新型コロナウイルスの影響が明けて旅行需要が再度高まったときに向けて、プロダクトの機能拡充をしていくもの。
同機能は、AIによって航空券や宿泊料金トレンドを解析し、今後の価格変動予報を表示するサービス。推奨する予約タイミングがグラフでひと目でわかるようUIにアップデート。合わせてアプリ版で高評価だった「航空券どこでも検索サービス」のWEB版もリリースし、「atta」のロゴも刷新した。
「航空券どこでも検索サービス」とは、出発地と日程を選ぶだけで、航空券の料金が安い順に旅先リストが表示される「旅先発見機能」。
同社の春山佳久社長は話す。
「今は新型コロナウイルスの影響で、旅行する時期ではありません。新型コロナウイルスの影響が明けるときのために今できることとして、当社のプロダクトのレベルアップと魅力的なサービス開発にチーム一同、在宅勤務にて努めています」。
旅行検索サービス「atta」とは、世界中218カ国・地域の300万軒を超えるホテル・旅館・民泊・別荘や世界4400の空港を離着陸する航空券の検索が可能。多数の旅行サイトが取り扱う宿泊施設や航空券を横断的に一括で簡単に比較検索ができる機能を有する。
同社は東京とシンガポールにオフィスを持つ「旅」×「テクノロジー」のトラベルテックスタートアップ。テクノロジー使って旅行を科学し、旅行前にユーザーが感じるペインを解決していく。旅の賢い予約を実現するサービス「atta」をアプリやWeb、そして日本語・英語の両言語にて展開。 独自のサービスとして「お得予報」により、世界300万宿泊施設と全世界4400空港を離着陸する航空券の料金に対して、今後の価格変動を「下降傾向」、「安定」、「上昇傾向」で天気予報のように表現し、旅行者がより安価に予約できるタイミングを表示、更に価格が下がったらスマホに通知するアラート機能も搭載している。
アパホテル 稼働率大幅ダウンだが新たな施策次々と
新型コロナウィルス感染症による感染拡大は、アパホテル(東京都港区)にとっても大きな打撃を与えている。
同社によれば、3月の稼働率は50%程度、RevPARは前年同月の3分の1程度にまで落ち込んでおり、4月はさらに厳しい状況となっているという。東京オリンピックの延期によって約3万6000室分がキャンセルとなったことも大きな痛手となった。
そこで同社は、都市部の企業を中心にテレワークが推奨されている現状を受けて、新たな取り組みとして「テレワーク応援 日帰りプラン」を3月25日から販売を開始。その後連続した利用の要望が多くあったことから、「テレワーク応援5日連続プラン」を4月2日から販売している。延べ2万室の予約があったという。そのため当初5月末までの期間限定販売を7月末までの延長を決めた。「しかし、テレワーク利用のほかは、生活インフラを支える業務に従事される方の宿泊など需要は非常に限定的です」(同社)。
一方、同社は各自治体の要請に応じて、新型コロナウィルス軽症者等の受け入れを決定、2311室の「アパホテル&リゾート<横浜ベイタワー>」(神奈川県横浜市)、233室の「アパホテル<さいたま新都心北>(さいたま市大宮区)などを提供している。今後も自治体からの要請があればスタッフの安全面を図ったうえで、受け入れる方針だ。
SEKAI HOTELが地域商品ECサイトを開設
コミュニティを作る「まちごとホテル」として分散型ホテルを運営するSEKAI HOTEL(セカイホテル 大阪市北区)は、現在のコロナ感染拡大および経済危機を鑑み、地域店舗の商品の引換券を販売するECサイト「ORDINARY MARKET」を開設した。
これは旅先の地域住民しか知らない商店や裏メニュー、その土地の風土を感じるコミュニケーションなど、有名スポットを訪れるのとは違ったディープな日常体験を購入できるサイト。
今回の取り組みは、同社独自の「Social Good 200」という地域の未来を支援する積立金を使用することで、決済手数料などの運営費を補填し、地域事業者の負担を減らす。
同社は「コミュニティをつくるまちごとホテル」として2014年より、空き家を利活用した分散型ホテルの運営を行っている。地域住民、観光客、そして同社の3者による対等なコミュニティをつくることで、地域のありのままの人情や情緒的なシーンを演出することができ、「未だかつてない観光の魅力になるのではないか」(同社)と考えてきた。 こうした地域の魅力を”ORDINARY”(日常)と定義して、観光客に地域の魅力を届け、地域住民と協力しながら拠点を増やし、富山県高岡市でのオープンを控えるに至った。
OYO HOTEL 国内外国人対象に客室を提供
OYO Hotels Japan(東京都千代田区)は、新型コロナウイルス感染症による影響で帰国が難しい国内に滞在中の外国籍の方への支援として、在日大使館対象の特別宿泊割引の提供を開始した。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本発国際線のほぼ全てが現在運航停止している。帰国できずに日本に滞在している多くの外国籍の人が、住居や滞在先を必要としている中、同社は支援事業の一つとして、在日大使館を通じて帰国困難者を対象に全国にあるOYO Hotelsのホテルや旅館の客室を割引料金で提供する宿泊支援を行うもの。
同社は今後、各国の在日大使館に対して支援を行っていく予定だ。
同社のオペレーティング・パートナー(代表)のプラスン・チョードリー氏はこう話す。「OYO Hotelsでは、各国で様々な支援を展開しています。そのひとつの取り組みとして大使館への宿泊支援は他国でも展開しており、今回日本でも実施することになりました。今、私たちにできることとして、自国に帰ることができず不安な思いでいらっしゃる方々が少しでも安心してご滞在いただけるように、OYOの客室を通常よりも更に手頃な価格で提供いたします」。
フェニックス 民泊買取をスタート
2018年7月より主軸の中古マンション買取再販、内装リフォーム業とは別に、自社運営の宿泊事業を展開していたフェニックス(東京都中野区)はこのほど、新型コロナウイルスによって宿泊事業への影響を受けているオーナーや、宿泊事業の撤退を考えている民泊・旅館業オーナーから、物件の買取の支援をするサービスを開始した。
初期費用回収、銀行へのローン返済、ランニングコストなどの負担が大きい民泊・宿泊事業だが、コロナウイルスの終焉、オリンピックの来年の開催の目処もまだ具体的に立たない中、もし民泊・宿泊事業の売却や、経営の運営譲渡に関して考えているオーナーからの需要を見込んでいる。