不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2020.06.15 16:05
ソラーレ ホテル アンド リゾーツ 事業再生チームを発足
ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)は、新型コロナウィルスの感染拡大により大きな打撃を受けている宿泊施設、宿泊施設が所在する地域経済の活性化と再生を支援するため、事業再生支援チームを発足させた。
現在、長期化するコロナ禍のもと、ホテルや旅館の経営悪化が深刻化している。逼迫する宿泊業者は今後更に増加することが予想されることから、宿泊施設については、運営会社だけでなく、不動産を所有する企業等からも事業再生や承継、運営に対する支援のニーズが高まっている。 こうした背景から、同社では、宿泊施設の維持存続を図り、ひいては地域経済の活性化を目指し、国内外のホテル運営で確立した独自の運営モデルと複数ブランドを活かし、支援に取り組んでいきたいという。
宿泊施設に対しては、運営会社の変更を伴う事業再生や承継支援だけでなく、運営会社を変更せずに収益向上を図るための運営支援、送客支援なども行い、事業の再生支援を行う。金融機関、投資ファンド、コンサルティング会社等を含む事業再生支援のためのネットワークや、支援スキームの構築なども必要に応じて提供する。また、ローカル需要に支えられる宿泊施設にとって、地域経済の活性化は極めて重要であることから、宿泊施設の従業員の雇用維持を含めて、地域経済の活性化についても積極的に取り組んでいく。「運営会社だけでなく、宿泊施設の所有者や関係者、地域の全てが一丸となり、この未曾有の危機を乗り越えることを目指していきたいと考えています」(同社)。
同社は「雨庵 金沢」「ザ・スクエアホテル」「ホテル・アンドルームス」「ハタゴイン」「ロワジール」「チサン」などのホテルブランドを有し、国内52カ所、海外1カ所、7488室のホテルの運営、アセットマネジメント、フランチャイズ運営などの事業を展開している。
「キャッシュフローは当面厳しく」トリプラが調査
旅行業界向けIT・AIサービスを展開するtripla(トリプラ 東京都中央区)はこのほど、宿泊施設の公式ホームページ向けの宿泊予約システム「triplaホテルブッキング」を利用中の国内約300軒の宿泊施設における、2020年1月26日週~5月24日週の宿泊予約状況を集計した。
集計方法は、各宿泊施設のホームページ上で、予約システム「triplaホテルブッキング」を介して行われた空室検索数、予約件数、宿泊件数、予約金額。
これによれば、空室検索数は2月2日に最高を記録したが、その後減少に転じた。3連休前後の3月15日~3月22日の週にかけては増加するものの、移動自粛の呼びかけなどを受け再び減少した。4月7日の緊急事態宣言後、4月12日の週に空室検索数は底を迎え、最高時に比べ80%減となった。現在は、4月12日の最低時より約3倍にあたる60%まで回復を見せている。
宿泊予約件数、実際の宿泊数ともに、4月12日の週に最低を記録。最高時に比べ宿泊予約件数は40%、宿泊数は30%にまで落ち込んだ。4月19日の週以降、予約件数は増加傾向にあり、最低時より約1・8倍にあたる70%まで回復している。施設当たりの予約金額も回復傾向にある。
こうしたことから、宿泊予約件数は回復基調にあるものの、実際の宿泊件数は回復に時間を要することが予想される。これに伴い、現地決済分の売上の回復が遅くなるなど、宿泊施設ではキャッシュフローが厳しい状況が続くことが考えられる。
同社は、「triplaホテルブッキング」を共に創り上げてきた宿泊施設をサポートするため、宿泊施設のキャッシュフロー改善と未来の利用客獲得に貢献する新機能「未来の宿泊チケット」を、5月12日にリリースしている。
これは、宿泊施設はクレジットカードによる事前決済方法で利用客に未来の宿泊を販売することができ、購入完了時点で宿泊料金を徴収することが可能になる。販売価格や利用期間は、宿泊施設ごと設定することで、利用客に対して魅力的な宿泊プランの販売が可能となる。
「未来の宿泊チケット」は、サービス発表から3週間で約10施設へ導入が進み、6月末日時点で200施設での販売開始を目指していく。
L&G ”ウィズコロナ”時代の事業方針発表
CHILLNNの関連会社でホテル運営などを行なうL&G GLOBAL BUSINESS(京都府京都市)はこのほど、「ウィズコロナ」時代に向けたホテル運営のあり方と、自社が目指すべき今後の事業方針についてまとめた資料「New Normal for the Hotel Business beyond “with Covid―19”」を作成した。
新型コロナウイルスの感染拡大によって観光業が大きな打撃を受けるなか、L&Gと関連会社であるCHILLNNとして取り組んできた「ホテルシェルター」や「未来の泊まれる宿泊券」「ホテル運営ガイドラインの作成」などの複数事業を通じて見えてきた、これからのホテル運営についてまとめたもの。
厚生労働省は5月4日に発表した新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が、生活全般のあり方を示す中で、宿泊業に影響を受ける部分や、どのようにホテル運営に活かせるのか。
例えば「人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける」、「遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ」、「テレワークやローテーション勤務」、「帰省や旅行はひかえめに出張はやむを得ない場合に」「大皿は避けて料理は個々に」。これらから、ホテルが提供してきたこれまでの価値に加えて、観光業・宿泊業があまり取り組んでこなかった周辺分野にも価値が見出されると同社は考えている。
一方で、このまま感染が収束するとは限らない。「もしも、さらなる感染拡大が起こった場合、社会動向はどうなるのか。移動やホテル運営に対して法的な規制が入る可能性もあり、今からホテルとして具体的な安全対策を講じておくことにメリットがあると感じます」(同社)。
こうした状況から、自粛緩和がなされる中で観光業を持続するためには、ホテルが「安心して遊びに来てください」と自信を持って宣言できる環境が不可欠であると同社は考えている。
そこで同社は、今後の観光業として取り組むべき分野や、安全対策の強化から、これからのホテル運営において、「デジタル化」「提案の多様化」「販売のD2C化」「収益ポイントの増加」「安全対策の強化」を挙げている。
マイナビ 法人向け客室提供サービスをスタート
マイナビ(東京都千代田区)では、法人向けホテル客室提供サービス「マイナビトラベル ホテルSTAY」を開始した。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、宿泊業界はインバウンド需要の急激な落ち込みや外出自粛要請で、大きな打撃を受けている。一方、企業では従業員の一時的なテレワークの環境確保や、小売業や流通業への応援勤務など、突発的な中長期滞在の出張ニーズが出ている。こうした背景を受け、国内宿泊予約サイト「マイナビトラベル」と、法人向け中長期滞在サービス「マイナビBiz」は、ホテル客室提供サービス「マイナビトラベル ホテルSTAY」を提供することとなったもの。
同サイトは、企業向けにホテルの客室を提供し、社宅やオフィススペースとして利用できるサービス。出張や社員研修を行う際や、テレワーク環境を整える際、条件に応じた宿泊施設のプランを提案。施設にとっては、コロナ禍で空室となってしまった客室を法人へ提供することが可能になる。
このサービスの特徴は、エリア・利用期間、予算や食事サービスの有無、会議室や駐車場をはじめとする各種設備など、希望に応じた利用プランを、マイナビと契約している多数の宿泊施設から提案できる。
同社では、「社員研修や店舗へのヘルプなど、中長期的な滞在」、「ウィークリーマンションなどの物件がないエリアでの滞在」、「海外帰国者・転勤者の待機宿泊施設」、「テレワーク用のオフィススペース」のニーズを期待している。
ホテルニューオータニ幕張 無料宿泊券付プラン開始
ホテルニューオータニ幕張(千葉県千葉市)では、6月30日までの期間、千葉県在住の人限定で利用できる宿泊プラン「Stay & Smile CHIBA~無料宿泊招待券プレゼント付~」を販売している。
例年、同ホテルでは6月15日の「千葉県民の日」に合わせて、千葉県の魅力を知ってもらうために「千葉県民の日記念宿泊プラン」を販売し、県外からも多くの人に利用されていた。今回、新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が解除されたものの、感染拡大防止対策に伴い、県境をまたぐ旅行などはなるべく避けるよう求められている。そこで今年は対象を「千葉県在住の方」に絞り、6月中に宿泊すれば9月30日まで利用できる無料宿泊招待券「おかえりなさいクーポン」をプレゼントする。
同プラン利用者には特典として、9月30日まで何度でも利用可能なレストラン優待パスポートをプレゼントする。
ハイアットリージェンシー横浜開業
ハイアット ホテルズ コーポレーション(本社・米国イリノイ州)は、ハイアットの横浜初進出となるホテル「ハイアット リージェンシー横浜」(神奈川県横浜市)をグランドオープンさせた。同ホテルは、みなとみらい線「日本大通り」駅至近に位置。敷地面積約3300㎡、延床面積約2万8000㎡、地下1階地上21階、客室は36㎡のスタンダード297室、72㎡のスイート18室の合計315室。2つのレストラン、バー&ラウンジ、ペストリーショップのほか、グランドボールルーム、スカイバンケット、ミーティングルームなどの宴会場を配置する。
同ホテルは、ケン・コーポレーション(東京都港区)とハイアットがそれぞれの関連会社を通じて2016年に締結したフランチャイズ契約に基づき運営される。
横浜開港の歴史に育まれた日本大通りに位置する。屏風をモチーフとしたヘッドボードが黒を基調としたスタイリッシュなインテリアデザインと融合。55インチ以上の大型テレビ、レインシャワーのついたバスルームを全室に備え、機能性と優雅な気分が味わえる安らぎの空間を実現した。