不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2020.06.22 17:09
「ワーケーション」ニーズに合わせた新施設開業 カトープレジャーグループが軽井沢エリアに
ホテルはもちろん、リゾート、レストラン、スパ、エンターテインメントなど多岐にわたる事業開発や運営を展開しているカトープレジャーグループ(東京都千代田区)では、軽井沢に仕事とプライベートを両立させることができる新感覚のライフスタイルホテル「TWIN―LINE HOTEL KARUIZAWA JAPAN」を、7月3日にオープンさせる。
同施設は、JR「軽井沢」駅より徒歩7分に位置、部屋数は16㎡から42㎡までの4タイプ51室。料金は1泊1名2万4000円から。ラウンジ、レストラン、スーベニールショップなどを併設する。
この施設のコンセプトについて同社の加藤友康CEOはこう話す。「テクノロジーの発展、グローバル化など環境が変化する中、労働を時間で管理するのではなく、『自分らしく仕事の質』が向上できる環境が求められています。働き方改革やプレミアムフライデーにより、休暇や週末の過ごし方も変化し、ホテルに対してのニーズが多様化する中、当館は”シェアする過ごし方
“と”パーソナルな過ごし方“、常に二つの対比があるのが特徴です」。
新型コロナウイルスの流行により、多様な時間の過ごし方が一般化する中で、居心地が良い環境で、自分らしい働き方を求め、さまざまな工夫をする姿が見られるようになってきた。
同社が実施した「働く世代のワークバランスの意識変化に関する調査」でも、リモートワーク実践者のうち、約60%が「ワーケーションに興味がある」と回答しており、「自分らしい休暇スタイル」や「質の高い働き方」に関心が高まっていることがわかった。
こうした状況下でワーケーションに対してニーズが広まる中、同ホテルは、クリエイティブな空間で情報や体験を共有できるロビーラウンジや、居心地の良さを追求した部屋や、ここでしか味わうことのできないスペイン王室御用達「ホセ・ルイス」の特別料理、「そして軽井沢という立地を活かした充実の周辺アクティビティなど、仕事とプライベートが両立できる環境をご用意しました」(同社)。
同ホテルは、在宅リモートでシェアする空間とプライベートな空間を持ち合わせたライフスタイル型ホテル。「クリエイター、カルチャーや感度の高いインバウンド、アンテナを高く張った若者、アーティスト、ノマドワーカー、現代のテクノロジーに精通した方々など、新しいアイデアに出会う旅を提供します」(同社)。
国際的なTOPブランディング・デザイン「Eight Partnership Ltd.」やアーティストとコラボレーションした。Eightは、国際的に評価されているブランディングデザイン会社で、マーケティング専門誌では、ブランドコンサルタント会社部門、デザイン会社部門でともに第一位を獲得している。米IT大手アップル社、キャセイパシフィックや、ダイソンなどの有名なブランドを手掛け、世界の権威ある「レッド・ドット・デザイン賞」を受賞するなどの実績がある。
1階部分のスペイン王室御用達レストラン「ホセ・ルイス」をホテルの開業に先駆けて6月17日プレオープン。同レストランは、1957年にスペイン・マドリードでレストラン「ホセ・ルイス」を開業し60年以上にわたり、マドリード市民のみならず、国王からも絶大な信頼を得ている。またホセ・ルイスの所有するワイナリーは、王室御用達ワインとしても知られている。昨年11月に日本初上陸した渋谷に続き、2店目となる。
「信州野菜をふんだんに使い、軽井沢限定のお料理やワイン、宿泊者の方でなくてもお愉しみいただけます。特に朝食は軽井沢では珍しいスペインの朝食をお届けいたします」(同社)。
同ホテルが位置するリゾートテレワークを積極的に推進する長野県・軽井沢町では、2012年頃より地域の住民を中心にアクティブラーニング型の企業研修などの環境づくりを行ってきた。2018年に正式に「軽井沢リゾートテレワーク協会」が設立され、軽井沢の環境、自然環境を生かしたソリューション設備に力を入れている。
グローバルエージェンツ 「ウィズコロナ」環境課の運営方針策定
グローバルエージェンツ(東京都渋谷区)が運営する各宿泊施設では、新型コロナウイルスに対する一定の予防を図り、安心した滞在の提供に加えて体験価値の最大化を目指した、ウィズコロナ環境下における運営方針を策定した。
新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮い経済も深刻なダメージを与えている中、国内では4、5月の第一波を越え、今後は短中期的に感染リスクをコントロールしつつ経済との両立を図っていくフェーズに移行した。このフェーズでは、十分な感染防止対策は施したとしても、どこにおいても感染者やクラスターが発生する可能性がある。
そこで同社では、「ウィズコロナ環境下における対策を、『感染予防』だけでなく、感染者が出た場合に当該感染者がホテルを利用した日時を特定し、同日にホテルに一定時間来館した人をすばやく特定し、保健所と連携して通知するという『トレーサビリティ』を講じることが企業責任と捉え、『感染防止対策』と『トレーサビリティ』を軸にホテルの運営方針を策定いたしました。さらにデジタルトランスフォーメーションを加速し、タッチレスな滞在を推し進め、『安心』をご提供するとともにワクワクした『新しい宿泊体験』を創出することを目指します」(同社)。
同社では新型コロナウイルスの世界的な流行以前よりデジタルトランスフォーメーション化を推進してきたが、新型コロナウイルスの影響も受け、今後も「タッチレスな滞在」を推し進めていく。従来型ホテルにおける不要な接触ポイントを減らすことで、「安心した滞在」を提供するとともに、デジタル体験そのものを楽しめるような演出を施す。
同社は、ライフスタイルホテル13棟約1235室などを運営している。
ナインアワーズ 「ナインアワーズ半蔵門」オープン
独自の「トランジットサービス」を展開しているナインアワーズ(東京都千代田区)が再び動き出した。7月1日、皇居周辺エリアに新店舗「ナインアワーズ半蔵門」(東京都千代田区)をオープンさせる。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑み、利用客と従業員の安全を最優先とし臨時休業していたナインアワーズ全国15店舗も同日より随時再オープンさせる。
「ナインアワーズ半蔵門」は、東京メトロ有楽町線「麹町」駅徒歩2分に位置、延床面積1207・44㎡、敷地面積178・59㎡、地上10階建て、客室数は男性100室、女性80室の合計180室。所有はナインアワーズプロパティファンド第2号。
同施設は皇居から続く街路樹が立体化したようなファサードを持つカプセルホテル+ランニングステーション。かつて武家屋敷だった敷地周辺は現在ではカーテンウォールのビルが立ち並ぶオフィス街となっている。そこでこの建築のファサードには周囲の雰囲気を取り入れたミラーガラスと、カプセルモジュールである120cm角グリッドのサッシュを採用。立体的に配された樹木は、120cmキューブのピクセルで刳り抜かれたニッチにはめ込まれまれている。
「空中の樹木はミラーガラスに映し込まれ、街の中に緑を増幅させます。夜には緑を照らす照明や室内からこぼれた光により昼間とは違った表情が街に浮かび上がります。内部は雁行したカプセル配置により徐々に外部に向かっていく街路的な広がりを持ちます。内外にまたがる立体的な『街路』を介して都市の中に生活していることを体感することができるでしょう」(同社)。
皇居周辺というロケーションに合わせ、ランニングステーションの機能を併設。皇居ランナーに向け、ナイキのランニングシューズやウェアのレンタル、シャワーブースなど高品質な機能とサービスを提供する。シャワーブースでは、通常のシャワーに加えてTOTOのウォームピラーを採用。特別に制御した身体に沿って流れる水流による高い温浴効果でランニングの疲れを癒してリフレッシュすることができる。同社は、ホテル滞在中の「シャワー」+「睡眠」+「身支度」という3つの基本行動の本質を捉え、機能性と品質を徹底追求し、適切で納得感のあるサービスで都市ならではのトランジットサービスを提案してきた。
「コロナ禍によってもたらされた以前とは異なる世の中の状況や人々の意識の変化。ナインアワーズは”原点と拡張”というキーワードを念頭に、原点であるカプセルユニットの可能性を最大限に活かし、その機能と品質をさらに研ぎ澄ませて進化したいと考えています」(同社)
同社はまた、今般の新型コロナ禍を踏まえ、ナインアワーズが人々の活動に寄り添う都市の道具としていつでも有効に機能するため、「ハイジーン(包括的な衛生管理)プロジェクト」を立ち上げた。これまで実践してきた清掃プロトコルに加え、紫外線によるウィルス不活化や薬品の適切な使い分けなど、科学的な裏付けに基づくナノ単位でのウイルス対策にも力を入れて取り組んでいくという。
アイ・ジー・エム 「新しい生活様式」に対応した運営提案
ゴルフ場・リゾートホテルのコンサルティングや、受託運営を行っているアイ・ジー・エム(東京都北区)では、「新しい生活様式」に対応したゴルフ場・リゾートホテル運営コンサルティング部門を新設した。
新型コロナウィルス感染拡大後数ヶ月の間に「マイクロツーリズム」、「巣ごもり」、「三密回避」、「安心・安全」など、顧客の要望はさらに多様化した。
ゴルフ場に関しては、スループレー、浴場の不使用、チェックイン・チェックアウトの簡素化等従来の運営スタイルを見直さなければ、顧客の多様化する要望への対応が後手に回り、集客に影響を及ぼすゴルフ場が多くなってくる。
同社では、従来のコンサルティング手法に加えて、個別部門としてのレストラン部門の新しい運営の在り方を提案するとともに、テレワークを含めた働き方改革、多職種連携など、従業員の雇用体系についても、従業員・経営者共にメリットのある形を作り出していく。