不動産トピックス
クローズアップ バーチャルオフィス編
2020.06.30 12:00
新型コロナの影響によるテナント解約に悩むビルオーナーが増えている。だが、コロナ流行によるテレワークの推進により、注目を集めているのが「バーチャルオフィス」だ。今回は、バーチャルオフィスの事業の先駆け的企業を取り上げたい。
ワンストップビジネスセンター 18日に仙台店オープン 東北へ初進出
全国30拠点でバーチャルオフィス「ワンストップビジネスセンター」を展開し、起業支援を行う、ワンストップビジネスセンター(東京都港区)は、起業家・副業家の支援を目的として、6月18日に「ワンストップビジネスセンター 仙台店」(仙台市青葉区)をオープンした。仙台店はワンストップビジネスセンターの東北への初進出となる。仙台をビジネスの拠点として事業活動を行いたい事業主のニーズに応えていくとした。
拠点では法人登記利用が可能な住所利用、会議室利用、郵便保管・転送、電話番号のご契約・電話対応業務などを始め、各種オプションサービス(ホームページ制作サービスやオリジナルのファックス番号の取得など)が利用できる。初期投資やランニングコストに悩みがちなスタート段階のフリーランサー、副業家、スタートアップ事業者がローコスト・ローリスクで事業を始める支援となる。
新型コロナウイルスの影響で、大企業はもとより多くの中小零細企業・個人事業主は経営計画の見直しを迫られている。特に固定費削減を図るケースは多く、ワンストップビジネスセンターの契約理由にも「事務所移転」を理由とし、固定費削減を目的の1つとした新規申込者数は急増中だ。同時に、緊急事態宣言の解除以降、過去にないペースで同社への申し込みが入っているという。コロナ禍がひと段落し、改めて起業への機運の高まりが背景となる。
同社は2010年よりバーチャルオフィス事業に参入。全国における拠点数、割安かつ明朗な料金体系が顧客から評価され、延べ1万3000社以上の事業者に活用されている。今後は、仙台・宮城県、ひいては東北での経済活性化を担う起業家・副業家の輩出と育成を目指していくという。
karigo 「目黒」「船橋」「座間」に新拠点 リーズナブルな料金が魅力
バーチャルオフィスを運営するkarigo(東京都中央区)は今月新たに、「目黒店」、「船橋店」、「座間店」の3拠点をオープンした。同社は全国でも珍しいバーチャルオフィスのフランチャイズ(以下FC)事業を展開。目黒店は東急「中目黒」駅徒歩2分、船橋店はJR「船橋」駅徒歩5分、座間店は小田急「座間」駅徒歩7分といずれの拠点も交通至便性の高い場所に立地しており、利用者の拡大に期待がかかる。
同社のバーチャルオフィスは「銀座三丁目店」から始まり、今回の開業で47拠点目。プランは住所貸出のみのシンプルな「ホワイトプラン」に加え、「ブループラン」、「オレンジプラン」、「シルバープラン」とニーズに合わせて4種類の中から選べる。月額利用料金は3300円~12600円とサービス内容により変わるが、リーズナブルな価格設定も人気を集める理由の一つとなっている。
新型コロナ流行のあおりを受け、テナント解約に悩むビルオーナーも多い昨今。初期投資なしで始められるバーチャルオフィスは、空室の有効活用方法として注目を集めている。加えて、ビルオーナーが始めることにより、ある課題をクリアできるという。
課長の井村優介氏は「バーチャルオフィスを開業するためには、ワークスペースを設けずとも、『住所提供が可能な場所』であることが条件となります。開業を考えている方にとって、この条件のクリアが大きなハードルとなります。テナントの一つとして始める場合、ビルオーナー様より『住所提供サービス』の許可が必要になるためです。『住所提供サービス』に、抵抗のあるオーナー様が多いのです。しかし、オーナー様自らが始めるのであれば、その課題は自然とクリアできます」と語る。
2006年の設立から、順調に拠点数を伸ばす同社。今後の展望について井村氏は「最近では、ネットショップ運営の方がバーチャルオフィスを利用するケースが増えてきています。当社のバーチャルオフィスFC事業は全国展開をしているものの、未だ拠点のない都道府県もあります。目標は100拠点達成で、ゆくゆくは全都道府県に拠点を構えたいと考えています」と期待を膨らませる。