不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2020.07.20 14:36
ベッセルホテルが沖縄に新ブランドオープン 「レクー沖縄北谷スパ&リゾート」2棟に
初のリゾート施設 地元アーチストと連携
全国でホテル事業を展開しているベッセルホテル開発(本社・広島県福山市)では7月1日、「レクー沖縄北谷スパ&リゾート プレミア」(沖縄県中頭郡)を新たにオープンさせた。
同社は既に「レクー沖縄北谷スパ&リゾート」を今年3月、初めてのリゾートホテルとして、メイン棟をオープンさせている。今回オープンしたプレミア棟は、「よりワンランク上のラグジュアリー体験を求める利用客のために、更に上質なサービスと非日常性、特別なプライベート空間を提供していきたい」(同社)という。
同ホテルは、敷地面積2647・90㎡、延床面積7181・69㎡、鉄筋コンクリート造地上7階建て。客室は全48室。施主はDepot island spa&resort、 ベッセルホテル開発が運営を担当する。設計はアイランドb.dプランニング、施工は大地建設・仲本工業の特定建設工事共同企業体。
「アールデコ&沖縄モダンの融合」をコンセプトに、客室は空間自体に余白を持たせ、テラスや一部の客室でプライベートプールを設置、オリジナルデザインの置き家具、ラタンや籐を使うなど、「まるで住宅のような居心地の良さとリゾートスタイルを同時に表現しました」(同社)。 また沖縄らしさを表現するため、沖縄の作家による金箔と染色を施したオリジナルタペストリーや、さざ波や砂浜からインスピレーションを受けたグラフィックのカーペットを取り入れたほか、エントランスやスイートルームのテラスの床には琉球石灰岩という沖縄の素材を多用した。
地域の文化を取り入れることで、街に溶け込むデザインの新しいホテルを提案する。沖縄出身のアーティストである金城有美子氏や、嘉数義成氏はじめ、同ホテルのために制作されたアート作品を館内や客室に展示する。
ダイヤモンドスイート、ゴールドスイートの宿泊者には限定で、沖縄・北谷発のコーヒースタンド「ZHYVAGO COFFEE(ジバゴ コーヒー)」より、コーヒーと菓子のワンプレートを提供する。
そのほか、18歳以下の子供に添い寝無料サービスや、各種グッズの貸し出しや無料提供、5歳以下の子供朝食無料など、家族で気軽に泊まることができる様々なサービスを用意する。
大手企業と協業し多彩な店舗を運営
3階から7階までの客室フロアには、33・4㎡~373・3㎡までの6タイプ48室の客室を設けており、全室の浴室には敷地内の源泉から天然温泉を引いている。
同社は大手企業との協業により、出店を増やしてきた。同社含めたベッセルグループは100年近くの歴史があるが、もともと広島県福山市のいち地方企業のため、全国展開していくためには、パートナー企業との協業が不可欠だった。「ここ数年、地道な営業と実績を高めたことで、今ではゼネコン・不動産会社・鉄道会社・投資ファンドなどとのパイプが固まり、優良な土地の情報が入手できるようになりました。これが出店スピードを速める要因になっています」(瀬尾社長)。
これまでの施設は新築が殆どだが、既存ホテルの再生にも対応していく。その場合は人口30万人以上の都市で、客室数80室以上が基準。一方、新築ならば、主要駅から徒歩5分圏内で、客室数130室などが条件だ。同社では、既存物件の取得や賃貸借、運営受託など様々な契約形態によって出店を加速させていきたいという。
同社は現在、全国で26施設を運営しており、2021年秋に開業が決定しているホテルを含め、計31施設となる予定だ。
アパ×TKP 10店目を東京・上野に開業
アパホテル(東京都港区)では、貸し会議室大手のティーケーピー(TKP 東京都新宿区)とフランチャイズ契約を締結。新たに東京都千代田区に全215室の「アパホテル〈上野広小路〉」を開業させた。TKPは、2014年8月に全203室の「アパホテル〈TKP札幌駅前〉」(北海道札幌市)を皮切りに、全国の主要都市を中心にアパホテルのフランチャイズを展開しており、今回10棟目となる。
同ホテルは、地下鉄銀座線「上野広小路」駅、「末広町」駅から徒歩2分に位置、上野や秋葉原が徒歩圏内にあり、ビジネス・観光の宿泊需要の獲得を見込んでいる。
客室は全室禁煙で、アパホテル独自の「新都市型ホテル」の標準仕様として、全室50型以上大型液晶テレビを設置。館内案内をテレビ画面上に集約表示したほか、自身のスマホから動画や写真などをテレビに映すことができる「ミラーリング機能」などを備えている「アパデジタルインフォメーション」を導入した。
また、ベッド下に荷物の収納スペースを設けたオリジナルベッド「Cloud fit Grand(クラウドフィット グラン)」や、リュックサック等を掛けるフックを設けた多機能姿見を設置し、空間を立体的に活用しているほか、照明スイッチ類、空調リモコン等をベッドの枕元に集約し、USBポート・コンセントを枕元に設置しており、機能性・利便性を追求した客室空間が特徴だ。
全室に空気中の花粉やカビ菌、ウイルスなどを無効化し、脱臭効果のある「ナノイーX」を搭載し、従来機より人にやさしい風の流れを追求した新型エアコンや、客室の明るさにこだわったLEDシーリングライトを導入しており、快適に滞在できるよう工夫を施してる。
最先端のIT開発として、全予約経路対応、スマホ決済にも対応するチェックイン機に加え、クレジット決済に特化した小型の卓上型チェックイン機を導入。アパホテル公式サイトにて事前にクレジットカード決済をすることで、当日のチェックイン手続きが大幅に簡素化を実現させた。
アパグループ代表の元谷外志雄氏は話す。「2010年にSUMMIT―5が始動し、東京都心でトップを獲得する戦略の下、現在直営ホテルにおいて建築・設計中を含む77棟を展開している。当社は3年間で1050億円の経常利益を打ち出しており、経営に大きな問題はない。この新型コロナウイルスにおける影響は1~2年と推測している。ホテルの建築計画に関しても、予定通り行っていく」。
アパホテルは、アパホテルネットワークとして海外、FC、パートナーホテルを含む全国最大級の658ホテル10万1408室を展開しており、年間宿泊数は約2613万名に上る。2020年4月にスタートした「SUMMIT 5―III(第三次頂上戦略)」では、国内で圧倒的なナンバーワンホテルチェーンとなるべく、2025年3月末までにアパホテルネットワークとして15万室展開を目指していく。
コアグローバルマネジメント 「クインテッサホテル」札幌に
コアグローバルマネジメント(東京都中央区)では、「クインテッサホテル札幌すすきの」(北海道札幌市)を8月1日にオープンさせる。同施設は「クインテッサホテル札幌」(同)に続く、北海道札幌市で2店舗目のクインテッサブランドとなる。
同施設は、地下鉄南北線「すすきの」駅から徒歩5分に位置、地上13階建て、客室は155室で、レストランを併設する。
一面の銀世界を思わせる真っ白なロビーが特徴で、コンセプトは「道都札幌の一等地ホテルに佇む、北海道の四季」。
冬の樹々をイメージした客室、一面の銀世界をイメージしたフロントデスク&ロビー、夏の樹々の鼓動を感じさせるレストラン等プロパティデザインを有する。客室は、14㎡のスタンダードダブル46室、17㎡のスタンダードツイン48室、23㎡のファミリーツイン48室、25㎡のスタンダードトリプル12室、17㎡のユニバーサルルーム1室からなる。3名以上で利用可能な客室タイプも多く、ビジネスやカップル、家族や友達グループなど、幅広いニーズを期待している。
オリックス不が箱根に温泉旅館
オリックス不動産(東京都港区)は、神奈川県足柄下郡箱根町強羅で建設中の温泉旅館「箱根・強羅 佳ら久(はこね・ごうら からく)」を10月2日に開業させる。同施設は、オリックス不動産が新築する2件目の温泉旅館になる。
日本の伝統や文化を大切にした「和」のフォルムを持ったデザインとし、「際立ち そして 佇む」が外観の設計コンセプト。施設は、「本館」「別館」「客室棟 西」「客室棟 東」の計4棟で構成される。本館と別館は共用棟で、本館には、3階にフロントとロビーラウンジ、4階にメインダイニング「六つ喜(むつき)」、最上階に二つの展望露天風呂を設ける。
別館には、3階に三つの貸切風呂、4階にスパ、最上階にグリルレストラン「十邑(とむら)」を配置。本館と別館の間に「水のテラス」、客室棟の間に「森のテラス」が配置され、同施設ならではの眺望や箱根の自然が体感できる。
客室は、窓の外の緑が近く、自然との一体感を感じることができる「客室棟 西」に45室、上層階からは谷筋を見下ろし、相模湾まで見通すことができる「客室棟 東」に25室、計70室の温泉露天風呂付き客室を用意。全室デラックスルームの洋・和の2タイプで、バルコニーを含め約56㎡。室内は、和紙・木格子などの日本の伝統的な素材を使用し、強羅の自然風景を取り込んだしつらえにしているほか、卓を配してリビングと寝室を緩やかにゾーン分けすることで、滞在時の快適性にも配慮している。