不動産トピックス

クローズアップ モビリティツール編

2020.07.20 14:26

 働き方も多様が進む昨今、モビリティも多様だ。MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス=サービスとしての移動)という分野も生まれたほどだ。さて移動の手段もいろいろだ。車の中にオフィスがあり、好きな場所で貸し借りできる自転車あり。

太陽光パネル搭載オフィスカー 車中のオフィスで仮眠も可
 PCを持ち歩き、自宅や出先のカフェやコワーキングスペースなどで仕事をする「テレワーク」。すっかり定着した働き方だ。メリットの一つに通勤時間、移動時間がなくなりその分効率が良いという見方がある。では移動中にもPC作業ができればさらに効率的ではないだろうか。
 建設機械レンタルのアクティオ(東京都中央区)は、移動しながら事務作業ができる「太陽光パネル搭載オフグリッドオフィスカー」を開発した。上部に太陽光パネルを設置、エアコン、冷蔵庫、パソコン用のコンセントも複数装備しており、車の中で事務仕事ができる商品だ。
 同社は建設機械レンタルが主業のため、ターゲットは建設現場の仮設事務所としての利用だ。短期の工事現場や、現場監督が複数の現場を担当する際の移動用としても使用できる。風力発電所の現場など、僻地での工事現場では大きな需要もあるという。2020年6月下旬よりレンタルを開始した。
 「最初は工事現場向けの開発でしたが、今回のコロナの影響で、救急室的な役割もあるのではないかなど、様々な用途を考えるようになりました」と語るのは産業機械事業部の専任課長・川上修明氏。
 「太陽光パネルから蓄電していますが、残量が減ってきたら外部からコンセント充電もできるようにしています。エンジンを切った状態でエアコンをフル稼働させると5時間ほど使用できます。仮眠スペースもあります。安全性が高いリチウムバッテリーを使用しています。また、ルーフが開いている状態や、外部の電源からコンセントがつながっている状態でエンジンをかけると警報音が鳴るように設定しました」(川上氏)。
 横になれる仮眠スペースもあるため、例えば屋外での熱中症対策のための休憩所としての役割も期待される。
 「誰にでも使えるよう、シンプルな機能のみにしました。あれもこれも、というと複雑になって使いにくくなってしまいますしキリがありません。極力、スイッチを押してすぐ使えるようなものにしました」(川上氏)。
 車中にオフィスがあれば、移動のたびに書類などの忘れ物が出ることもない。建設現場以外でも、イベントや出張などでも活躍しそうだ。
 同社広報課課長・成澤幸子氏は、「移動後、そのまま車のなかで、外の気候に関係なく快適な環境で打ち合わせができます。無駄な時間も省けますね」と話す。
 反響は大きく、全国から想定の5倍以上を超える件数の問い合わせがあり納品まで数か月待ちの状態だという。効率化を進める様々な商品が次々に開発されているが、その背景には働く環境の変革があるようだ。建設業界においても同様だ。川上氏は「繁忙期は10月から3月末でしたが、繁忙期と端境期のサイクルが昔よりなくなってきているようですね。働き方改革の影響でしょうか、工期が伸びているように思います。また省人化が進んでいますね。人を減らしても工事ができるよう、AIの活用や、様々な研究開発が進められているように思います」とした。
 アクティオは今後も、社会が求める商品を開発していく予定だ。「今後は、この10年ほどで建設現場にも女性が増えてきた面も考慮し、化粧室・トイレ付カーを開発したいですね。現場監督にも女性が多くなっていますし、もう少し小型はないのか、という声もありますし、女性が使いやすいオフィスカーは需要があると思います」(川上氏)。
 自宅やカフェ、車のほかに、次はどのようなモノや場所がオフィススペースとして開発されるだろうか。働き方の変革はまだ続きそうだ。

小型電動アシスト自転車でシェアサイクルサービス開始
 Luup(東京都渋谷区)は、小型電動アシスト自転車を用いた短距離移動シェアサイクルサービス「LUUP(ループ)」を渋谷区、目黒区、港区、世田谷区、品川区、新宿区の6エリアの一部で2020年5月25日より提供開始した。LUUPとは、街じゅうの電動マイクロモビリティに、どこからでも乗れて好きな場所に返せるシェアリングサービス。将来的には同サービス内に様々な電動マイクロモビリティを導入予定とのことだが、まずは小型電動アシスト自転車のシェアから開始。現在、飲食店や駐車場などの空きスペースを活用したポート(※)が57カ所に存在し、展開エリア内の既存のシェアサイクル事業者と比較して最も高密度にポートが設置されている。
(※ポートとは、LUUPのモビリティを借りたり返したりすることができる場所)
 LUUPのポートの特徴として、小型の電動アシスト自転車を用いているため、自販機一台分のスペースにも設置することができる。これにより、コンビニや飲食店の入口横など小さなスペースへのポート設置が可能になり、様々なスポットに高密度なポート設置が実現した。




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