不動産トピックス
今週の一冊
2020.08.03 15:03
「人は必ず成長する」そのための「グローイング・サイクル」論
離職を防ぎ、成長をうながす「仕組み」を作る
全員を戦力にする人財育成術
著者:有本 均
発行日:2020年4月1日
発行所:ダイヤモンド社
価格:1500円(税別)
社員を財産と認識している経営者はどれだけいるのだろうか。人を馬車馬のように働かせる「ブラック企業」という単語はすっかり定着した。「人材育成に手間を掛けられるのは大企業だけ、零細企業にはそんな余裕はない」は人材軽視の言い訳にもならないのだが、実際、「人手不足だから誰でも採用」し、使えない人材を押し付けられた現場は疲弊し生産性も下がるという悪循環の会社も多いだろう。
本書は人材ではなく「人財」とし、「どんな人でも辞めさせないで育てる」仕組みを説く。企業がやるべきことは「教育」「評価」「労働環境」の3つの整備という。簡単そうに見えるが難事業だ。「1基準を示す、2教える、3要求する、4評価する」という人を成長させる4つのステップ「グローイング・サイクル」は著者独自の概念。それぞれ丁寧に方法が述べられている。マクドナルドやユニクロの例を挙げ、納得させる根拠も示す。
最終章の実践ポイント「応募者を見抜くための面接の仕方は?コンピテンシー(採用基準)を明確にし、質問スキルを身に付けた面接官に面接させること」には膝を打つ。人材育成は採用段階から始まるのだ。本書は「全員を」戦力にする一冊。ワンチームになれれば最強だ。