不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.08.11 14:30

OYO HOTELS 「安心ステイ認証プログラム」を実施 ”ウィズコロナ”対応ガイドライン作成
 インド発でホテルネットワークを展開するOYO Japan(東京都千代田区)では、ウィズコロナ時代に合わせた「あんぜん衛生措置・安心ステイ」認証プログラムを策定、日本での導入を開始した。プログラムの参加は任意で、全国のOYO Hotels加盟宿泊施設の中で賛同している宿泊施設から順次導入を開始する。
7つのポイント掲げる 安心できる環境構築
 同社では、世界保健機関(WHO)、米国疾病予防管理センター(CDC)、日本厚生労働省などの推奨事項に基づき、同社が作成したガイドラインを宿泊施設に共有、トレーニングを実施する。同時に同社からは「安心ステイ認証プログラム」の実施に際し、非接触検温器・受付設置用保護ビニールシート・手袋200枚・マスク200枚・除菌剤・宿泊者向けの案内ポスターなどの備品を無償で提供する。
 同プログラムを実施する宿泊施設は、同社が作成した監査項目を利用して定期的に監査を受けることになる。
 監査で基準を満たすと、衛生基準を満たした施設のみに与えられる証明書が授与され、同社が認定する衛生基準を満たしている宿泊施設の証として「安心ステイ」のロゴをOTAの予約サイト上に表示する。
 利用者が衛生的に安心して滞在できる宿泊施設を確認しやすいように、アプリ・ウェブ・OTAその他のオンライン予約システムの施設ページに表示、利用者が宿泊施設を探す際に「安心ステイ」を選択しやすい環境を提供する。
 同社のネットワークに加盟している日本の宿泊施設は、個人経営や小規模施設が多く、コロナ禍でどのように営業を継続すればいいかノウハウが乏しい。
 一方で、この7月からは「GoToトラベルキャンペーン」がスタートし、多くの旅行客を獲得できるチャンスが生まれている。
 加盟店にとってはグローバル基準の認証プログラムを導入することで、他施設との差別化を図り、稼働率向上が期待できる。
 「安心ステイ」認証では、次の7つを掲げる。
1.客室や共用エリアを含む施設内のあらゆるエリアやタッチポイントの定期的な消毒対策 
2.宿泊者専用の手指消毒剤とマスクの用意
3.スタッフの体調管理
 徹底のための検温の実施とマスクの常時着用の徹底
4.テクノロジーの利用や、ソーシャルディスタンスの徹底など宿泊者とスタッフの接触を最小限に。また対面のサービスが発生する際には、ソーシャルディスタンスに配慮したミニマル・コンタクトのルームサービスやハウスキーピングサービスの提供
5.患者が高熱を出した場合など緊急時の対応方法などの指導を徹底。その他、衛生・安全についてのポスター設置で、常時スタッフの衛生意識の維持
6.ソーシャルディスタンスを遵守
7.最寄りの病院や救急ヘルプラインの紹介など宿泊者の医療サポート
 同社の田野崎亮太副社長は話す。
 「コロナと上手に共存していく、ウィズコロナの中で、安心してホテルや旅館にご滞在いただけるように、OYO Hotelsがグローバルで展開している衛生対策の独自プログラム『安心ステイ』を日本でも導入することになりました。快適で衛生面で安心できる環境で皆様をお迎えできるように対応を強化していきます」。
 同社では現在、ホテルだけでなく、日本独自の宿泊施設である旅館事業に本悪的に進出している。
旅館の支援事業も好評 独自ブランドで展開
 日本で独自に設立した新ブランド「OYO Ryokan(オヨ リョカン)」として全国展開していくもの。
 同ブランドのコンセプトは、伝統的な日本のおもてなしの象徴となる旅館の「女将」。施設やサービスの随所に織り込まれた、伝統的かつ現代的でスマートさを表す「粋」な感覚、日本独自のホスピタリティ精神を表す「おもてなし」、そして伝統に対する理解を深める「繋がり」を通じて、「女将」というコンセプトを体現していきたいという。
 ブランドを象徴するロゴは、日本の伝統的な装飾である「水引」をモチーフとし、「OYO」の「O」と「Y」を内包したデザイン。 3つの線が結ばれていく形状で、「人」「地域」「文化」がつながる絆を表現。ロゴカラーには、江戸時代に “粋”な色として、美意識のある庶民の間で大流行した日本の伝統色「梅鼠(うめねずみ)」を採用した。
 客室に配置される寝具もオリジナル品を開発。布団とソファが一体となった「ふとんソファ」は、かつて日本では畳や床に座ることが当たり前だったものの、今の若者や外国人は長時間床に座ることにあまり慣れていないことに配慮したもの。これにより幅広い世代、国籍の人でもリラックスした気分で和室の雰囲気を楽しんでもらえるようにした。機能的にも1つの家具で多くの使い方ができることで、省スペースにもなる。
 また、「旅館を通じて、人々が日本文化や地域への理解をより深めることができるように」と、集いの場所としての屋台バーを設置。その旅館で働くスタッフが店主となることで、宿泊者との間のコミュニケーションづくりを期待している。また、屋台バーでその土地の地酒や名物を提供し、地域の魅力を発信する場にもすることができる。
 同社は今後も、日本全国の加盟旅館とのパートナーシップを拡大、強化し、より多くの利用者に日本の伝統的な文化である旅館の魅力を発信・提供していくとともに、日本の施設オーナーへさらなるビジネスの機会を提供していくことを目指していきたいという。

日和ホテル東京銀座EAST マンスリー利用が可能に
 Living Tech(東京都渋谷区)が展開している初期費用0円、5秒で家が見つかるアプリ「NOW ROOM」は、サンフロンティアホテルマネジメント(東京都千代田区)と、暮らしや住まいの新しい価値創造を目指し、サンフロンティアホテルマネジメントが運営する東京・銀座駅エリアに立地する「日和ホテル東京銀座EAST」にて、マンスリーで利用できる宿泊部屋を掲載した。「NOW ROOM」の登録者は、都心一等地ホテルでの暮らしを実現できる。  同ホテルは、東京・銀座駅エリアのホテルで、唯一の最上階に露天風呂付大浴場がある。
 最上階には展望露天風呂とスカイテラスや、日和ブランドならではの琉球畳を部屋に配置。「和」「粋」「艶」の一味違う和テイストを持つ空間を提供する。
 “次の日、女性が綺麗になって出発できる宿”として、社内の女性チームが細部にまで拘りデザイン。女性に人気のブランド基礎化粧品を揃え、髪の毛に潤いを与えるパナソニック製のナノイーヘアドライヤー、ヘアアイロンも用意している。

SEKAI HOTEL 「まちごとホテル」建物活用で
 まちごとホテル「SEKAI HOTEL」を運営しているのがSEKAI HOTEL(大阪府大阪市)だ。
 SEKAI HOTEL(セカイホテル)は、従来のホテルが持つ機能をまちなかに分散させた「まちごとホテル」。
   地域に点在する空き家をリノベーションして客室に転換。まち全体を宿と見立て、フロント・客室・飲食・大浴場などの機能を分散配置しているのが特徴だ。
 国内外から訪れる宿泊ゲストには、「銭湯上がりの一杯を飲みながら談笑」、「おばちゃんにおすすめされた商店街コロッケを食べる」、「居酒屋で隣に座ったおっちゃんと乾杯」というような「地域の日常="ORDINARY"」に溶け込む体験を提供する。
 同社はリノベーション事業を手がけるクジラ(同)のグループ会社。
 「SEKAI HOTEL」は、ひとつのまちごとホテル化することで空き家問題の解決・地域活性化を目指していくもの。
 土地活用、建物活用といったビジネス面でも、メリットは多いという。この施設の強みは大規模な開発用地を必要としないため、客室などの施設の増減が可能。そのために小規模の開発用地や点在する遊休不動産が活用できるのが強みだ。結果、大手企業と競合しないのだという。
 一般的なホテルなどの収支計画が稼働率80%に比べて、稼働率は50%で黒字を確保できる。独自の開発形態によるイニシャルコスト削減や減価償却の軽減により損益分岐点を低く設定できるという。

HMI 三河湾ホテルズ・ホテル客室改装
 ホテルマネージメントインターナショナル(HMIホテルグループ 東京都中央区)が運営する「三河湾ヒルズ・ホテル」(愛知県西尾市)は7月10日に大浴場などの一部共用施設と28室の客室を改装しオープン。
 同ホテルは、敷地面積13万2992・76㎡、ホテル延床面積9337・76㎡、地上6階、地下2階。客室数は特別室2室、和室27室、和風ツイン28室、洋室461室で、うち今回改装部屋数は28室。
 同ホテルは、愛知県の三ヶ根山上に位置し、三河湾を通して渥美半島・知多半島を一望できるリゾート宿泊施設。2020年4月1日の開業後、夏の旅行需要などに合わせて一部客室の改装に着手し、HMIホテルグループが薦める和と洋が融合した“和モダンスタイル”をコンセプトに、純和風タイプの客室にベッドを導入して洋風テイストの客室にリニューアルした。和室が中心だった当ホテルにベットタイプの28室が加わり、高齢者やインバウンドにも寛げる客室となった。




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