不動産トピックス

クローズアップ 清掃ロボット編

2020.08.31 14:26

 コロナの影響でビルや施設内における清掃・除菌などの重要性や実施頻度は高まっている。だが避けて通れないのが効率化。ビルメンテナンス会社でも導入を検討する業者が増え、オーナーにとっても身近な存在になってきた。最新の情報も出ており、引き続きホットな業界である。

簡単かつ手間いらずの操作 レンタル吸引型清掃ロボット
 建設機械や重機などのレンタル業務を行うカナモト(東京都港区)は昨年4月、竹中工務店(大阪市中央区)や豊和工業(愛知県清須市)、朝日機材(東京都墨田区)と共同で自律走行の吸引型清掃ロボット「AXキュイーン」を開発。コロナ禍でも需要は変わらず高い。
 同社の「AXキュイーン」は、建設現場や作業所で発生する木屑や鉄屑、砂埃などの清掃を簡略化及び省力化するために開発。清掃範囲は、あらかじめマーカーで範囲(四角形)を指定。ロボットに内蔵された360度レーザーセンサで四隅のマーカーを検出し、移動経路を自動で生成。清掃領域内を渦巻き状に進みながら清掃する。夜間や空いた時間に特定の範囲を清掃できる。安価で使いやすい点が好まれている。
 営業統括本部・ニュープロダクツ室の吉田道信室長は「建設現場や作業所で発生した床上のゴミ清掃は、1日の業務終了前、最後の作業として行われることが多く、現場では大きな負担として改善が望まれておりました。負担軽減策として日頃から付き合いのあるゼネコンの竹中工務店などの依頼から課題抽出を行い、清掃ロボットを開発することとなりました。AI機能などの通信機器を搭載していないのでレンタル費用は安価で済み、建設会社も必要時に借りるだけで購入する必要はありません。また当社も機器が戻りしだい現場での作業内容をフィードバックでき、ロボットのバリューアップや機能性向上に繋げることが可能です」とレンタルならではのメリットを語る。
 清掃ルートの設定は「マッピング」と「ティーチング」の2種類を用意。マッピングは、メーカー側が施設のマップデータの活用と現地調査を実施。PC上のマップデータに落とし込んでルートを設定する。一方ティーチングは、人が事前に清掃しながらロボットにルートを記憶させる。特に清掃業務では後者のティーチングが、簡単かつ手間が掛からないため好まれている。しかし建設現場はその都度、物の移動がある。一度AIにルートを暗記させるティーチングは、むしろ手間になるため適さない。更に最新の清掃ロボットは、オフィス内も清掃可能なコンパクトが売り。だが建設現場ではサイズが常に一定ではなく、清掃時間が長くなることも想定される。「AXキュイーン」は清掃幅を910mm・ゴミの集積タンクを70lとし、1時間で約637m2清掃する。操作ボタンも1つとシンプルだ。
 吉田氏は「建設現場や作業所以外で、頻繁に物の移動や配置変更がある施設に適していると思います。屋外でも使用できるため、過去にビルオーナーから敷地内の落ち葉集めにレンタルされた実績もあります。コロナ禍でも需要は変わらず、引き続き根強い需要が続くでしょう」と語る。

ソフトバンクの業務用清掃ロボット「Whiz」清掃性能1.6倍に向上
 ソフトバンクロボティクス(東京都港区)は27日、AIを搭載した自律走行の業務用清掃ロボット「Whiz(以後、ウィズ)」の新型機「Whiz i」の提供を発表。10月から本格的に開始予定となる。
 ウィズは、米・サンディエゴのブレインコープが開発したソフトウェア「ブレインオーエス(AI)」を搭載した掃除ロボット。ソフトバンクロボティクスが国内における総販売代理店を務め、昨年5月から提供開始。以降、施設の清掃業務における効率化や清掃コストの削減、清掃スキルの向上を強みに、デベロッパーや管理会社、ビルオーナーの導入も進んでいる。
 今回は従前までの利便性に加え、ハードフロアへの対応強化などで1・6倍に向上した清掃性能、ディスプレーの大型化やバッテリー容量増加などの基本性能アップ、清掃ルート作成の簡略化及びタイマー機能の追加による運用性、ダストセンサー搭載による清潔度の見える化も実現。より効率的な清掃業務と早さも確保した。
 現在、従前のウィズは全世界で販売台数累計1万台を超え、販売台数世界シェア1位の業務用自律清掃ロボットである。




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