不動産トピックス

クローズアップ 抗ウイルス編

2020.09.07 14:10

 ウィズコロナの今、さまざまな抗菌、抗ウイルス製品が生まれている。飛沫感染、接触感染を防ぐため、3密(密閉、密集、密接)を避ける行動が求められているが、行動だけでは難しい。手で触るモノすべてを消毒する生活には限界がある。そこで求められるのが抗ウイルス製品だ。

三洋 抗ウイルス加工シート ドアノブ、リモコン、電話やエレベーターに 今後はブックカバーやメニューカバーにも
 人が触れる場所やモノは無限ともいえるが、そのすべてを抗ウイルス製品にすることは難しい。自分で都合の良い形やサイズにカスタマイズできれば便利ではないだろうか。
 合成樹脂商品の加工・販売事業を展開する三洋(東京都中央区)が開発した抗ウイルス加工の「なんでもシート」は、好きな形にカットし、貼り付けることができる。家庭のリモコンや電気スイッチ、オフィスや店舗の自動ドアのボタン、受付の電話やタッチパネルなど多くの人が触れる場所に使用できる。
 同社CMS営業部第二課長・清水敬祐氏は、開発の経緯について、「現在、公共施設や電車等の公共交通機関でも『抗ウイルス加工』が増えているものの、導入が大掛かりであり、その費用も高額になります。そういったものを家庭内の生活シーンに気軽にできるウイルス対策品として製品化したものがこの『抗ウイルスなんでもシート』です。単純なカットシート、ロールシートではありますが、あえて具体的な製品に特定せず、使用者それぞれの生活スタイルに合わせて自由にカットや貼り付け、カスタマイズ、DIYできる製品がニーズにマッチすると考えました。例えば、電気のスイッチやリモコンのボタン、ドアノブやトイレの水洗レバーなど、またロール品ではテーブルマットやフロアマット、外出先から帰宅した際の洋服やカバン等の清潔保管にも使用用途は様々です」と語る。
 「なんでもシート」はA3サイズにカットされているものと、幅97cm、長さ3mのロール品がある。抗ウイルス加工剤を練りこんだ抗ウイルス性フィルムを使用しており、身の回りの小物のカバーや飛沫防止カーテンとすることも可能だ。
 実は同社が「抗ウイルス加工」に注力し始めたのは、今回のコロナ禍が契機ではない。
 「新型コロナウイルス感染の終息が見えない中、今まさにウィズコロナの在り方として『抗ウイルス』が生活の中で重要なキーワードになっております。3年半前より当時インフルエンザが流行し、学校では学級閉鎖が増えている中で、子供達が安心して通学できるよう学童向けの商品開発がテーマとなっておりました。その中で我々の得意とする塩ビシートと抗ウイルス加工に着目し、一部商品化も進んでおりました。SIAA(抗菌製品評議会)が2019年7月より抗ウイルス加工についてのガイドラインの運用を始め、さらに新型コロナウイルスの拡大を背景にこれらが脚光を浴びるようになりました」(清水氏)。
 同社は本年3月に第一弾として「抗ウイルスマスクケース」を発売し、現在累計で30万枚を突破し好評を得ており、今回は満を持しての第二弾「抗ウイルスなんでもシート」の発売。
 「大いに期待をしております。主な販売チャネルとしては、ホームセンター、通販等を想定しております。2021年3月までに10万個(A3タイプ)の販売量を目標としております。ウィズコロナの新たなステージとして、安心感と安全な環境の担保が求められることで『抗ウイルス』の需要も益々高まり、そういった商品やサービスが生活の中に定着してくると思われます。今後はブックカバーや病院の待合室や図書館にある雑誌カバー、飲食店のメニューカバーなど不特定多数の人が接触する機会のあるカバー類の商品展開も視野に入れております」(清水氏)
 収束の見通しがたたないウィズコロナの時代ではあるが、ストレスを感じることなく生活するためにも、このようなカスタマイズ可能な製品は大歓迎だ。ウィズ「抗ウイルス」の新しい生活様式にぜひ取り入れたい。

リリカラ ウイルス対策と最近対策に「抗ウイルス壁紙」展開
 リリカラ(東京都新宿区)は、「抗ウイルス壁紙」の販売を先月20日に開始した。
 同製品には、A型インフルエンザウイルスやネコカリシウイルス(ノロウイルスの代用)といった「ウイルスを不活化する機能」と、大腸菌など「細菌の繁殖を抑制する機能」の2つの機能を備えている。
 同製品が備える「抗ウイルス性能」は壁紙表面に付着したウイルスを減少させる。壁紙表面に抗ウイルス剤コーティング層があり、壁紙に付着したウイルス表面のタンパク質を変質させ不活化し減少させる効果がある。
 A型インフルエンザウイルスやネコカリシウイルス(ノロウイルスの代用)などのウイルスに効果的だ。
 また、壁紙表面には抗菌剤もコーティングされている。そのため、壁紙に付着した細菌の繁殖を抑制する効果がある。抗菌性に優れているので、清潔な環境づくりに最適。
 抗ウイルス機能の持続性は、壁紙表面に抗ウイルス剤がある限り理論的には半永久的。汚れの付着などにより効果が低減する可能性があるが、日常のメンテナンスを想定した、水スプレー後の拭き取りを20回繰り返した後でも効果が持続している。
 また使用薬剤は、人体に影響が少なく安全。医療施設、商業施設、オフィス等での使用が想定されている。一般住宅では、細菌が繁殖しやすいトイレ・キッチンなどの水回り、リビング、子供部屋に使用できる。同製品の色は全8色がラインアップされている。

日本初!SIAAの基準に適合「抗ウイルスフローリング」を開発
 朝日ウッドテック(大阪市中央区)は、自社フローリングに無機系の抗ウイルス剤を配合した新塗装を施すことで、抗菌製品技術協議会(以下SIAA)による抗ウイルスSIAAマークを、天然木フローリング、また、複合フローリングとして日本で初めて取得した。
 SIAAは、抗菌・防カビ・抗ウイルス加工製品の普及を目的とした公益性を持つ業界団体であり、抗菌・防カビ・抗ウイルス加工製品に求められる品質や安全性に関するルールを整備し、そのルールに適合した製品について、消費者に対する「安心と安全のシンボル」としてのSIAAマークの表示を認めている。また、各性能が継続的に維持されるために、品質管理責任者の設置が義務付けられている。
 今回開発した抗ウイルスフローリングは、SIAAが定める「特定ウイルスが24時間後に99%以上減少すること」という基準に対して、「ウイルスA(エンベロープあり)で99・99%、ウイルスB(エンベロープなし)で99・96%減少」というどちらのウイルスに対しても高いレベルで合格した。
 また、配合している無機系抗ウイルス剤は、安全性で十分な実績があるとともに、光を必要としない。そのため、空気の動きが止まり、ウイルスが床に溜まる夜間や暗所でも十分な効果を発揮する。
 同社は、2020年10月「LiveNatural Premium」シリーズを皮切りに、その他床材商品についても順次〈抗ウイルス仕様〉に切り替える予定としている。




週刊不動産経営編集部  YouTube