不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.09.14 11:29

KPG 「ふふ」ブランド4店目開業 10月に日光で
 カトープレジャーグループ(KPG 東京都千代田区)では、熱海、河口湖、奈良に続き4施設目の「ふふ」ブランドとなる「ふふ 日光」を、栃木県日光市・田母沢御用邸付属邸跡地に10月2日にオープンさせる予定だ。
 同施設が位置する場所は、日光田母沢御用邸記念公園に隣接し、世界遺産の社寺も近傍に有するロケーション。建設用地は1914年建築の「田母沢御用邸付属邸」の跡地で、皇室の静養地として利用されてきた歴史ある土地だ。客室は全24室で8タイプ。日本の様式美を意識した家具、マテリアル、カラートーンはすべて異なる。ラウンジ、大浴場などを併設する。
 ラウンジではチャックイン・チャックアウトの時間帯でそれぞれ違った刻の過ごし方が可能。湯上りのビールや食前のシャンパン、夕食の後のデザート、バータイムのウィスキーやワイン、朝食後のコーヒーと読書、チェックアウト時の待合として、さまざまな過ごし方が可能になる。
 大浴場は、自家源泉でアルカリ性単純温泉、関節リウマチ、腰痛、冷え性などの効能が見込める。
 同社はスモールラグジュアリーリゾートのブランドとして「ふふ」ブランドを展開している。都心から2時間程度の距離にある温泉リゾート地を中心に拡大していく計画で今後、2021年春には「ふふ 京都」(南禅寺エリア)、同「木の間の月」(熱海ふふ隣地)、2022年には、「ふふ 強羅」(箱根エリア)を計画している。
 「ふふ」ブランドを拡大するにあたり、同社は不動産大手ヒューリック(東京都中央区)と合弁で「ヒューリックふふ」を設立している。同社は日本でトップレベルの高級旅館の運営を目指すことで、旅館運営のノウハウを蓄積し、所有と運営の両面から、成長産業での競合優位な事業ポートフォリオを構築していくもの。国内の消費リーダーであるシニア層のニーズや、インバウンドの個人旅行者のニーズの獲得を目指していきたいという。
 「ふふ」1軒当たりの事業予算は約40億円で、300億円規模の開発を進めていく。経営は「ヒューリックふふ」が担当し、KPGが引き続き運営を担っていく。
 KPGは高級宿泊施設のほか、「つるとんたん」に代表されるフードビジネス、エンターテイメントなど多岐に渡る事業を展開しており、一貫して「トータルプロデュースシステム」にこだわっているのが特徴だ。
 これは、クライアントからオファーに対し、事業計画からオペレーション、収益に至るまで全てのプロジェクトに責任を持つ、というもの。

マリオット・インター 「モクシー」大阪にオープン
 マリオット・インターナショナル(本社・米国メリーランド州)は、全288室の「モクシー大阪新梅田」(大阪府大阪市)をオープンさせた。
 同ブランドはマリオット・インターナショナルの体験型ブランド。楽しく、遊び心のあるスタイリッシュな体験を提供する。大阪の主要地域の一つである梅田地区に位置し、JR福島駅から徒歩5分に位置する。日本で3軒目のモクシーブランドとなる。  同ホテルは、今日の旅行者と地元の人々に愛される環境を創造するために、活気に満ちた大阪の街へのオマージュを込めたシックなデザインを採用。「梅田のファッショナブルなアートと、かつて日本の電子産業の発展を支えた「電気アーケード」として知られる地元福島の個性的な表現を融合させた美学が、ホテルの美学にインスピレーションを与えています」(同社)。
 288室の客室は、最新のテクノロジーが搭載されており、スクリーンキャスティング機能付き55インチフラットスクリーンテレビ、高速無料Wi―Fi、豊富なUSBポート、モーション起動型LEDガイドライト、雰囲気を盛り上げるバックライト付きガラスパネルなどを備える。また、このホテルには、モクシーブランドのライフスタイルを演出するいくつかの工夫が施されている。シグネチャーバー「Bar Moxy(バー・モクシー)は、ホテルのチェックインカウンターを兼ねており、到着時には無料の「ゴット・モクシー」カクテルを提供。また屋外エリア「The Terrace(ザ・テラス)」では、食事や酒を楽しみながら宿泊者同士で交流化できる。

UDSグループが熱海と沖縄に新店舗
 UDS(東京都渋谷区)は11月1日、静岡県熱海市小嵐町に企画、設計、運営を手がける温泉宿「SOKI ATAMI」(そき あたみ)をオープンさせる。
 同施設はJR熱海駅から車で約10分、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、地上8階建て。敷地面積3359・05㎡、建築面積1441・77㎡、延床面積5716・16㎡。客室は54室で、レストラン・茶寮・大浴場を併設する。
 品川駅から新幹線で約40分「熱海の奥座敷」と呼ばれる熱海市小嵐町。熱海の湯治場・温泉宿の本質的な価値や体験を再考し、都会の喧騒から離れた自然の中で、気張らずに、あるがままの自分を取り戻す、これからの滞在スタイルを提案していく。
 緑に囲まれた海を一望できる立地に広がる、レセプション棟と客室棟、レストラン棟からなる。敷地内にある「里庭」では、伊豆半島ならではの柑橘類をはじめ、地域の生活や風土に根付いてきた農作物や植物を栽培し、施設内で提供していく予定だ。 
 客室は約40㎡から約65㎡の最大4名まで利用可能。すべての部屋で温泉があるのが特徴だ。アーティゾン美術館などを手掛けてきたTONERICO:INC.をインテリアデザイナーに迎え、「素空間」をテーマに自然の素材を取り入れた、温もりのある空間デザイン。
 ブランドコンセプトは、「あるがままの自分を取り戻す、無為自然に過ごす宿」。施設名称のSOKIは、素(す)の器(うつわ)に由来する。「素」には、ありのままの、飾らない、手を加えない本質の、といった意味があり、訪れた土地の自然に触れ、季節を感じ、素材を嗜む場所=「器」としての宿でありたい、との考えを具現化した。
 UDSはデザインホテルの先駆けと言われる「CLASKA」をはじめ、「ホテル カンラ 京都」、「ホテル アンテルーム」(京都、那覇、ソウル)、「MUJI HOTEL」(BEIJING、 GINZA)、「ONSEN RYOKAN 由縁」(新宿、札幌)、「由縁別邸 代田」など多くのホテルの企画、設計、運営を手がけている。
 一方、グループ会社の沖縄UDS(沖縄県那覇市)では、9月1日に沖縄県那覇市で、運営受託するアパートメントホテル「プチスイート崇元寺石門」の営業をスタートさせた。
 同施設は、沖縄UDSが4月に開業した「ホテル ストレータ 那覇」にも近い那覇市崇元寺通りに新築された、1日5組限定のアパートメントホテル。沖縄都市モノレール「美栄橋駅」から徒歩約8分に位置、鉄筋コンクリート造6階建て。1フロア1室、全室異なるデザインで客室は35㎡。全部屋にキッチン、冷凍冷蔵庫、洗濯乾燥機を完備する。各部屋にはシアター、ライブラリー、リビング、ダイニング、リトリートなどのコンセプトを設けており、それぞれのコンセプトに合わせて、大型スクリーンや、マッサージチェア、小上がりリビング、アイランドキッチン、ビューバスなどを備える。
 同社はまちづくりにつながる事業企画、設計、店舗運営を行うUDS(東京都渋谷区)の100%出資子会社として2016年10月に設立された。「沖縄の魅力を地域とのつながりから再発見し、国内外に伝えていくための架け橋となる場作り」を目指しており、現在、那覇市の「ホテル アンテルーム 那覇」と「ホテル ストレータ 那覇」、宮古島の「HOTEL LOCUS」と「the rescape」、沖縄県内で計4つのホテルやリゾートを運営している。

キュリオ・コレクション 自分のスマホで客室の操作可能に
 東急リゾーツ&ステイ(東京都渋谷区)が長野県北佐久郡軽井沢町で運営する「旧軽井沢KIKYOキュリオ・コレクションbyヒルトン」では、アクアビットスパイラルズ(東京都港区)が提供する「スマートプレート」を全客室に設置した。
 これはクラウド管理型電源不要のICチップ(NFCタグ)。その場所にある装置・機械・操作パネルといったインターフェイスに触れることなく、様々な情報やサービスに「自分のスマホの操作のみ」でアクセスできるストレスフリーな宿泊体験を提供する。ウィズコロナ・アフターコロナ時代における安全で快適なホテル滞在を実現するための、“非接触・混雑回避サービス”だ。
 スマートフォンをかざすだけで、ホテル内各施設の混雑状況や、館内案内、周辺マップ、レストランメニューなど様々な情報にアプリ不要で簡単にアクセスできるようになる。
 主なサービスは、ホテル内各施設の混雑状況を可視化する「密レーダー」、館内案内・周辺マップ・レストランメニューなどの冊子や設置物に触れずに自分のスマホで確認可能、館内での満足度を紙やペンに触れずにリアルタイムにホテルに伝える「スマプレフィードバック」の大幅拡張など。
 今回、コロナ禍における利用者の意識変容に応えるため、するため、利用者の滞在満足度を可視化する「スマプレフィードバック」が提供するコンテンツ・サービスを大幅に拡張。滞在中の利用者の声を即時にとらえ、ホテルにおけるサービスの向上に努めていきたいという。
 新型コロナウィルスの感染拡大状況が大きな関心ごととなる中、一方で他人やモノとの不要な接触を回避しながら少しずつコロナ前の生活を取り戻そうという機運も高まりつつあり、混雑する都会を離れたリゾート地でいかに「安全な滞在」を提供できるかが、観光業界復興における大きなテーマとなっている。




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