不動産トピックス

クローズアップ 駐車場編

2020.10.05 10:36

 時間貸駐車場やコインパーキングは、再開発地や空き地の活用方法として好まれる。中には初期投資が掛からない場合や割安なケースも見られ、開始・撤収のスピード感も考慮して導入するオーナーは多い。車を保有者が減少傾向にあるとはいえ、まだまだ商機のあるビジネスだ。

時間貸駐車場・コインパーキング事業者向けのサービスMagicPriceで周辺環境の変化を可視化
 2015年創業の空(東京都千代田区)は9月1日から、新たに「MagicPrice(以下、マジックプライス)」の時間貸駐車場・コインパーキング向けサービスを開始した。
 同社はPrice(価格)とTechnology(技術)を組み合わせたPriceTech(プライステック)企業として誕生。これまではチェーン展開するホテル等の宿泊施設に対し、料金設定サービス「マジックプライス」を提供していた。マジックプライスは、予約状況などの宿泊料金の検討に必要なデータを自動で収集及び分析。分析を元に、宿泊料金の変更を提案する。旅行予約ウェブサイトへの料金反映までワンストップで可能なことから、ここ数年勢いのあったホテル業界からは注目を集めていたサービスだった。
 空は昨年から対象事業の領域拡大を検討。候補に挙がったのが時間貸駐車場やコインパーキング等のパーキングビジネス。事業開発担当の水野隼輔氏は「『限られたスペースを有効活用する』、『データを元に料金設定を行う』という視点から、ホテル同様の枠組みが駐車場にも適用できると捉えました。マジックプライスを応用すれば、駐車場の運営・管理における効率化や即時性の高い対応、周辺地域に適した料金の提供に繋がるからです」と語る。
 駐車場の事業者から見た導入メリットは何か。それは「周辺環境の変化の可視化」。他社のパーキングの料金変動や新設・廃止、再開発地等の工事情報も含めた周辺環境の変化をいち早く察知できる。料金変更が必要な自社の拠点を早期に発見でき、かつ競合他社の拠点も含め一元化して地図上に表示可能だ。システムは、事業者から提供された拠点の情報(拠点名、住所、料金)をマジックプライスに反映。競合・市場データと統合して周辺環境の変化を可視化する仕組み。自社の精算機データ等も活用すれば売上や占有率も把握でき、更なる運用改善も可能になる。費用対効果や業務効率化を考えた場合、人では管理できないほどの拠点数を持つ事業が適している。マジックプライスの駐車場向けの取り組みを今年1月から各事業者と実施。これまでにもNTTル・パルク(東京都台東区)、リログループ傘下の東都(東京都狛江市)などと行ってきた。全国対応可能だが、現状で網羅できるのは都市部や名古屋・大阪・福岡などの地方都市部のみ。時間貸駐車場やコインパーキングの拠点が少ない地域には向かないサービスだ。
 しかし水野氏は、都市部のみにターゲットを絞っても十分商機はあると見ている。「時間貸駐車場やコインパーキングのブランドによる差別化は難しく、最終的には料金の値下げや割安で競い合うことが多々見られます。更に使用料金を下げるにしても地域の適正価格なのか、安くしすぎかを把握できていない場合も多い。限られたスペースを有効に活用し、料金設定の参考にもなる、容易に変化・現状を把握できる点が好評です」とした。

ハッチワークのクラウド月極駐車場管理システム導入 駐車場のIT化を加速
 ハッチ・ワーク(東京都港区)が開発したクラウド月極駐車場管理システム「at PARKING 月極パートナーシステム」を、駐車場経営を主業にした不動産総合コンサルタントであるダイヤパーク(仙台市青葉区)の管理する月極駐車場約2000台のうち、本社直轄で管理する約700台に先月24日から正式導入した。
 ハッチ・ワークの「at PARKING 月極パートナーシステム」導入によって、ダイヤパークが管理する月極駐車場に空きが出ると、自動的に5つの集客チャネルが募集を開始。駐車場ユーザーが検索しやすくなる。3つのポータルサイトに無料で自動掲載され、空き待ち予約システム「アキマチ」も利用可能だ。更にオンライン上で申し込み、審査、契約手続き、決済まで可能になり、最短30分で契約手続きが完了する。ダイヤパークは5チャネルの募集自動化とハンコ不要のオンライン契約でユーザーの利便性を高め、集客力を強化することで収益向上。同時に管理業務の自動化でコストも削減する。

利用明細の自動発行機能を提供開始
 シード(名古屋市中村区)は先月9日より、提供する「Smart Parking(スマートパーキング)」のアプリケーション内で、駐車場の利用明細書の自動発行機能を開始した。
 駐車場決済アプリケーションの「Smart Parking」は、フラップのついたコインパーキングの決済や駐車場シェアリングとして貸し出されている駐車場の決済等を行うことができるサービス。現金や精算機に触れずアプリケーションのみでキャッシュレスを行うことができる。また事前に駐車場の満車・空車情報も把握可能だ。今回追加された利用明細の自動発行機能は、駐車場料金の支払い後に自動で登録したアドレスへ利用明細が届く仕組み。詳細設定から自動で届くのをOFFにすることも可能である。

月極駐車場オンライン契約サービス 動画を用いた非対面契約を開始
 京王不動産(東京都渋谷区)は、9月23日からニーリー(東京都中央区)が運営する月極駐車場オンライン契約サービス「Park Direct(パークダイレクト)」を導入。導入と併せて、業界初となる動画を用いた機械式駐車場の非対面契約も行う。
 Park Directは、募集から申し込み、契約業務、更には賃料保証・収納代行、更新解約業務をオンラインで全て担う月極駐車場に特化した不動産テックサービス。オンライン契約サービスを導入することで、駐車場の空き状況の確認や申し込み、契約を24時間365日オンライン上で対応可能となる。Park Directのコールセンターも緊急時や問合せに24時間対応でき、問い合わせから利用開始までの時間短縮、クレジットカード決済にも応えた。同社の管理駐車場物件である184物件のうち、9物件の立体駐車場が対象となる。




週刊不動産経営編集部  YouTube