不動産トピックス
今週の一冊
2020.10.26 10:26
「どう考えてもおかしな話」金融機関不正スキーム 臭いものに蓋だけでいいのか
不動産業界 非道の年表
著者:駿河勇士
発行:幻冬舎メディアコンサルティング
価格:800円(税別)
黒地に赤の「業歴30年超のプロが告発」の帯が強烈。悪評高い業界内にも心ある面々は少なくない。「不動産業界を健全なものにしたい」という彼らの内心でくすぶっている諸々は様々な形で今後も表面化してほしい。
本書は、一気に読ませる文章力、濃い内も手伝い濃い容の一冊。不動産投資失敗者を「歪んだプライドを持ち、負けを認めないサラリーマン大家」と安易に投資をする素人や、量より質、知識よりノリが重視され「凶悪な業者が増える仕組み」の不動産業界への指摘は尽きないようだ。「不正の元凶は強引な営業」しかり。コラム「スルガ銀行は本当に『悪』なのか」は「かぼちゃの馬車」事件についてあまたある解説・分析の中でも秀逸だ。1980年代からの「不動産投資 不正の年表」は保存もの。金融機関への不信や業界全体の体質もあり、非道には長年積もり積もった根深さがある。告発はしかるべき層がしっかり受け止めるべきだが今回は届くだろうか。
著者の「最後のアドバイス」とあるが、どの名でもいい、このようなアドバイスは何度でも大歓迎だ。業界に悪事がなくなる日まで続編を待つ。それにしても「スルガユウシ」とは皮肉たっぷりの爽快ともいえるペンネームだ。次は「海山立照(カイザンタテル)」名でいかがか。