不動産トピックス
クローズアップ 入居者サポート編
2020.11.16 14:10
競合物件との差別化を図るうえで、1つの手段となるのがテナントや入居者に対するサポート。それを実現するオンラインサービスが複数出てきている。物件の入居者やテナントの属性などによってもどのサービスが最適か変化する。導入事例の吟味も必要だろう。
富裕層向け物件にコンシェルジュサービス オンライン中心でグローバル仕様に
ハイクラスなマンションやビルにおけるコンシェルジュサービスは今後日本においてより普及してくるかもしれない。
GOYOH(東京都新宿区)では「東京ミッドタウン・ガーデン」に隣接する高級不動産「Parkside6」の居住者とテナント専用のオンライン・ライフスタイルサービス「GOYOH×Parkside6ライフスタイルサービス」の提供を9月中旬より開始した。
このライフスタイルサービスはオンラインでのコンシェルジュサービスとなっている。すでに北海道・ニセコや東京都心部でのエグゼクティブ層が住むマンションやリゾート地に導入されてきた。食、美容、ウェルネス、アート、マインドフルネス、ビジネスサポートといった各分野でのサービスを物件ごとにカスタムメードで提供している。「Parkside6」では「ショッピング」、「VIPビジネスサポート」、「ウェルネス」、「ガストロノミー」、「美容」、「贈り物」、「大人の習い事」、「生活サービス」の8カテゴリが利用できる。
GOYOH代表取締役の伊藤幸彦氏は長年グローバルな不動産業界を見ている中で、「日本の富裕層向けの物件ではライフスタイルまでをカバーするようなコンシェルジュサービスはほとんど見かけません」と指摘する。日本不動産へのインバウンド投資が盛んとなり、加えてコロナ禍でストップしているものの中長期滞在を予定するビジネスインバウンドも増えていた。
「海外の超高級なラグジュアリー不動産ではこのようなコンシェルジュサービスは備えられてあります。海外のアッパー層にとってはそれが通常で、日本の高級不動産についていないことは今後インバウンド投資やビジネス層へのアプローチにおいてマイナスの影響を与えかねません」(伊藤氏)
同社がこのサービスを展開し始めたのは2019年から。不動産運用会社や不動産デベロッパーなどからの引き合いが強いという。日本でこのようなサービスを展開している企業は珍しいが、伊藤氏は手ごたえを感じている。
「不動産のハードだけでなソフト面でも付加価値向上が実現できるとして評価していただいています。不動産のグローバル化への対応に向けても必要性を感じていただいていると思います」(伊藤氏)
高級不動産の新たなツールとして、今後広がりを見せそうだ。
アクセルラボのスマートホームサービス 東海エリアで初導入
アクセルラボ(東京都渋谷区)が展開するスマートライフプラットフォーム「Space Core(スペース・コア)」をビーロット(東京都港区)が運用する名古屋市のマンソン物件に採用された。東海エリアで同サービスを導入するのは初となる。
「Space Core」は不動産会社やハウスメーカーなどの住宅・不動産事業者と居住者・オーナーのためのスマートライフプラットフォーム。2019年8月より提供を開始して以来、賃貸マンション・新築戸建・民泊など、約1万6000物件に導入してきた。ホームIoT製品を設置し、専用アプリで家電製品や住宅設備が連動するオートメンション化や遠隔操作が可能になる「スマートホーム機能」、物件のオーナーや居住者との契約事や日々のコミュニケーションが円滑に行える「リレーション機能」、住んでいる地域に関する様々な生活サービスをユーザーが利用できる「生活サービス機能」を備える。これらの機能を一元化し、事業者と入居者の双方が活用できるクラウドサービスおよびアプリとして提供している。
ビーロットではこれまで管理物件の高稼働の維持、またオーナーのニーズとテナントのニーズに対しより高いコンサルタント業務を行うため、これまで他社管理物件の差別化を図るITやデザイン性へこだわり、積極的に取り組んできた。その一環として、テナントの入れ替わりにも対応でき、賃貸物件での導入実績もある同社のスマートホームサービスの導入となった。