不動産トピックス
今週の一冊
2020.11.24 10:19
大規模開発後の東京はどうなる
地域価値を上げる都市開発 東京のイノベーション
著者:山本 和彦
発行日:2020年11月10日
発行所:学芸出版社
価格:2700円(税別)
第一線で東京の都市開発を進めていた元森ビル副社長の著者が引退後に記した本書は、第1章「森ビルの企業文化と超効率ナンバービルの開発」に始まり、「アークヒルズ 民間初の大型複合再開発」、「ヒルズシリーズへの展開とバブル崩壊」と、最先端のトレンドをあまた生み出した数々の開発を振り返る。戦後の日本軌跡そのものといえよう。開発の裏側を当事者側から書かれた本書はどのプロジェクトもすぐにビル風景が目に浮かぶ。今更ながらトップ・オブ・デベロッパーの歴史と力を見せつけられる。
最終章では、「東京は世界一のオフィス都市になりうるか」と題し「現在の大規模開発ブームをどう考えたらよいのか」、外観上は世界一になったとしても、「中身もそうなるかについては不安」という。景気悪化が顕在したらチャンスと考えるべきと。その方法論は本書内にあるが、コロナ禍に言及した追記には「とてもその方法では克服できないだろう」と続く。 そして最後の最後には「不動産、貸しビルの概念をけるくらいのイノベーションが必要になる」。昭和は工場、平成はオフィスの時代、では令和は何の時代だろうか。カヌー連盟副会長の著者は令和の流れをどう漕ぐべきと捉えているのだろうか。