不動産トピックス

クローズアップ　除菌・抗ウイルス編

2020.12.14 10:34

　直近で新型コロナウイルス感染者数が全国的に再び増加している。ワクチンの流通が待たれる中、ビル・マンションを経営するオーナーにとっては保有物件での感染拡大を未然に防ぐための対策が重要となっている。

アイアンドアール　設計の視点からビル管理を効率化　抗菌・抗ウイルス施工を提案　建物利用者の安全に貢献
　ビル・マンションの清掃・設備点検等を行うアイアンドアール（横浜市西区）の代表を務める安田浩治氏は、建築設計事務所の出身。建築設計の視点からビルメンテナンス業務の効率化や省エネ化のサポートなどを得意としている。同社は新型コロナウイルスの感染拡大で需要が増大している建物管理における抗菌・抗ウイルスサービスを新たに展開。既存の顧客を中心に提案を積極的に行っている。
　提供範囲は建物共用部分のトイレや階段、手すりといった人の手が触れやすい箇所が中心。特殊コーティング剤を用いることで、不特定多数の人が触れる場所でも菌やウイルスの増殖を抑えることができる。安田氏は「ビルメンテナンス業務に求める内容としては、これまで業務効率化とコスト削減が中心でした。しかし現在では建物の安全性をアピールポイントにしたいと考えるオーナーが増えたことから、抗菌・抗ウイルス剤の施工に関する問い合わせが多くなっています」と話す。
　このほか、同社では店舗内の除菌作業や抗菌・抗ウイルス剤の施工も行っている。都内の繁華街に建つ商業ビル１階の居酒屋で行われた除菌作業では、店舗を５日間休業し、特殊技能を持った協力会社と共同で除菌作業ならびに抗菌・抗ウイルス剤の施工を行った。
　「感染者が発生していない場所でも、いつ感染者が発生するか分からない状況で、感染者の発生は店舗経営者にとってはネガティブな話題となります。問題が起きてからの対処ではなく、問題が起きる前に利用客に対して付加価値を提供する意味でも、感染拡大予防対策は必須であると考えています」（安田氏）

「ビオタスク」ラインアップ拡充　特定ウイルスを減少させる抗ウイルス機能性の建具
　大建工業（大阪市北区）は、特定ウイルスの数を減少させる独自の抗ウイルス機能「ビオタスク」を採用した製品を拡充させた。
　「ビオタスク」は、同社が２０１２年に開発した抗ウイルス機能の名称で、製品の表面に１平方センチあたり３～４万個の抗ウイルス剤を含む層を加工したもの。未加工品と比較して、製品上に付着した特定ウイルスの数を２４時間で９９％以上減少させるという。
　今回ラインアップに加わったのは、「室内ドアの錠部分」、「収納扉用ハンドル」、「階段部材　笠木セット」など。従来品に加え、「ビオタスク」製品も選択できるようになった。コロナ禍を背景に「ビオタスク」に対する問い合わせが急増しており、今後も抗ウイルス製品に高い関心が寄せられることが見込まれることからラインアップ拡充に至った。
　またラインアップ拡充と合わせて、、ウイルスに関する基礎知識や「ビオタスク」を通じた安心な空間づくりなどを紹介するＷＥＢコンテンツ・カタログ「住まいの感染対策」、「施設の感染対策」を公開した。
　同社は「はこれからも、住宅、施設を問わず、接触感染リスクのある部位を『ビオタスク』仕様の製品で幅広くカバーすることで、日々の暮らしでの安心感を高め、多くの方々が健やかにくつろげる空間づくりをサポートしてまいります」と述べている。

手すりを除菌するエスカレーター
　三菱電機（東京都千代田区）は、海外向けエスカレーターの新製品として、乗降時や乗車時の安全性、快適性の向上と大幅な省エネを実現した三菱エスカレーター「ｕ（ユー）シリーズ」を今月７日に発売した。エスカレーターの内部にＵＶライトを用いた「手すり除菌装置」を内蔵。運転中は手すりが常に除菌され、感染症リスクを低減させている。
　上下部機械室の長さを約６％短縮し、全長は業界最小クラス。小型化により乗場前の有効スペースを拡大し、建築デザインの自由度を向上させた。従来同等の構造強度の確保と使用材料の大幅な削減を両立、トラス重量を約２５％軽減させた。
　安全機能として、緊急停止時に緩やかに減速する「スローストップ機能」や低速運転を可能にする「速度切替運転」を装備。乗降時や乗車時の転倒リスクを低減。デッキボード位置を高くして足を掛けにくくし、デッキボードへの乗り上げも防止する。
　照明にはＬＥＤを採用。約７５％の省エネと長寿命化を実現させた。インバーターも標準搭載しており、軽負荷時におけるモーター効率を向上させた。
　利用者が少ない場合に減速運転する「省エネ運転モード」と利用者がいない場合に速度を落とす「低速待機自動運転」により、約３０％の省エネを実現。回生コンバーターを採用、下り運転時に発生する回生電力の活用で建物全体の省エネに貢献している。