不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2021.01.12 11:27
館内にレンタル品常備 スーパーホテルが新サービス
スーパーホテル(大阪府大阪市)では、客室で快適な時間が過ごせるよう、ホテル内に「flarii」レンタル品を常設する。
今回、常設したのは東京都品川区の「スーパーホテル新馬場」と、「青物横丁」。宿泊部屋で仕事やプライベートの時間を快適に過ごせるように、ノートPCや外部モニター、娯楽用にゲーム機「Nintendo Switch」、ポータブルDVDプレーヤー、家庭用プラネタリウム「HOMESTAR Classic」、ダイソン製のヘアドライヤーやヘアアイロンなど常設した。
宿泊者は出張時、これら大型でかさばる“モノ”を自宅からホテルへと持ち込むことなく、「flarii」のウェブサイトを介して注文、ホテルですぐにレンタルすることが可能になる。これらレンタル用品・商品を最大5日間利用することができる。
スーパーホテルでは現在、オンラインで英語学習ができる宿泊プラン、ラウンジ内に無料のカクテルコーナーを設置、女性フリーランス向けのセミナー開催など、不要不急な外出を控え、ホテルの空間を利活用した新たな宿泊プランを展開しているが、宿泊部屋で楽しめる“モノ”を用意するのは初めてとなる。
通常「flarii」では、衣類・日用品・家電・ゲーム・おもちゃ・スポーツなどのカテゴリーから商品をレンタル、リモートワークに必要なセットプランなどをユーザーがレンタル注文する。その後ユーザーが希望する自宅・仕事・旅行先などの宛先へと、レンタル用品・商品を郵送、利用終了後は、着払い郵送返却するだけで取引が完了となる。
在宅勤務・リモートワークや、不要不急な外出を控えた新生活様式が推進される中、自宅で過ごす時間が増えている。そのため、自宅で仕事をするためのパソコン、タブレットPC、外部PCモニター、フィットネスグッズなど、グッズを購入することなく、気軽にレンタルすることができる「flarii」の需要が高まっている。
こうした社会環境下、今回長期間の出張や旅行時、宿泊部屋を自宅と同じように利活用し、不要不急な外出を控えた宿泊者の需要に応えるべく、全国で157店舗あるスーパーホテルとリフリードが連携した。
スーパーホテルは、「Natural, Organic, Smart」をコンセプトとし、SDGsをテーマに持続可能なライフスタイルを提案している。国内157店舗を運営し、グループの医療法人嘉健会「思温病院」の病院長・狭間研至医学博士の指導の下、「大阪天然温泉店」における新型コロナウイルス無症状者及び軽症者受け入れの経験で培ったノウハウも活用しながら、「きれいな空気や水、ソーシャルディスタンスに配慮したおもてなしなど、安心・安全で免疫力活性化につながるホテルサービスをご提供しています」(同社)。
リゾートワークス スタートアップ育氏絵で協業 ワーケーション施設を提供
リゾートエリアの会員制施設やホテルでワーケーション体験を福利厚生サブスクリプションサービスとして提供するリゾートワークス(沖縄県那覇市)は、デジタルガレージが運営する不動産関連スタートアップを対象としたグローバルな育成プログラム「Open Network Lab Resi―Tech」を通じ、東急シェアリング・東急ホテルズ・コスモスイニシアと協業する。
静岡・伊豆エリアのMaaS事業と連携した観光型MaaS × ワーケーション実証実験×分散型旅行促進など、施設やサービス連携によりリゾートワークスの事業を促進する。
リゾートワークスはデジタルガレージグループのスタートアップ支援プログラム「Open Network Lab Resi―Tech 2nd Batch」に採択され、東急バケーションズとの連携のもと、2020年10月にリリースした。新型コロナウイルスの影響により世界中の人々の働き方が大きく変わり、オフィスワーク中心だった人たちは半ば強制的にテレワークという新しい働き方に移行することになった。急速なテレワークの普及により、満員電車からの開放や通勤分の時間創出などのメリットがあった一方、雑談などのコミュニケーションの機会が失われてしまった。
リゾートワークスは、ワーケーション通じて働く人の“創造性”を刺激する福利厚生サブスクリプションサービス。オフィスワーク・テレワーク・リゾートワークの3つのワークスタイルをバランスよく取り入れるワークスタイルのニューノーマルを提案する。
同社はリゾートエリアの会員制施設やホテルを稼働率の低い平日にワーケーション場所として利用してもらうことで一流施設を特別価格で利用可能。
また、政府が掲げる混雑を緩和した安全・安心なウィズコロナ時代の新しい旅のスタイル、「分散型旅行」を促進し、旅行需要の標準化に取り組んでいる。
ロイヤルパークH ミレニアル世代ターゲットと新ブランド
ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ(東京都千代田区)は、ミレニアル世代をターゲットとしたライフスタイル型ホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 京都二条」を6月6日にオープンさせる。同ホテルは、「FUN(楽しむ)」「LOCAL(地元に根差す)」「CONNECT(つながる)」をブランドフィロソフィーとする。
同ホテルはJR「京都」駅より嵯峨野線にて2駅、「二条」駅下車、徒歩約2分に位置。鉄骨造、地上8階建て、延床面積約1999坪。客室数は180室で、キャンバスラウンジ、大浴場、ジムを併設する。
ただ眠るためだけの施設ではなく、必要なものがしっかり揃えられた清潔な客室で心身をリセットしたり、京の街に根付いたコーヒーをラウンジで味わったり、その時々に催されるイベントに飛び入りで参加して地域の人と意気投合したり、旅のひと時を自分らしく過ごしたい。そんな方に心地よく過ごしてもらえる空間を目指しているという。
同ホテルは「MAKE IT HAPPEN」をコンセプトに、「人が集うことで何かが生まれる場所」として趣味や仕事など自由な時間を過ごせる開放的なラウンジスペース「CANVAS LOUNGE」を設置、宿泊ゲストが自由にコーヒーを楽しめるサービスを提供。今回、開業にあたり、長い歳月をかけて醸成された京都の美意識と感性に支えられながら、“京都の珈琲職人”としての誇りをもってその審美眼と腕を磨き、世界に通じる「本物」の味わいをたえず追求してきた地元・京都発祥の小川珈琲(京都市右京区)の提供する国際フェアトレード認証コーヒーを採用する。
もちろんロイヤルパークホテルズでは、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の感染拡大防止のため、アルコール消毒の徹底や接客時のマスク着用など、様々な対応を行っている。
UDSがバケーションレンタル事業開始
UDS(東京都渋谷区)では、アスノバ・デザイン(東京都品川区)と協業し、2021年に鎌倉と箱根に、共同で企画するバケーションレンタル施設を開業させる。
バケーションレンタルとは、1棟を丸ごと借りて暮らすように滞在ができる貸し別荘で、欧米では一般的な宿泊スタイルだ。特に市場が成長している米国では宿泊市場におけるシェアは17%にものぼるという。日本でも、2018年の旅館業法の改正や住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行で急速にバケーションレンタルが広がりを見せており、新型コロナウイルスと隣り合わせの時代にも、安心・安全に過ごせ、ワーケーションにも適していることから、さらなる普及が期待されている。
2021年2月開業予定の鎌倉材木座「THE FLOW KAMAKURA」は、材木座ビーチまで走って20秒の場所でリゾートステイ。3階建の屋上からは湘南の海が広がり、海の近くで暮らすように滞在できるバケーションレンタル。
同年初夏開業予定の箱根・仙石原「(仮称)NOIE HAKONE SENGOKUHARA」は、箱根の自然と共に過ごす宿。全面の大きなガラス窓が特徴の小さな子供連れファミリー向けの棟と、大人が音楽や本とともに静かに過ごせる2棟で、いずれも掛け流しの温泉が楽しめる。
アスノバ・デザインは「不動産事業を通じて、日本人の生活をより豊かなものにする」ことを目指して2018年に創業された。欧米では一般的な、デザイン性の高い豊かな空間で家族や仲間との時間を過ごす一棟貸し別荘「バケーションレンタル」を日本の各地域で展開していくことで、ゲストに新たな時間の過ごし方の選択肢を提供し、地域活性化にも貢献していくべくこのプロジェクトを立ち上げた。
UDSは、事業性と社会性を実現するしくみ=「システム」で都市を豊かに楽しくすることを目指し、国内外でまちづくりにつながる事業の企画、設計、店舗運営を手がけている。企画から設計、運営までを一連で手がける独自性に基づいたコミュニティが生まれる場づくりが強みだ。
JTB旅ホ連 「お手伝い」マッチングサイトと連携
JTB協定旅館ホテル連盟(JTB旅ホ連 東京都文京区)は、短期的・季節的な人手不足で困っている旅館・ホテルの手伝いをしながら旅行ができるマッチングサイトを運営する、おてつたび(東京都渋谷区)と連携し、働きながら地域の魅力を体験する新しい旅行需要の創出を通じて、雇用ニーズを満たす取り組みを開始する。
おてつたびは、日本各地の素敵な地域へ行く人が増えて欲しいという想いから生まれたサービス。地域の困りごとを手伝いすることにより報酬を得ながら旅行をすることが可能なため、行きたかった地域に行く際のボトルネックになりがちな旅費を軽減することが可能な点が特徴だ。また、手伝いを通じて地域の方と関係性ができ、再び同じ地域を訪れる参加者も増えており、関係人口拡大の一助を担っているという。
JTB旅ホ連は、加盟会員旅館・ホテルの人的資源管理の課題解決のため、様々な支援に取り組んでいる。繁忙期、閑散期の差が激しい旅館・ホテルは、繁忙期には客室が空いていても従業員が足りないため、利用客数を制限せざるを得ない課題を抱えている。
一方、おてつたびは、2018年7月に設立された会社で一部の旅館・ホテルが連携をしている。今回のJTB旅ホ連との連携により多くの宿泊施設に広く周知することが可能となる。同連盟はコロナ禍が続き旅館・ホテルの経営がひっ迫しているため、おてつたびに支払う費用の一部を負担する経費支援を盛り込んだ内容で提携した。