不動産トピックス

クローズアップ 空室活用編

2021.01.25 14:29

 コロナ禍で賃貸ビル経営が苦境に立たされている、というオーナーは少なくない。従前のように一般の事務所や店舗として賃貸するという形態を維持するのが難しいのならば、視点を変えて不動産を有効活用する決断も必要だ。空室を活用し、地域に必要とされるビルを実現するアイディアを紹介したい。

早稲田育英ゼミナール 自己資金0円で学習塾オーナーに 個別指導の老舗が新プランをスタート
 子ども一人あたりの教育費は上昇傾向にある。文部科学省の調査によると中学生の通塾率は全体の半数を超えており、私立学校に通う子どもを中心に小学生の通塾率も非常に高い。指導のバリエーションや学習塾の運営に参入する企業が増えたことで、業界内で競争が激しさを増している。少子化による子どもの減少も、その傾向に拍車をかけている要因だ。
 1980年創業の早稲田育英ゼミナール(東京都新宿区)は、教師1名に対して生徒2名という個別指導を業界内でいち早く取り入れた老舗として知られる。直営教室のほかフランチャイズ展開によって全国に教室数を伸ばしてきた。しかし、吉村俊彦社長は次のように話す。
 「フランチャイズ制度によって、本部だけでは賄いきれない教室のネットワークを拡大することができました。ですがフランチャイズは本部側のメリットは多いものの、加盟者側は初期費用の負担などリスクが多い。残念ながら設定した目標の生徒数を集めることができず、教室を閉鎖した例も過去にはあります。ビジネスは本来、パートナーと平等に利益を享受するものであり、この理念に沿った新しいビジネスモデルとして『自己資金0円開校プラン』を立ち上げました」
 学習塾のフランチャイズ開業には、宣伝広告費や教材費、机や椅子などの備品類などの費用として、初期費用に500万円程度を要するのが一般的とされる。同社が今回開始した「自己資金0円開校プラン」は、これらの費用を本部が負担。開業後は月々の収益の一部を本部に支払い、初期費用を回収するというビジネスモデルである。オーナー側の負担となるのは、学習塾を運営するためのスペースの提供、生徒の成績管理などの運営実務の部分のみ。吉村氏は「新型コロナウイルスの影響により空室を抱える賃貸ビルオーナーの皆さまには、自己資金0円で学習塾の塾長になることを、空室活用の選択肢として認知して頂きたいと思います」と話す。
 昨年秋から「自己資金0円開校プラン」の申し込み募集を開始したところ、多くの問い合わせが寄せられた。審査を経て都内の白山・西小岩の2カ所で新たに教室が開校予定となっている。フランチャイズ事業は前述の通り初期費用の負担と開業後の集客・マーケティングがオーナーにとってのリスクとなる。こうしたリスクを回避・軽減する新しいビジネスモデルに、学習塾業界では早くも注目が集まっている。

平均稼働率90%超え 東急リバブルのレンタル収納 1000室目指す「ストレージスクエア」
 東急リバブル(東京都渋谷区)が展開するレンタル収納スペース「STORAGE SQUARE(ストレージスクエア)」の新店舗「新横浜片倉店」が22日にオープンした。
 「STORAGE SQUARE」は既存ビル一棟または一部のフロアを東急リバブルが借上げ、収納スペースとして貸し出すサービス。2020年3月からは、土地オーナーが建てたトランクルーム用の建物を同社が一括で借上げ、レンタル収納スペースとして運営管理を行うサービスを開始した。
 パーテーション設置など工事金の一部を同社が負担するため、オーナーは初期コストを抑えられる。事業運営コストも同社が負担し、オーナーに毎月固定賃料を支払う仕組みのため、稼働に左右されない収入の確保につながる。現在、東京と神奈川に7店舗、総室数769室を運営しており、全店舗の平均稼働率は90%を超える。
 8店舗目となる「新横浜片倉店」は横浜市営地下鉄「片倉町」駅から徒歩7分、「新横浜」駅から直線2kmのマンションの2階に開設された。全73室、0・5畳から3畳以上の大型まで31タイプのスペースを用意した。
 周辺エリアでは相鉄線・JR線の新駅開業や、相鉄線・東急線の直通線開業による交通利便性の向上、タワーマンション建築計画などレンタル収納の需要拡大が期待されている。
 同社では早期に総室数1000室を実現するとともに、より安心・快適に利用できるようサービス向上にも取り組んでいくとしている。




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