不動産トピックス

今週の一冊

2021.02.08 11:12

人間心理の習性から考える

経済学で考える 人口減少時代の住宅土地問題
著者:山崎 福寿・中川 雅之
発行日:2020年9月10日
発行所:東洋経済新報社
価格:3300円(税別)

 わが国の人口は減少する一方だ。2021年、新成人は約124万人。だが20年後の新成人となる2020年出生数は約85万人。恐ろしい勢いで人口は減り続いており、一方で空き家、空き地は増加している。既存住宅は取引されず「日本では建てては壊し、建てては壊しという無駄な行為を長年にわたって続けている」という。
 どこか歪んでしまっている日本の住宅土地問題はもはや待ったなしの危機的状況であるが、解決の糸口はまだ見えない。コンパクトシティ構想はあるものの実現性に乏しい。新型コロナウイルスの猛威は専門家によると「一段落しても、今後も新種のウイルスが次々に現れると予想されています」というが、今後、どんな危機が起こりえるのか、全く予想だにつかない現状だ。天災に備えることはもちろんだが、空気感染のウイルスが蔓延するかもしれない。一寸先は闇だ。本書は二人の教授が「伝統的経済学だけでなく、人間心理のくせを分析ツールに取り入れた行動経済学の考え方」を用いた一冊。「どうして相続税が空き家を増やす?」「なぜ都市のコンパクト化が困難なのか?」、「マンションは買って大丈夫?」現実を直視し、最善策を自身でしっかり考えるためのまさに良書。




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