不動産トピックス
クローズアップ テクノロジー編
2021.03.15 10:35
IoTやDX等あらゆるテクノロジーの進歩が、質の高いサービスの提供や効率的な業務を行う一助となっている。今回はIoT技術とアプリを連動させたワークスペースの空席確認システム、ならびに不動産価値分析のAIクラウドサービスを取り上げる。
「G smart office」開発 コワーキングスペースの空席状況を遠隔で確認可能
アプリ開発を進めるトラッド(東京都大田区)は昨年9月、コワーキングスペース「G INNOVATION HUB YOKOHAMA」の利用状況確認アプリ「G smart office」を開発した。
「G smart office」は、不動産業を営むリスト(横浜市中区)が運営するインキュベーションオフィス「G INNOVATION HUB YOKOHAMA」のコワーキングスペースと個室ブース「TEL屋台」の空室状況を遠隔からでも確認ができるアプリ。アクセス速度の速さ・リアルタイム性ともに優れており、かつシンプルで使いやすいことから利用者からも好評だ。
トラッドの設立は2011年。一貫しアプリ開発事業を手掛けている。これまでにもスマホ初心者や老若男女問わず簡単にスマホの基本機能を使える「カンタン!アプリ」、年末調整の書類を簡単に作成できる「らくらく年末調整」などの(補助)アプリを多数開発してきた。
IoTを駆使したアプリ開発、「G INNOVATION HUB YOKOHAMA」に関し、代表取締役の恩地和利氏は、「アプリ開発の事業者が増えている中で、企業としての『当社の売り』について考えたのがきっかけです。結果、ハードウェアの技術者を擁してことからIoTとの連動を強みとしたアプリ開発に乗り出しました。『G INNOVATION HUB YOKOHAMA』には弊社の横浜拠点として入居しています。リスト様にこういったアプリとIoTとの連動サービスを展開していることをお話ししたところ、新型コロナ禍で『密』対策にも有効ではないかと賛同頂き、導入することになりました」と開発の経緯を話す。
実はこのシステム、約5年前に都内のとある大手企業の自社ビルで導入した実績がある。「フリーアドレスを採用している企業様で、社内のワークスペースすべてに人感センサーを取り付けました。数にして約400セット、セッテイングに約3カ月を要しました」(恩地氏)。
アプリと人感センサーの連動システムは、Wi―fiが利用できる場所であれば導入可能となる。また人感センサーは一台につき約5~6m程度離れた気配も察知できるため、会議室等の複数名が出入りする部屋の確認にも効果的だ。通常の人感センサーモジュールだけではなく、カメラモジュールやマグネット式のセンサーとの連携なども可能となっている。「カメラモジュールは、ある企業の社員食堂に導入しました。5分に1枚ずつ静止画を取ることで、混雑状況を確認できます。『(シェアオフィス等のように)個々の席を確認するほどでもないが、どのくらい人が来ているか把握したい』場面に有効です」(同)。
IoTと連動した空室確認アプリ。コワーキングスペースのみならず、あらゆる方面での活用を期待できるようだ。恩地氏は、「今後はアプリとカメラモジュールとの連携に注力したいと考えています。特にカフェなどは、『実際に足を運んでみたら満席だった』ということも少なくありません。カメラ数台の設置であれば人感センサーを一つ一つ設置しない分導入も簡易で、大体の混雑状況であれば遠隔で判別できるため、ニーズが伸びてくるのでは、とみています」と語った。
リーウェイズ 「Gate.UI」提供開始 不動産市場分析機能の導入ハードルを下げる新サービス
リーウェイズ(東京都渋谷区)は、不動産事業者や金融機関に向けて、ウェブサイトやサービスへの市場分析機能の容易な導入を可能とする「Gate.UI」を今日8日から提供開始した。
リーウェイズは不動産の「真の価値」の透明化と信用度の向上をミッションに12年間収集した2億件超の物件データを基に不動産価値分析AIクラウドサービス「Gate.」を開発し、不動産の賃料・価格・利回りの査定や収支シミュレーション、市場分析ツールなどを不動産事業者や金融機関向けに提供している。このたび不動産需要の多様化に対応し、物件の魅力やエリアの特性を効果的に訴求する不動産提案を支援するため、「Gate.」の機能の一部を導入しやすい形式で切り出した「Gate.UI」をリリースした。
「Gate.UI」は不動産の価値をエリアの特性を用いてエンドユーザーへアピールしたい事業者向けのサービス。市場分析ツール「Gate.Market Survey」の各機能とUI(User Interface)をベースとしたサービスで、Web Componentsと呼ばれるカスタムHTML要素により、既存のサイトやサービスに簡単に埋め込むことができる。HTMLコードで編集可能なのでビジュアルを柔軟にカスタマイズ可能。
また、UI部分の開発工数を削減することで、導入初期費用を削減できる。