不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.04.19 16:50

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツが攻めの経営に転換「新ブランド」「事業再生」「IT企業連携」進める
 「雨庵 金沢」「ザ・スクエアホテル」「ホテル・アンドルームス」「ロワジール」「ロイヤルパインズホテル浦和」「チサン」など12のホテルブランドを有し、国内50カ所、海外1カ所の計7280室を運営している、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)が積極展開を進めている。コロナの収束が見えないながらも、新規開業はもちろん、ベンチャー企業との提携など、来る復活の日へ向けて様々な手を打っている。
コンセプト施設を札幌でオープン
 6月3日に開業する「ランプライトブックスホテル札幌」(北海道札幌市)は、「本の世界を旅するホテル」をコンセプトとしたブランドで、名古屋に次ぐ2件目となる。
 同ホテルは、札幌市営地下鉄南北線「すすきの」駅から徒歩9分に位置、地上9階建て全112室。1階には宿泊以外の人も利用可能な24時間営業の「ブックストア」と「カフェ」を設置する。 「ブックストア」は、楽天グループの出版取次会社である楽天ブックスネットワーク(東京都文京区)と連携、同社の独自ルートを生かし、「旅」と「ミステリー」をテーマにした選書で、約4000冊の本を取り揃える。もちろん北海道や札幌に所縁のある物語や、北海道出身の作家の本も用意する。
 カフェは44席の座席を設け、北海道で14店舗を展開するMORIHICO.が焙煎するコーヒーやスイーツを提供する。
 ホテルの宿泊者には、ブックストアから好きな本を選んで客室に持ち込める「ブックス トゥ ゴー」のサービスも提供する。「気にいった1冊を見つけてホテルでゆっくりと読書に没頭する、いつもとひと味ちがうホテルステイを提案します」(同社)。
 “本の世界を旅するホテル”の世界観を感じてもらえるようにデザインされた客室は、本棚をイメージさせる木格子と落ち着いた雰囲気のインテリアが特徴だ。2名定員と3名定員の6タイプの客室は、レインシャワー付のシャワーブースか、洗い場とバスタブ付のバスルームを配置した。
 「ホテル・ブックストア・カフェの全てが読書のためにデザインされた空間となり、地元の方や、旅行やビジネスで札幌を訪れる方など、様々な方にご活用いただけるホテルを目指していきたい」(同社)という。
「CHISUN STANDARD」京都でリブランド
 一方で、同社は新ブランド「CHISUN STANDARD」の1号店となる「チサン スタンダード 京都堀川五条」(京都府京都市)を開業させる。同ホテルは所有者であるタカラレーベン(東京都千代田区)より賃貸し、既存ホテルをリブランドしてオープンするもので、2021年夏の開業を目指す。
 客室総数118室、京都市営バス停留所「堀川五条」より徒歩1分に位置し、JR「京都」駅や烏丸御池・四条河原町からのアクセスも良好なため、ビジネスや観光の拠点としての需要を見込んでいる。
 新ブランドとなる「CHISUN STANDARD」は現在、国内31件、海外1件を展開しているチサンホテルズに、現代のエッセンスを加えたもの。チサンホテルズのコンセプトである“いつもでも、期待以上の満足を”のもと、日本人の朝食の定番である米に焦点をあて、ごはんをおいしく食べるおかずを充実させた朝食ビュッフェの提供や、必要なものを宿泊者自身に選んでもらうアメニティ「スマート・セレクト」を導入するなど、サービスを充実化させている。
 同社はまた、事業再生にも注力。4月9日付で霞ヶ関キャピタル(東京都千代田区)が全株式を取得したメゾンドツーリズム京都(京都府京都市)との間で、100%子会社であるホテルマネジメント京都(同)に関する株式譲渡契約を締結したが、これによりホテルマネジメント京都の客室数75室「ホテル京都木屋町」運営業務をソラーレホテルズが引き継ぐこととなった。同ホテルは2021年夏を目途にソラーレホテルズのブランドにリブランドをする予定だ。
 同社は宿泊施設や地域経済の活性化と再生支援のため、事業再生支援チームを活動させている。国内外のホテル運営で確立した独自の運営モデルと複数ブランドを活かし、運営会社の変更を伴う事業再生や承継支援、運営会社を変更せずに収益向上を図る運営支援、送客支援なども展開。金融機関、投資ファンド等のネットワーク構築や、宿泊施設の雇用維持、地域経済の活性化についても積極的に取り組んでいる。
ベンチャーと合弁トラベルテック実現
 この4月には企業のイノベーションを支援するイグニション・ポイント(東京都渋谷区)と、トラベルテックによる旅行環境のイノベーションを目的としたジョイントベンチャーであるHOLLIS(ホリス 東京都渋谷区)を設立。
 ホリスでは、イグニション・ポイントが保有するトラベルテックに係る技術アセットを基に、スマートホテル、スマートツーリズムを実現する製品開発と販売をスタートさせる計画だ。
 チェックインやルームサービスの手配などホテルで発生する手続きの簡易化、旅行で必要になる交通手段・周辺施設の手配簡略化やキャッシュレス化などを実現し、より快適でより安全な旅行体験を国内外の旅行者へ提供していきたいという。
 ソラーレホテルズはホリスが提供する技術サービスを更に高いレベルに引き上げることを目指し、国内外51カ所にあるグループのホテルの運営ノウハウを活かして、ホリスの製品開発やサービス企画に協力していきたいという。

ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ 「THE」シリーズのフラッグシップ「アイコニック」ブランド来春に
 三菱地所グループのロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ(東京都千代田区)は、2022年春開業を予定している「(仮称)ザ ロイヤルパークホテル 京都烏丸御池」を、ロイヤルパークホテル「THEシリーズ」のフラッグシップブランドラインである「ICONIC(アイコニック)」とし、名称を「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都」に決定。
 同ホテルは、「ザ ロイヤルパークホテル 京都三条」、「ザ ロイヤルパークホテル 京都四条」、「ザ ロイヤルパークホテル 京都梅小路」、2021年6月6日開業予定の「ザ ロイヤルパーク キャンバス 京都二条」に続き、同社が京都で展開するホテルの5軒目として開業を予定している。約130室の客室のほか、レストラン、ラウンジ、大浴場を備える。
 “象徴的な”という意味を持つアイコニック(ICONIC)は、プレミアム宿泊主体型ホテル「THEシリーズ」における“象徴的な”ブランドラインで、同ブランドラインが立地する街で“象徴的な”もてなしの拠点でありたい、という想いがこもっているという。
 キーワードは、「The art of time ~美しい時間(とき)を。~」で、アイコニックで過ごす時間(とき)がゲストにとってより美しいものになるように、ロビーや客室の設え、ゲストに寄り添うスタッフのもてなしから生まれる心地良さを提供していきたいという。

「湯快リゾートプレミアム」5館目
 湯快リゾート(京都府京都市)は4月17日、「南紀勝浦温泉 越之湯」(和歌山県東牟婁郡)をリニューアルオープンさせる。同ホテルは「白浜彩朝楽」、「ホテル千畳」、「白浜御苑」、「鳥羽彩朝楽」と並び、5館目の湯快リゾートプレミアムとして、リニューアルオープンする。
 今回のリニューアルにより、フロントやロビー、レストランといったパブリックスペースの改修を重視し、より非日常感が味わえるスタイリッシュな和モダン旅館へと転換させた。「湯上がりバー」や、海が一望できる「足湯付きのオーシャンテラス」、「岩盤浴」などの設備を併設している。
 夕食では、地元の紀伊勝浦で獲れた生マグロをにぎり寿司や鉄板焼きなどで提供するだけでなく、海鮮BBQやステーキなども用意する。
 同社は「日本の温泉を身近にする」を掲げ、天然温泉リゾートを1泊2食7500円から提供している。

「時を創造するホテル」を沖縄に
 ムーンホテルズアンドリゾーツ(沖縄県国頭郡)とザ・テラスホテルズ(沖縄県名護市)は4月1日、両社が初めて共同で手掛ける新たなライフスタイルホテル「MBギャラリーチャタン by ザ・テラスホテルズ」を、沖縄県北谷町美浜に開業させた。
 同ホテルのコンセプトは「時を創造するホテル~Stay more Experience more~」。洗練された空間の中にも沖縄独自の時代とカルチャーが息づき、島らしいフレンドリーなもてなしで紡がれるリラックスした時間を提供していきたいという。
 同ホテルは地上9階建て、客室はスイートを含む全88室。ほとんどの客室が50m2なのが特徴。
 ホテル7階には、宿泊者専用のクラブラウンジ「7th Moon Club」とインフィニティプール、ジムを用意。1階にある「Bay Cafe & Lounge」は、誰でも利用できる北谷の街に開かれたオープンな空間のカフェラウンジとなっている。




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