不動産トピックス
クローズアップ 室内環境編
2021.04.26 11:12
コロナ禍で商業、ホテルは苦境に陥る。そのなかでも活発に投資を進める企業もある。彼らを動かすのは「目利き力」だ。
吹込み用木質繊維断熱材「Zell」イケダコーポレーションが日本で初めて販売
イケダコーポレーション(大阪市福島区)は、ヨーロッパ最大の木質繊維断熱材メーカーであるSTEICO(ドイツ・ミュンヘン、シュタイコ社)の吹込み用木質繊維断熱材「Zell(ゼル)」の販売を開始した。シュタイコ社の吹込み用木質繊維断熱材を日本で取り扱うのはイケダコーポレーションが初。
国内での販売開始に先立ち、もるくす建築社(秋田県大仙市)をはじめ、国内の各地域で試験的に施工が行われてきた。施工した工務店やビルダーから高い性能評価を得られたといい、販売要望の声も挙がっていたことから3月に販売を決定していた。
吹き込み断熱材とは、専用の装置から綿状や粉末状の断熱材を吹きつけて施工するもの。天井裏や壁などの空隙に断熱材が入り込み、断熱層を形成する。
「ゼル」はバージンパルプを採用した粉末状。繊維が長く反発力に優れているので沈下が少なく、吹き込み面を完全に覆うことができる。そのため熱伝導率の高い金属部分などが覆われず、熱を伝えてしまう「ヒートブリッジ」が発生する心配も少ない。加えて、高い断熱性能と熱容量、遮音性、調湿性などで室内を常に一定の温度で静かな快適な環境に整え、これまでの石油系断熱材にはない特徴を持っている。
吹込み密度は壁=50kg/㎥、屋根・天井=35~45kg/㎥。熱伝導率は0・038(W/m・k)。熱容量は2100c[J/(kg・K1)]。ホウ酸入りの防蟻処理仕様となっている。
シュタイコ社の木質繊維断熱材は、戸建て住宅一戸当たり約4トンの二酸化炭素を固定化し、その高い省エネ性能で年間約5トンの二酸化炭素を削減する「脱炭素」時代の理想的な断熱材としてヨーロッパでも注目されている。イケダコーポレーションでは今後も健康や環境に配慮し、人々の安全・安心に寄与する商品を通じてより一層の社会貢献を目指していく構えだ。
大建工業 ショールーム開設 冷暖房システムを体感可
大建工業(大阪市北区)は2018年より全国販売を開始した全空気式床ふく射冷暖房システム「ユカリラ(YFPシステム)」(以下、ユカリラ)の認知拡大と更なる普及を目的に、東京都台東区に常設施設「ユカリラ体感ショールーム」を4月19日にオープンした。
室内の空気質や温熱環境など、様々な基礎研究に取り組む同社では快適空間の普及に向けて、体にやさしい冷暖房システム「ユカリラ」の提案活動を積極的に進めている。昨年4月には同システムの販売を専門的に担う「快適空間部」を設けるなど新たな事業展開を進めていて、その活動の一環として同社初となる「ユカリラ体感ショールーム」を開設した。
ショールームでは「ユカリラ」の快適性を季節問わず体感できるように、体感室を2部屋設けた。時期ごとに2部屋の体感ルームの設定温度を切り替えて、常に暖かい部屋と涼しい部屋を体感することができる。
また床やダクトスペースの一部をスケルトン構造としたことから、エアコンの風が通る流路やふく射パネルなど、システム構造内部の一部も確認することが可能となっている。上席執行役員で国内製造本部副本部長・アメニティ事業部長の内海健一氏は「このショールームを通して認知度を更に高めていくことで、住宅・非住宅市場への一層の浸透を図っていきたい」とした。
輻射熱97%カットの遮熱シート 厚さ0.2mmのアルミ製で夏は涼しく・冬は暖かく
NBCエンジニア(大阪市東淀川区)は、輻射熱を97%反射する国産遮熱シート「TN-1」の全国販売を開始する。
天気のいい日にあたたかく感じるのは、太陽という熱源から輻射熱が放出されているから。真夏のジリジリした暑さの原因も、この輻射熱。そんな真夏でも、日陰は涼しいと感じる。遮熱シート「TN-1」は、屋根下にランニングコストいらずで日陰を作り出す、日本製の遮熱シートだ。
熱を伝わらなくして室内の温度を一定に保つものとしては、断熱材と遮熱材がある。断熱材は熱の伝わりを遅らせるが、実は遮ることはできない。一般的な発泡スチロール状の断熱材を入れていても夏場に暑くなるのは、断熱材そのものが蓄熱効果で熱を保持しており、ゆっくりと熱が室内に入るからだ。一方の遮熱材は断熱材よリも薄いシート状が多い。表面のアルミ箔によって外部からの暑い輻射熱を反射(遮断)することで室内を快適に保つ。
断熱材は一般的に厚くなれば厚くなるほど断熱効果が高くなるが、「TN-1」の厚みはわずか0・2mm。この薄さで輻射熱の97%を反射し、暑さも寒さも防ぐ。
シートはアルミ純度99%以上。劣化の原因である腐食を防ぐ、腐食防止絶縁コーティングで耐久性にも優れる。また耐薬性(アルカリ・酸性)があり、過酷な環境でも使用可能。一度施工すればランニングコストはほぼゼロだ。表面には眩しさを抑制する乱反射加工を施しており、国土交通省の不燃認定も取得済み。1ロールは幅1m×長さ50mで、1m単位での素材のみの販売にも対応している。
工場や倉庫などの電力削減・暑熱対策に活用できる製品。建物だけでなく熱源、ヘルメットの中、靴の中敷きの下、耐火エプロンなどいろいろな箇所への使用も可能だ。