不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.05.06 11:36

ハイアットHが初上陸ブランド富士スピードウェイ隣接地に開設
 ハイアット ホテルズ コーポレーション(本社・米国イリノイ州)では、2022年秋に日本初上陸ブランド「アンバウンド コレクション by Hyatt」として「富士スピードウェイホテル (FUJI Speedway HOTEL)」(静岡県駿東郡)をオープンさせる。
 ハイアットがトヨタグループの不動産会社である東和不動産とのホテル運営受委託契約に基づき、「アンバウンド コレクションby Hyatt」のホテルとして運営するもの。日本を代表する国際サーキットの一つである富士スピードウェイの隣接地に建設される予定。同時にトヨタ博物館(愛知県長久手市)が監修する富士モータースポーツミュージアム(FUJI MOTORSPORTS MUSEUM)をホテル内に誕生させる。
 同ホテルは、東名高速御殿場ICより車で約20分に位置。館内施設は客室120室、レストラン、バー、宴会場、会議室、温泉浴場、室内プール、ジム、スパを併設する。
 「アンバウンド コレクション by Hyatt」は独立したホテルを単に取り揃えたコレクションではなく、語るべきストーリーに彩られた唯一無二のホテルを慎重に「キュレーション」したブランド。
 ハイアット ホテルズ コーポレーションは、20のプレミアブランドを擁する。2020年12月31日現在、世界6大陸の69カ国々で975以上の施設を展開している。同社の子会社が運営、管理、フランチャイズ展開、所有、賃貸、開発、ライセンス契約、サービス提供を行っているホテル、リゾート、レジデンス、タイムシェア型リゾートオーナーシップ施設のブランドは、「Park Hyatt」「Miraval」「Grand Hyatt」「Alila」などがある。

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ 事業再生支援チームに新たな案件
 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)では、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(同)との合意に基づき、4月28日付けで「相鉄グランドフレッサ 品川シーサイド」を対象とする定期建物賃貸借契約締結に関する合意書を締結、2021年内にリブランドによる開業準備を進めていく。
 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツは、コロナ禍で大きな打撃を受けている宿泊業界の存続と、地域経済を活性化させるため、昨年6月に事業再生支援チームを発足。運営会社の変更を伴うホテルの再生や承継支援をはじめ、運営会社を変更せずに収益向上を図る運営支援や送客支援など、広く宿泊事業の再生を支援している。また、金融機関、投資ファンド、コンサルティング会社等とのネットワーク構築や、宿泊施設が所在する地域経済の活性化などにも注力している。今回のリブランドはその一環となる。
 同ホテルは、りんかい線「品川シーサイド」駅出口より直結、京浜急行電鉄「青物横丁」駅より徒歩約7分に位置する。羽田空港から電車で約30分、東京ビッグサイトから電車で約10分、東京国際フォーラムから電車で約30分、館内にはレストランや会議室を併設しており、ビジネスはもちろん、観光、イベントなど、さまざまな需要に対応する。
 インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、世界有数の独立系資産運用会社であるインベスコ・グループに属する資産運用会社が資産の運用を受託する投資法人。
 一方、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツは、「雨庵 金沢」「ザ・スクエアホテル」「ホテル・アンドルームス」「ロワジール」「ロイヤルパインズホテル浦和」「チサン」など11のホテルブランドを有し、国内51カ所、海外1カ所、7363室のホテル宿泊部門や、売店部門・料飲部門・大浴場・スパの運営、アセットマネジメント、フランチャイズ運営などの事業を展開している。

「コンフォートホテル京都堀川五条」開業
 全国に「コンフォートホテル」「コンフォートイン」「コンフォートスイーツ」を展開しているチョイスホテルズジャパン(東京都中央区)では、京都府京都市に「コンフォートホテル京都堀川五条」を開業させた。
 京都は1999年に日本でコンフォートブランドが誕生したゆかりの地であり、4月には京都市内2ホテル目の「コンフォートホテル京都東寺」も開業することから、京都に特化したプロジェクト「re;KYOTO~ここからはじまる、新しい京都~」を掲げている。
 同ホテルは地上10階建て、客室は全153室。館内には、昭和5年に創業した山元染工場が培ってきた型友禅の高い技術と、テキスタイルアーティスト山元桂子氏によるオリジナルの染物「ケイコロール」のファブリックパネルを各部屋に展示。カフェ内の茶室コーナーで、茶道家指導のもとで気軽に参加できる茶道体験を提供する。  「苔のアートや枯山水を模した植栽、和紙の照明、京都風情のある調度品に囲まれた空間で、京都の文化を体験できます」(同社)。
 また、カフェ内の本棚には、京都の文化に関する本や写真集の他、お茶に関する本も充実させ、茶道体験をさらに深めることができように工夫した。
 宿泊者が無料で利用できるオープンスペースでは、プロのブックディレクターが同ホテルのためだけに選んだ100冊以上の本や旅の写真集のほか、ウェルカムドリンクサービス、Wi―Fi、コンセントなどを備える。
 最近では、自宅や会社以外のリモートワークスペースに対するニーズの高まりを受け、宿泊者以外も利用できるサービスを実施し、コワーキングスペースとしても活用できるようにした。
 「コロナ禍においてホテルに求められるものが変化する中、チョイスホテルズジャパンでは当プロジェクトのもと、京都の魅力を地元の方々と共に発信し、”今だからわかる京都の良さ”を得られる機会をつくっていきます」(同社)。

「託児サービス」「部屋食」付きファミリーワーケーションプラン
 扇芳閣(三重県鳥羽市)では、未就学児を含む家族を対象に「託児サービス」や「部屋食」「専用露天風呂付部屋」がセットになった「温泉でファミリーワーケーションプラン」を新設。これは鳥羽市ワークスペース整備事業・モデル事業所認定になる。
 新型コロナウイルス感染拡大を受け、テレワークやワーケーションは新しい生活様式として社会に定着しつつある。しかし「幼児を持つ子育て世帯」では、テレワーク下での労働生産性の低下が報告されている。
 増加するワークスペースの多くが単身利用者や男性の利用を前提に設計されており、女性や子ども、家族の存在が新しい生活様式の中では意識されていないのが現状だ。こうした状況を受け、子育て世帯にも生産的にテレワークに取り組んでもらい、また、外出自粛のストレスを解消してもらうべく、「託児サービス」や、「作業に集中できる仕事部屋」「家族でゆっくり過ごせる専用露天風呂」などを盛り込んだ1日1組限定のワーケーション宿泊プランを用意した。 
 同施設は1955年に鳥羽市に誕生して以来、伊勢志摩観光の窓口という役割を担い続けている。2000年には旅館としては全国初となる自然保護施設「めだかの学校」をCSR活動の一環で整備し、2003年にはバリアフリー旅館の先駆けとして「ユニバーサルルーム」をオープンするなど、時代に合わせた取り組みを進めている。

Unito 「リレント」可能施設が増加 既存物件の業態転換サポート
 帰らない日は家賃がかからず、荷物を置いたまま外泊できる「リレント」が可能なホテル暮らし「unito(ユニット)」を開発・運営するUnito(東京都千代田区)では、”泊まる場所”から”暮らす場所”への転換期にアフターコロナのホテル経営をサポートする「ホテル再生支援事業部」を設立した。第一号案件として、新型コロナウイルスの影響を受け、未開業だった東京都港区汐留のホテル1棟を再生支援し、「unito SHIODOME」として4月20日に開業させた。
 2020年に開催が予定されていた東京オリンピックに向けて、ホテル需要の高まりに伴い建設された多くのホテルが、新型コロナウィルスの影響を受け、開業できずにいる。こうした状況下、同社は、新型コロナウイルスが猛威を奮い始めた春、同社は帰らない日は家賃がかからず、荷物を置いたまま外泊できる「リレント」が可能なホテル暮らし「unito(ユニット)」をリリースした。
 2021年になり、大手ホテルも「ホテル暮らしプラン」を販売開始しており、同社では多くのホテルが、新時代のホテル経営に参入できるよう、サポートしていきたいという。
 具体的には、「unito(ユニット)」のプラットフォームで物件を掲載し、長期宿泊者を集客する。長期宿泊者に利用してもらうことで、稼働率の向上はもちろん、清掃頻度が低下し運営コストの削減も見込める。
   帰らない日は、部屋を短期宿泊客に更に貸し出すことで、その日の分の家賃が差し引かれる「リレント」を採用しており、家賃を節約できることがメリットの1つ。荷物を置いたまま「リレント」できるように、自社開発のリレントベッドを設置する。もちろん内装へのリノベーションや家具の設置についてもサポートする。

ホスピタリティオペレーションズ 「デイユース」「マンスリー」新たな需要創出に注力
 ホスピタリティオペレーションズ(東京都千代田区)では、同社が運営する「スマイルホテル」はじめとするビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテルで、昨今の新たなホテル利用のスタイルに対応し、「デイユース・ワーケーションプラン」、「連泊マンスリープラン」を積極的に販売している。同時にスマイルホテル公式サイトで、“ホテルでテレワーク”や“ホテルでの長期滞在”を検討している人に向けたハウツー情報を紹介するランディングページの公開も開始した。
 「新型コロナウイルス感染症はいまだ収束の兆しが見えず、テレワークを導入する企業は増加傾向にあります。当ホテルといたしましても、完全なプライベート空間であるホテルの客室を、さらに快適にご利用いただけるよう、様々なサービスの拡充を図っています」(同社)。 
 無料Wi―Fi完備はもちろん、事前に備え付け備品、ベッドやテレビの有無などを確認することも可能。「自宅にWi―Fi環境がない」、「静かな環境でWeb会議に参加したい」、「在宅勤務では集中できない」といったビジネスマンの利用を促す。
 ランディングページでは、ホテルでのテレワークはどのような人に向いているのか、どのようなメリットがあるのか。ホテルを選ぶとき、どんな点に注意してセレクトすればいいか、といったものを解説する。
 同社は、2005年の設立以来、「ホテル運営事業」「リゾート運営事業」「レストラン運営事業」「運営コンサルティング」「太陽光発電事業」を展開。主力のビジネスホテルである「スマイルホテル」は全国的なチェーン展開を行っており、既存ホテルの賃貸借、運営受託、フランチャイズなどオーナーの希望にあった契約形態で提案も行っている。




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