不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.05.17 10:50

「非接触型サービス」が広まる アパホテルが”1秒”チェックイン・アウト開始
 ホテル業界で、新様式システムが浸透してきた。アパホテル(東京都港区)では、同ホテルの直営、FCの全店でホテル利用時の「予約」、「チェックイン」、「チェックアウト」の一連の手続きをそれぞれ1秒で可能にする、「アパトリプルワンシステム」を本格始動させた。「非接触」、「待たない」、「並ばない」を実現したストレスフリーのオリジナルデジタルサービスにより、宿泊客には「並ばない」安心感を提供していきたいという。
専用のアプリを通じてストレスフリー実現
 同ホテルの公式サイトのアプリ版である「アパアプリ」を活用することによって、アプリからの予約、チェックイン、エクスプレスチェックアウトポストのチェックアウト、いずれも1秒で可能になる。  予約は、アプリの限定サービスでお気に入りホテルを登録すると1つのフォーマットで画面遷移することなく予約を完了することができる。1秒チェックインとは、アプリで事前にオンライン決済し、前日15時からの部屋選択を完了する。このアプリチェックインを済ませておくと、当日は専用機にQRコードをかざしてから1秒でルームキーの発行を完了することができる。専用機は、画面操作が一切不要で非接触に対応している。
 このシステムを導入するにあたり、新たに日本NCRビジネスソリューションと新型専用機を共同開発した。
 「専用機は、当社が掲げる宿泊者の時間を大切にする“Time is life(時は命なり)”のコンセプトに基づき、『待たない』『並ばない』チェックインを実現する為に開発されたもので、QRコードによるルームキー発行に特化したチェックイン機としては業界初となります」(グループ取締役IT事業本部長 小塚智成氏)。
 QRコードを読取口にかざすだけで瞬時にルームキーを受け取ることができる。これにより、アプリチェックイン利用者はフロントの混雑状況に関わらず、待たず並ばずにチェックインを完了することができる。  また、チェックアウト時に追加清算のない宿泊客は、フロントに立ち寄らずに、ルームキーを投函するとリアルタイムでチェックアウト処理が行われるエクスプレスチェックアウトポストに、ルームキーを入れるだけでチェックアウトを完了することができる。
スタッフの負担軽減 他のサービスに注力
 アプリチェックインは2017年7月より開始した公式サイトやアパアプリからの直接予約サービスであるアパ直の予約限定サービス。クレジットカードでオンライン決済をすると、自分自身で部屋選択をすることができ、特典としてポイントが1泊毎100ポイントプラスされる。朝食などのオプション選択や残室状況に応じて部屋のアップグレードもできる。「公式アプリは、既に200万ダウンロードに達しており、アパ直の半数が使用しています」(小塚本部長)という。
 この「アパトリプルワンシステム」は、「当面、アパアプリ利用者のみとなりますが、当社はアパ直経済圏の拡大を目指していく考えのもと、OTA予約でも可能にしていく計画です」(小塚本部長)。
 コロナ禍で、非接触なチェックアウトとして導入済のエクスプレスチェックアウトポストに加えて、非接触チェックインの決定版として、アプリチェックインの利用を促進する。
 「一連のシステムの構築により、宿泊客の利便性はもちろん、ホテルスタッフの業務負担も軽減できることになります。このため、今後はシフトの構成にも大きな影響を与えることになるでしょう」(小塚部長)と同社の期待は大きい。
 同社は今後もトリプルワンを軸に「進化するアパホテル」として利用客に支持されるサービスを順次導入していく計画だ。

ホテルロッソ コワーキングスペーススタート
 ホテルロッソ軽井沢(長野県北佐久郡)を運営するホテルロッソは、軽井沢町内国道18号線沿いにコワーキングスペース「Work Wisdom軽井沢」を4月22日に開業させた。
 2020年に発生した新型コロナウイルス感染拡大は、かねてより推進されていた「働き方改革」に拍車をかけ、コロナ禍を機にワークスタイルが一変する時代を迎えた。同社は、「ホテルロッソ軽井沢」においてテレワークプランを早期に打ち出し、「リゾート地軽井沢でのワ―ケーション」のイメージ作りの一翼を担ってきた。今後、軽井沢でのワーケーションを更に定着させる為の次なる一手として、「Work Wisdom軽井沢」を開業する事となった。
 同施設は小規模コワーキングスペースで、所在地は「軽井沢」駅北口から車で5分に位置。機能性とデザイン性を両立させ、施設内にはフォンブースと談話スペースを設け、軽飲食の持ち込みは自由、手続きや申し込みを簡略化し、誰でも気軽に利用できる環境を提供する。 
 主なターゲット層は、首都圏からのワーケーションを目的とした人、軽井沢町内で勤務する人や近隣市町村企業に勤める人のテレワーク需要の取り込みを見込んでいる。

最上級ブランド「THE BLOSSOM」 JR九州ホテルズが熊本に
 JR九州ホテルズ(福岡県福岡市)では、「この旅に、この地にひらく感動の花を。」をブランドコンセプトに掲げる宿泊主体型ホテルの最上位ブランド「THE BLOSSOM」の3番目のホテルとして、「THE BLOSSOM KUMAMOTO」を熊本県熊本市に開業させた。
 同ブランドとしては日比谷(東京)、博多(福岡)に次ぐ展開となるこのホテルは、JR「熊本」駅に直結。阿蘇、天草、人吉、山鹿など熊本県の観光地の真ん中に位置し、観光の拠点として、またビジネスとしても最適なロケーションと設備を備える。
 同ホテルのコンセプトは、「新しい明日に灯(ともしび)を」。熊本の自然や文化をイメージしたデザインに加え、香り、音など細部にもこだわり、「火の国」「水の都」熊本の魅力を五感で堪能できる工夫を施した。
 1階のエントランスでは、地元・熊本の小国杉から抽出したホテルオリジナルのエッセンシャルオイルで宿泊客を迎える。「9階にあるロビーへ導くエレベーターを降りると、今度は華やかな生花のフレッシュな香りに包まれながら、明るい光が差し込む中庭とラグーンが目に飛び込んできます。自然の光と熊本県山鹿の千人灯籠踊りのシーンをイメージした幻想的な雰囲気が特徴のロビーに心が和むでしょう」(同社)。
 客室は、熊本のまち並みを眺めながらくつろげるガラス張りの洗い場付きバスルームを備えたプレミアムルーム全8室や、落ち着いたデザインのなかに柔らかな灯りが照らし、奥に小上がり空間を備えたデラックスツイン「和(NAGOMI)」全27室など全9タイプ203室を用意する。 ダイニングは、自然ゆたかな九州の恵みを余すことなく表現し、″今旬(イマドキ)″を味わうことができる「九州創作 千山万水」を用意。「熊本の街並みや阿蘇の遠景、ラグーンとチャペルのある中庭を望みながら心落ち着くひとときをお過ごしください。朝食は、熊本をはじめ多種多様な風土を有する九州のゆたかな食材の良さを生かした和洋中のブッフェをご用意しています」(同社)。

「ホテルリリーフ小倉駅前」別館開業
 デザイナーズビジネスホテルを全国に7店舗運営するAsteer(大阪府大阪市)では、「ホテルリリーフ小倉駅前」(福岡県北九州市)の別館となる「ホテルリリーフ小倉ANNEX」を新たにオープンさせた。
 同ホテルは、JR線「小倉」駅から徒歩10分に位置、客室はシングル5室、セミダブル11室、ダブル14室、ツイン15室、トリプル3室の合計全48部屋。
 同ホテルは従来の宿泊目的のみのホテルではなく、「ホテルで過ごす時間が有意義になる空間」を提供できるよう、コミック本や書籍を合わせて4万冊以上を用意する。
 エントランスロビーにはカフェスペースを配置。また主に書籍を、階段を上がった大きな共有部屋には沢山の棚にコミック本を設置する。

定山渓ビューホテルをベルーナに売却
 Karakami HOTELS&RESORTS(北海道札幌市)が運営する定山渓ビューホテル(同)はこのほど、ベルーナと売買契約を締結、5月31日に資産譲渡する計画だ。
 新体制の中、中長期経営計画の実現に向けて、安定した経営基盤の確保及び経営資源の「選択と集中」の観点から今回の決断に至ったという。
 同ホテルは1985年の開業から約35年、1996年の「新館グレイトビュー」の増築や、幅広い世代に人気のプール「水の王国ラグーン」の営業、大型イベント開催など、様々な取り組みを行ってきた。
 近年では、コロナ禍のリゾートステイを安心・安全に楽しめるよう新スタイルビュッフェレストラン「ロイヤルグランシャリオ」のリニューアルオープンや、北海道初の本格ナイトプール「SIRENA」の開業などの施策も講じてきた。

アンドリゾートが静岡の旅館取得
 旅館業を展開するアンドリゾート(和歌山県東牟婁郡)では、「修善寺温泉 ねの湯 対山荘」を経営する對山荘(静岡県伊豆市)の株式を取得した。これにより對山荘はアンドリゾートの子会社になる。
 新型コロナウイルス感染症の拡大と政府、緊急事態宣言の発出により、旅館業ではとくに難しい経営判断が迫られるなか、アフターコロナを見据えた経営の安定化のため、對山荘の子会社化を決定したもの。
 アンドリゾートは、関西エリアで知名度の高い「かつうら御苑」、「旅荘 海の蝶」、「万翆楼」、「花游旅館」の4館の経営に加えて、2020年7月からはグランピング事業を展開している。  今回の株式取得により、両社双方の強みが企業の発展を促すとともに、アンドリゾートの全国展開につながるとものと期待している。




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