不動産トピックス

今週の一冊

2021.05.17 10:40

「地図」と「公図」の違いも詳しく

公図・不動産登記簿の読み方・調べ方
著者:山本 芳治
発行日:2021年2月15日
発行所:ビジネス教育出版社
価格:2800円(税別)

 不動産登記簿や公図は見方が分からなければ意味がない。職務で必要になる都度、先輩から取得の仕方から見方を教わり徐々に覚えていく方も多いだろう。一度きちんと勉強するとよいが、なかなか「読み方・調べ方」の面から解説された書籍は少ない。本書は貴重な一冊だ。内容は充実。「登記所とは」に始まり、地図に準ずる公図(図面)の読み方、閲覧申請方法から不動産売買の流れに沿った登記簿の細かい点まで網羅している。 登記簿業務は司法書士に丸投げしているだろうが本書で一通りの知識を得ることができる。実務から生まれた事例で分かりやすく解説。手元において必要に応じて確認する使い方がぴったりだ。 
 さて「地図」は「公図」のことではないという。境界を測量したものを登記法上の「地図」というが実はこの「地図」を備えている登記所は少ないそうだ。土地の形状が変わっても「地図」があれば境界は復元できるというが、精度の高い「地図」は日本国土のほんの一部分のものしかないとは驚きだ。順次整備されているとはいえ空き家問題といい、日本の不動産の課題は山積みだ。本書のような堅実な書籍で正しい知識を得、個々の業務だけでなく社会の課題解決にも尽力する人材育成を切に願う。




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