不動産トピックス

クローズアップ ドローン編

2021.05.31 10:26

 ドローンの活用が不動産業界で進められている。特に建物管理などの場面で生かされており、直近では大手デベロッパーもドローン企業と提携。活用できる機会も増えており、今後の不動産事業を考える上で要チェックだ。

ドローンが練習できるコートを貸し出し 22年以降はより実務的な活用が進む
 「ドローン」は近年、急速に認知度が進んできたが、コロナ禍の現在、人と人の接触が不要で撮影や操縦が可能であることなどから更に需要が高まっている。操縦士を養成するスクールはどうか。都内でドローンパイロットを養成する「ドローンスクールお台場」を運営するハミングバード(東京都港区)の代表取締役の鈴木伸彦氏は、「昨年最初の緊急事態宣言時は施設も休館となり丸2カ月稼働できない状態となりましが宣言明けには多くの方に受講いただいています。時間が出来た、将来に役立つ資格を取得したいなどの理由が挙げられます。コロナ前は法人の受講者が多く目立ちましたが個人の方の受講も非常に増えてきています」と話す。
 同社のスクールでは、ドローン利用者へ向けたコートのレンタルサービスを6月1日よりスタートする。卒業生に限定してコートの貸し出しを行っていたが、今回、「当スクールの卒業生に限らずドローン操縦士を支援しよう」という思いから、「10時間以上の飛行経験」を条件に、誰でも利用できるよう、コートを開放する。
 インストラクターの補助が付かない前提の貸し出しのため、国交省の飛行許可設定である10時間以上の飛行経験者に限定。都心部においては、航空法をはじめドローンを飛行させるための規制が多く、ドローンを練習したくても飛ばせないといった悩みからスクールのコートを利用できないかという声が多かったという背景がある。同スクールは商業施設「お台場ヴィーナスフォート」内にあり、タイプの異なるドローン専用コートが3面。完全屋内の為、天候に関わらず利用できる。また、同施設内の子どもの遊び場「Aneby Trimpark」とも提携。スクール経由で子ども向け広場をレンタルし、自由にドローンを飛行させることが可能だ。
 「当初はAneby様から施設の有効活用を行いたいとご要望を受けお話を進めていました。先方様がお子様を対象としたサービスを提供していることもあり子ども向けコンテンツの共同提供から検討していましたがコートレンタル需要があることを見込み、先行してコートレンタルの提携に至りました。遊具の設置もトレーニングには非常に効果的で、特にドローンレースの練習場としては都内随一の施設となります」(鈴木氏)。子ども用広場であることから、テニスコート6面分の1600㎡の広さがあり、アスレチックやトンネルなどの遊具もドローン飛行練習には有用となり、また5mという十分な高さがある。空間の有効な2次活用ともいえよう。
 国家資格化など、ドローン操縦に関する法整備も進み、ますます社会の中で重要性が高まるドローン。「不動産業界においては、都心部の高層建築物点検など様々な規制があり、ドローンでの点検や作業を行うことが難しい現状がございました。法改正によりこの様な作業の幅が大きく広がることも期待されています。最終形は『有人地帯での目視外飛行』となり、都内でもドローンを産業活用できるよう法改正が行われそれに伴いまして国家資格が施行されていく予定です。この体制が整うことにより、規制により飛行できなかった場所などで飛行が可能となり飛躍的にドローンの活用が伸びていく事が予想されます。今現在がやっとドローン活用の検証が出来てきた段階となり2022年以降はより実務的に活用されていくと言われています」(鈴木氏)。

ドローンを活用しメガソーラーの保守点検業務をDX化
 SkyLinkJapan(京都市北区)は、自律制御システム研究所(東京都江戸川区、以下「ACSL」)と協業し、ドローンによる太陽光パネル点検の撮影から、AIによる画像診断までワンストップで実施できるソリューションを提供している。
 同ソリューションはACSLが開発した国産の産業用ドローン「Mini」と、SkyLink JapanがもつAIによる太陽光パネル診断ソリューションを組み合わせた、太陽光パネル点検のワンストップソリューション。クラウド上にドローンで撮影した可視光線画像や赤外線画像データを蓄積、また経年変化を観察できるよう時系列でも取り扱え、広大な施設でも容易に一元管理が可能。
 また、太陽光パネルの異常箇所であるホットスポットなどをAIによる診断で抽出し、異常箇所の数や大きさから売電損失額を算定し分析することで大幅な改善も期待できる。




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