不動産トピックス
クローズアップ フードサービス編
2021.06.14 15:36
働き方の変容とともに見直されてきているのが、「食」の在り方だ。昨今、社員同士の貴重なコミュニケーション機能としても役立つのが「オフィス向けフードサービス」だ。オフィス内に終始せず、近年はビルの共用スペースへの導入が進んでいる。
フードサービス「イナカデリコ」提供 スペース活用や社員のコミュニケーション創出にも寄与
StoryCrew(高知県南国市)は2018年3月5月より、オフィス向けフードサービス「イナカデリコ」の提供を進めている。
「イナカデリコ」は、あらゆる地方の旬の食材を使った弁当・総菜販売や社内カフェなどの出張フードサービス。社内でのカフェ運営などの販売業務委託や既にオフィスに導入しているカフェや販売店に商品の卸販売も行う。またオフィス移転やリニューアルに伴うコンセプトメイクから什器選定まで一貫して請け負うリニューアルサービスも提供する。企業価値の向上やオフィスの福利厚生、ビルの共用部のスペース活用としても注目を集めているサービスだ。
提供を始めた経緯について、代表取締役の海老原隼人氏は「人材サービス系企業に勤めていた前職時代、仕事がいつも忙しく、3食コンビニ弁当などを買って食べるという生活を繰り返してきました。忙しいビジネスマンパーソンだからこそ、栄養のあるものを食べてもらいたいと思ったことがサービス提供のきっかけです」と話す。 知り合いの農家の紹介やテレビの情報からの声かけ、SNS等を通じて出会った各地の農家が提供する産地直送のとれたて野菜を、東京・初台にある自社の厨房で調理。朝早くから調理をはじめ、弁当はすべてその日のうちにオフィスに届ける。日頃食べる機会のない田舎の野菜を使用した「イナカデリコ」は、都内の企業で働くワーカーの胃袋をつかんだ。立ち上げから約3年、地道な営業活動の甲斐もあって提供開始から現時点で延べ利用者数は27万人以上にも上る。 「ランチメニューは日替わりで、一日5種類ずつ用意しています。このメニューの豊富さも『飽きさせない』とご好評いただいています。新型コロナ禍で出社率が下がり始めたときに、一時サービスの提供をストップしました。しかし昨年の冬頃を境に、テレワークなどを通してオフィスの在り方を見直す企業様からのお問い合わせが増加。『社食を提供するほどの場所はないけれど、社員に栄養価の高くておいしい昼食を食べてもらいたい』などの引き合いがありました。『イナカデリコ』を導入することで、社員同士のコミュニティの創出や、オフィスに出社するきっかけづくりに活用される企業様が多いです」。
メニューは例えば「ノンフライチキン南蛮弁当」、「とろとろ温玉のキーマカレー」、「油を使わずヘルシー焼肉弁当」等々。ヘルシーかつボリューミーなラインアップが魅力的。この「イナカデリコ」は現在、都心のオフィスを対象に事業を展開。日本橋の大規模オフィスビルの一角にも委託販売型として出店しているなど、オフィスビルのスペース活用にも有効なサービスだ。運営コストは0円と、出店のハードルが低いことも特筆すべき点。
「今後はノウハウを蓄え、大阪などでも展開したいと考えています」と語る海老原氏。働き方が変容する中で、オフィスやビルの付加価値向上の新たな一手として注目したい。
まとめて注文・配達フードサービス「ロコデリ」小田急不動産と連携 ビルに本格展開
and.d(東京都町田市)は、先月31日より小田急不動産(東京都渋谷区)と連携し、まとめて注文・まとめて配達「ロコデリ」の対象拠点に、小田急線「町田」駅最寄りの「小田急町田森野ビル」を追加し、同ビルに入居するテナント向けに、サービスを本格展開する。
同サービスは「美味しいものを集めて、食べたい人が集まる場所へお届けする」拠点集約型の新しい取り組み。当日の10時30分までに、ネットで好きな弁当(税込550円~)を購入すると、ランチタイムに合わせて町田の美味しいものが、送料無料で各拠点に届く。
各飲食店は、「ロコデリ」を通じて入った注文を指定時間までにまとめて調理。参加店舗を統括する飲食店「魚河岸 美舟」が商品を集荷し、ピックアップポイントである各テナントの窓口へまとめて配達する。購入者は自社窓口で、注文した商品を簡単に受け取ることができる。
購入者が指定時間帯に、送料を負担することなく外食で食べるような高品質で温かい弁当を楽しむことができるなど、地域飲食店と双方にメリットがある。